2012/12/01(土)フォーカルプレーンシャッターのシンクロ機能

 ニコン F の時代は現在と違って、まだフラッシュバルブが使われていました。どちらかというと、ストロボよりもそちらのほうが多かったかもしれません。フラッシュガンは高価格のストロボに比べて手に入れやすいアクセサリーでした。

 ストロボ用の X 接点は、先幕が走りきりシャッター幕が全開したときにトリガーが働きます。全開する速度を同調速度と言います。それより速いシャッター速度では、後幕がすでに閉まりかけているので幕切れを起こします。
 フラッシュバルブは、ストロボと同じシンクロタイミングでは不都合が生じます。ストロボよりも閃光時間が長いので、光っている間にシャッター幕を走らせるのが理想です。X 接点の同調速度だと、光り始めた途端に後幕が閉じかけることになります。(低速シャッターなら同調します)

 レンズシャッターとフォーカルプレーンシャッターで、フラッシュバルブの種類が違っていました。レンズシャッターは M 球、フォーカルプレーンシャッターは FP 球を使います。FP 球は閃光時間が長いのが特徴です。
 先幕が走り始める直前にトリガーが働くようにすると、全速同調が可能です。ただし高速シャッターでは取り込む光量が少なくなるので G.N. が小さくなります。閃光時間が長いので、1/30 秒以下で G.N. が最大になります。

 ニコン F は、これらのフラッシュ器具と同調させるために、シンクロタイミングを切り替える機能を備えていました。シャッターダイヤルのギザを摘まみ上げて回すと、軍艦部にある窓の表示が変わります。緑・赤・白の丸印と X の4種類が選べました。というか、選ばないといけません。間違えると同調不良です。
 先輩は、フラッシュを使わないときはどこかに合わせた状態にしておくとカメラの傷みが少ない、とか細かいことを言っていましたが、どのマークだったか忘れました。

 F2 になってから、このシンクロ切り替えは省略されました。シンクロターミナルは一つだけです。フラッシュバルブはどうするのでしょうか?
 ストロボが同調する最高速度は 1/80 秒です。1/125 秒と 1/60 秒の間の赤いラインがそれです。M 球が 1/30 秒以下で同調するのは変わりません。問題は FP 球です。
 1/80 秒と 1/60 秒だけ同調不可となっています。1/125 秒以上は先幕がスタートする直前にトリガーが働く FP シンクロになっているようです。1/30 以下は X 接点で同調させる仕組みです。簡略化したのは、フラッシュバルブがほとんど使われなくなったからでしょうね。
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