2012/08/27(月)身近にあったバリフォーカルレンズ

 バリフォーカルレンズ(可変焦点レンズ)というのは、あまり聞きなれない名前です。焦点距離を変えてもピント移動しないものをズームレンズ、ピント移動するものをバリフォーカルレンズと言います。カメラ用のレンズは、ほぼすべて一応ズームレンズということになっています。

 バリフォーカルのほうが、設計に無理がないぶん高性能でもコストが抑えられると言われています。それを逆手にとって、高性能・低価格を売り文句にしたレンズがありました。バリフォーカル・ヘキサノン AR35-100mm F2.8 です。
 当時(40 年前)は、広角から望遠までをカバーし、大口径のコンスタント F ナンバーなんて、夢みたいなスペックでした。ズームレンズでは無理・・・という暗黙の了解がありました。コニカの一眼レフ用ということもあり、あまり数は出なかったようです。

 一眼レフが AF 化されると、レンズ単体だとバリフォーカルではないかと思えるものが現れます。常時 AF 機能を働かせることで、ズーミング中のピントのズレをカメラ側で補正するやり方です。撮影者は普通のズームレンズと同じ感覚で使用できるから、問題ないのかもしれませんが・・・

 最初に気づいたのは、ミノルタのαxi シリーズが出たときです。発売前にデモ機を借りることができたので、テスト撮影してみました。カメラを構えた時点でピントが合うアイスタート方式を採用していました。カメラを構えている間は、常に AF 機能が働きます。
 xi レンズは電動ズームでした。これで評判を落として EOS に抜かれたという人もいます。いまなら動画用に重宝されるでしょうが、当時は不評でした。ズーミングするとピントが一瞬外れるときがあります。アイスタート機能を切って試してみると、かなりピント移動します。(これってバリフォーカルじゃん!)

 発売前のデモ機だったので、製品版と仕上り具合が違ったかもしれません。それでも、常時 AF 機能を働かせれば、多少のピント移動があってもズームレンズで通ってしまうのには驚きました。
 AF 機能がついた監視用カメラのレンズは、きちんとバリフォーカルレンズと表示しています。なじみがないと思ったら、意外と身近なところで使われているんですね。

 単焦点はマニュアルフォーカス、ズームレンズはオートフォーカスというのが、自分の撮影スタイルです。単焦点が AF でもいいのですが、当時のツァイスレンズはマニュアルしかありませんでした。一般的に単焦点のほうが高画質です。あえてズームにするときは、速写性重視で AF 機を使うことにしていました。
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