2017/03/03(金)飽食の時代にサプリメントなんて

 テレビをつけても新聞を開いても、最近やたらと目にするのがサプリメントの広告です。高額な商品を「お試し」とかサンプルと称して安く提供しています。送料無料で半額どころか、代金も無料でさらにもう1個サービスだなんて、もうめちゃんこです。

 見込客のデータを入手するのが目当てなんでしょうが、こんなのに申し込んだら後からしつこく勧誘がくるのは目に見えています。その個人情報が後々どう扱われるのかもわかりません。「君子危うきに近寄らず」とはよく言ったもんです。賢い消費者は、こういう勧誘にたやすく乗ってはいけませんね。

 そもそもこの飽食の時代にサプリメントなどの栄養補助食品や健康補助食品がそんなに必要なんでしょうか? Wikipedia によれば、「2013年12月にアメリカの研究者らによって、栄養不足のない人にとっては、ビタミンやミネラルのサプリメントは慢性疾患の予防や死亡リスクの低減に効果はなく、ビタミン・ミネラルの一部は特定の疾患リスクを高める可能性があると報告された」とあります。

 江戸時代には、鶏の卵が貴重な滋養食品でした。病人やお大尽しか食べられなかったそうです。肉などの動物性たんぱく質を摂る習慣のない時代には、確かに栄養補給に大いに貢献したでしょう。でもいまでは鶏の卵はスーパーの目玉商品です。仕入価格がいくらかよりも、その地域での小売相場がいくらかで値段が決まると言われています。ソロバン上の損得勘定は関係ないんだとか…

 我が家では、鶏卵は一人1日1個を基準(というか限度)にしています。家内はゆで卵が大好物ですが「おでんの卵も1個にしようね」と言ってました。誰かに声に出して宣言しないとやめられないからでしょう。(2個でも3個でも好きにすればいいのに)

 最近、ニンニクの効用を研究しだして、世の中に「黒にんにく」の宣伝が蔓延しているのを異様に感じるようになりました。S-アリルシステインの含有量が生ニンニクよりも多いというのが謳い文句ですが、それがどうしたというの? 抗酸化作用があるからがん予防の効果があるとかいうのがその根拠のようです。でも抗酸化作用のある食品は他にもいっぱいあります。

 一方、ニンニク由来のアリシンが持つ効用は、黒ニンニクにはほとんど期待できません。メイラード反応でアリシンが変化して、ほかのアミノ酸やポリフェノールに変わってしまっているからです。アリシンがなければビタミン B1 の誘導体であるアリチアミンもできないから、黒ニンニクと豚肉を一緒に食べてもビタミン B1 が効率よく体に吸収されることはないわけです。では生ニンニクのほうが良いかというと…

 栄養事情がよくなった現在では、生ニンニクの効用よりも副作用のほうが問題です。アリシンの殺菌効果は、悪玉菌にも善玉菌にも見境なく働きます。生ニンニクの多用は副作用として、腸内で作られるはずの養分を阻害してビタミン障害を招く恐れがあります。そこで、既にアリシンがない状態の黒ニンニクと、アリシンの素が豊富な生ニンニクの間を埋めるものとして注目したのが、現在研究中の琥珀ニンニクです。(と自己満足)

 「技のデパート」の元関取がテレビ CM で、やれグルコサミンだコンドロイチンだと念仏のごとく唱えた結果、大手製薬会社までサプリメントを宣伝するようになりました。何事も過ぎたるは及ばざるがごとしで、ほどほどが肝要です。健康に良いからと特定の成分だけを抽出したサプリメントは、栄養事情がよくなった現代には無用の長物のような気がします。

 飽食の時代には、食べて健康になることより、運動することのほうが大事なのかもしれませんね。(と深く反省)
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