2012/05/27(日)ものごとには段階がある

 フィルム式カメラの代表格は 135 サイズでしたが、デジタル式の撮像センサーを同サイズにするのは、当初はコスト的に無理がありました。一眼レフボディーを流用する一案として APSC フォーマットが採用されました。これならいままでの資産が、流用できそうです。

 アナログとデジタルでは方式が違うので、フォーマットサイズやカメラマウントを合わせる必要はなかったのですが、手持ちの交換レンズを流用したいというユーザーニーズに便乗したのが、キヤノン・ニコン・ミノルタ・ペンタックスの一眼4社です。
 フィルム時代のレンズで実用に耐えないものがある事実を伏せての便乗でした。営業上の政策とはいえ、罪深いことをしたものです。

 それに対抗して、デジタルカメラ独自のフォーマットを策定しようとする動きがありました。フォーサーズ(4/3 インチ)規格です。一眼レフシステムが崩壊していたオリンパスと、新興勢力のパナソニックが乗りました。
 1インチ以上とは、ずいぶん大きい感じがしますが、サチコン管の規格なので、実際には 110 フィルムに近いフォーマットサイズです。135 フルサイズと比べて面積で 1/4、焦点距離で 1/2 の差があります。ずいぶん小さいですね。

 110 フィルムに近いフォーマットなら、PENTAX auto-110 みたいな小さいカメラになると思っていたのに、実際に登場したデジカメは、かなり大きなものでした。ミラーボックスのある一眼レフです。(注:auto-110 も一眼レフ)
 あまり小さすぎても使いにくいのは事実ですが、もう少しコンパクトに収まってもいいように思いました。ミラー式の本格的一眼レフに拘ったのがアダだったかも?

 マイクロ 4/3 は、電子式ビューファインダーの実用性が見えてきた時点で導入された規格です。これで一眼レフからミラーをなくすことができました。ミラーレス機がヒットするきっかけを作ったのは、オリンパスのペン E-P シリーズです。スペック的にはまだ、レンズ交換ができる高級コンデジみたいなカメラでした。それにしても初代 E-P1 は、あの価格でよく売れましたね。

 元祖 4/3 規格の存続を望む声を耳にしますが、それは希望的観測に終わりそうです。ものごとには順序と段階があります。4/3 規格はマイクロ 4/3 に集約されていくでしょう。レンズ資産が使えるのが、せめてもの救いです。
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