2012/10/18(木)3層構造とベイヤー配列

 シグマが採用している3層構造の FOVEON 撮像センサーは、1点で RGB のカラー情報を得ることができます。フィルムに近い構造です。偽色の心配がないので画像を散らすローパスフィルターは不要で、シャープな画像が得られるのが特徴です。
 現行品の merrill シリーズは 4600 万画素と謳っていますが、センサー表面の素子を数えると 4800x3200 で 1536 万です。1536 万画素×3層で 4600 万画素ということです。

 FOVEON 以外の撮像センサーは、4素子で RGB+G のカラー情報を得ています。いわゆるベイヤー配列と呼ばれる方式です。ほとんどのデジカメがこの方式を採用しています。
 画素数が 1/4 に落ちないよう、近隣の色データから補完してそのままの画素数で出力する仕組みになっています。1素子で1色しか感じないので、色データを補完するときに本来の色とは違う偽色が発生する可能性があります。ベイヤー配列の画素数表示は、4倍に水増しされていると言えなくもありません。

 こうしてみると、3層構造センサーのほうが有利にみえますが、不利な点も多々あります。高感度特性が劣ること、発色のコントロールが難しいことなどです。
 このうち発色については、その独特の出方に魅力を感じる人が多いようです。ただし、期待通りに発色するかどうかは、出たとこ勝負みたいなところがあって、RAW 現像に慣れていない初心者には不向きとされています。

 前回話題に採りあげたように、高画素化がさらに進むと、3層構造ではなくて平面構成で RBG のカラー情報を4素子で捉えて1ピクセルで出力するカメラが現れるかもしれません。
 仮に 9600x6400 で 6144 万画素の撮像素子があれば、画素数を 1/4 に落としても3層構造センサーの 4800x3200 と同等か、それ以上の画質を得ることが可能なはずです。(発色の好みは別問題)

 FOVEON センサーの高感度対応や画像処理エンジンの進化速度より、ベイヤー配列センサーの高画素化のほうが開発速度が速そうな雰囲気です。現在の FOVEON センサーがフルサイズ化されたとしても、いずれ抜かれる日が来るような気がします。
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