2015/09/14(月)「風前の灯」フィルム現像機

 先日、写真店を経営している知り合いを訪ねました。フィルムの現像本数が少なくなって、現像機のお守りが大変だと前から言ってましたが、ここへきてとうとう廃止を検討しているそうです。

 ウェット式の現像システムは、一定数量の処理をしないとタンクの母液がダメになってしまいます。自動的に補充される液量が少ないと、母液が更新されないからです。これはフィルム現像機もプリンターも同じです。

 銀塩ペーパーのプリンターは、デジタルカメラで撮った画像もプリントするので、まだ数量的には稼げます。ところが、フィルム現像機はフィルム以外を処理することはないから、現像本数が足りないと母液が疲弊してしまいます。

 この店では、毎月のように母液タンクの処理液を新品に更新しているそうです。昔は総合現像所でメンテナンスをしていた人だから、品質管理には厳しいほうです。普通の店だったら、そこまでせずに脱銀不良などボロボロの処理をしているかもしれませんね。

 母液更新すると何万円かの費用がかかります。現像本数が少なければ、相当高い現像料をもらわないと採算が合いません。そんな高い料金を払う客はないから、フィルム現像を止める方向で検討中なんだとか。

 慈善事業で店をやっているわけではないから、それも止むを得ないかもしれませんが、その前にフィルムの良さとか独特の味とかをアッピールする努力をしたのか、社長にはチクリと一言伝えておきました。

 インスタントカメラのチェキは、発売以来最高の売れ行きだそうです。一点ものの価値が評価されたのが主因でしょうが、理由のひとつに銀塩写真のもつ独特の味があるのは間違いないと思います。
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