2017/03/05(日)精密ネジ1本から多くを学ぶ

 ミノルタのフラッシュメーターをバラしたときに、本体をとめてあるネジをなくしてしまいました。この前自分で修理したときじゃなくて、何か月も前に液漏れに気づいたときです。ふたをあけたまましばらく置いといたら、家内が掃除機をかけたときに吸い取られてしまったみたいです。ネジがないのに気づいたときは、捨てられた後でもう手遅れでした。

 そんなに珍しいネジではないから、そのうち買えばいいとそのままにしていましたが、せっかく修理したので手配することにしました。まずは精密ネジ専門メーカーのウィルコからカタログを取り寄せました。こんな分厚い立派なカタログが無料頒布だなんて、申し訳ない気分です。

 まず正確なサイズを測らないといけません。手元の定規では十分の1ミリ単位が測れないので、ネット通販で見つけたデジタルノギスを購入しました。百分の1ミリまでデジタル表示されますが、保証精度は 0.1mm となっていました。2,000 円かそこらのじゃそんなもんだわね。

 何回か測った結果、ネジの太さ(呼径というらしい)は幅 1.7mm と判断しました。長さは 7mm です。あとはピッチがわかれば注文できます。ただしノギスではピッチが測れません。そこで「写真判定」でいくことにしました。マクロレンズで撮影し、モニターで拡大してネジ山の数を数えればピッチが割り出せます。(考えたでしょ)


 長さをネジ山の数で割ると約 0.4mm です。ところがカタログをくまなく調べても呼径 1.7mm でピッチが 0.4 というのが見当たりません。ほとんどが 0.35 です。呼径が 2.0mm ならほとんどが 0.4 なのですが…
 ひょっとしてノギスが狂っているのではと疑い調べてみたら…

 なんてこったい! ジョーと副尺がピッタリ閉じずに隙間が開いているじゃございませんか。これでは何回ゼロ点をリセットして測っても、隙間分だけ狂った数値になってしまいます。どうやら呼径の正解は 2.0mm ですね。ということは隙間が約 0.3mm もあるわけです。(こりゃ不良品だわ)

 購入してから少し日にちが経っていたこともあって、急いで返品手続きをとりました。早々と梱包してしまったので写真は撮ってません。0.3mm の隙間をわかりやすく撮るって、結構面倒だしね。その代わり、再注文したアナログ式ノギスの写真を掲載しておきます。


 写真左はジョーと副尺が閉じた状態で、メジャーは 1/10mm 単位もゼロで一致しています。このときジョーと副尺の間に隙間がないのが正常品です。実際にネジの幅を測ってみました(写真右)。副尺のゼロ点は主尺の 2mm のところを指しています。でも実際には正確に 2.0mm ちょうどではないかもしれません。

 そこで 2mm 未満だと仮定して、副尺の目盛と主尺の目盛が合致するところを探します。そこの副尺側が 1/10mm 単位の数値となります。副尺(0.1mm 単位)の 10 の目盛が主尺の目盛 21 (この数値がいくつかは不問)と合致しているのがわかります。つまり整数の基準値 1mm に副尺側の 10/10mm を足して 2.0mm であることが確認できます。(ちょっと複雑?)

 百分の1単位まで数値で表示されるデジタル式は、仮にそれが間違った数値であっても信用してしまいがちです。現に返品したデジタルノギスは、初めから十分の3も狂っていたのにうっかり信じてしまいました。再注文した参考写真のアナログノギスは、千円もしない普及品なのに正確に測れます。

 教訓として、安物のデジタルノギスは、精度を求める仕事には使わないことです。自分の思い違いで他の人に迷惑が掛かる可能性があります。今回もピッチの計算をしてなかったら、間違った注文をしてネジ屋にクレームを入れていたかもしれません。「ノギスで測ったらサイズが違うぞ!」なんてね。

 ネジ1本からでも学べることは多いもんだと考えさせられる一件でした。
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