2012/11/07(水)「読み書きソロバン」のデジタル化

 アナログからデジタルに変わったものの中で、日常生活に密着した典型例は電卓でしょう。一部でソロバンも使われていますが、珍しい光景になりつつあります。若い層では使い方を知らない人がいるのでは?
 昔から「読み書きソロバン」といって、実生活には欠かせない三大素養でした。このうちソロバンは死語になったと言ってもいいでしょう。

 ソロバンには苦い思い出があります。小学校の低学年だったころ、近所の珠算塾に無理やり通わせられました。元々そういうのには向いてない性格で、ほかの姉弟や友達は早々に終わって帰るのに、いつも自分だけ居残りです。
 物事や現象がなぜそうなるのか考えるのは好きでしたが、単純作業でスピードを競うのは苦手でした。早く計算しろと言われても指が動きません。先生もほとほと手を焼いたみたいで、やっと8級まで行ったところでさじを投げられてしまいました。こちらとしては、やれやれです。
 子供心に、自分が大人になるころには、科学の進歩でソロバンなんか必要なくなる・・・なんて考えたものです。鉄腕アトムや鉄人 28 号が空を飛んでいた時代です。

 高校時代に数学の授業で、手回し式の計算機を見せてもらったことがあります。先生は器用に使いこなしていました。「これがバカにしたもんじゃない」とか言ってましたね。
 経理関係では、電光管式の計算機がすでに使われていたと思います。タイプライターくらいある大きなものでした。卓上計算機のハシリです。ずいぶん高い機械だったようです。

 個人でも使える電卓が登場したのは、社会人になってからです。液晶ではなく電光表示で、普及型は6桁しかありませんでした。それでも1万円以上していたと思います。ポケットマネーで買うには高い道具でした。
 それまでソロバンを使っていたのですが、3回計算したら3回とも答えがバラバラで、しかもどれも正解でないという有り様です。仕方がないので、自腹で買うことにしました。6桁用は 10 万円の単位までしか表示できないので、上桁と下桁を別々に計算して後で足します。不便でした。(ソロバンができたらなぁ)

 そうこうしているうちに、液晶表示で 10 桁まで計算できる電卓が低価格で登場します。その開発スピードと値下がりは、半端じゃなかったですね。電卓を扱っていた小売店の主人が、頭にきて在庫品を表の道路にブチ撒けた・・・なんて話を聞いたことがあります。大損したんでしょうね。

 ワープロで文章を書くようになったと思ったら、今度は読書までが電子化されてタブレット端末です。「読み書きソロバン」は、すべて電子化されてしまうのでしょうか?
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