2015/11/23(月)すぐにやれる相続税の節税対策

 今年から相続税の非課税枠が変わって、いままで課税対象でなかった家庭でも相続税を払わなければいけないケースが出てきそうです。単純に考えて、非課税枠が6掛になりました。配偶者がなく子供だけで相続する場合は、かなり厳しい状況です。

 実際に住んでいる不動産資産は、そこに住み続ける限り減免措置があります。都心部でもない限り、普通の持ち家であれば、それだけで課税されることはないでしょう。「酸化セリウム」の先生みたいに千坪の屋敷に住んでいる人は例外ですが・・・

 問題は預金です。個人番号制度が稼働し始めると、銀行預金などはまとめて国が把握できるようになります。これが制度の大きな目的のひとつだから当然です。できればいまのうちに預金を別の形に分散しておくのが得策です。

 相続税の課税対象でも生命保険は、相続人ひとりあたり 500 万円までは非課税扱いです。非課税枠を超えるが大した金額でない場合は、実質的に非課税となるか、はみ出しても少額で済みます。被相続人本人が自分で自分に生命保険をかけ、受取人を法定相続人にするのがミソです。高齢者は一時払いとなります。90 歳まで加入できる保険会社もあるようです。

 もうひとつ有効な節税対策は「生前贈与」です。年間 110 万円以下なら贈与税はかかりません。ただし相続人が少ない場合は、長い期間を要します。毎年、贈る側と贈られる側とで確認書を交わすのが原則です。

 孫・ひ孫への「教育資金贈与」は、一人あたり 1,500 万円まで非課税です。結婚・子育てのための生前贈与は、ひとりあたり 1,000 万円まで非課税です。資産を一気に移動できて節税効果は大ですが、一旦贈与したお金は元に戻せません。親族全体のバランスを考慮する必要があります。

 ほかにも現預金を不動産資産に替えるとか、空き地にアパートを建てるとか、いろんな方法があります。でもこういう話には、不動産屋や建設会社などの「我田引水」的な臭いが漂います。今回の法改正で課税対象になる程度の家庭には無縁の話です。
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