2018/09/30(日)B-CAS で 4K 放送は視聴できない

 テレビを買うなら 4K 対応テレビでなくて、4K チューナーを内蔵した正式の 4K テレビが出るのを待ったほうがいい、と前回書きました。4K チューナーを内蔵しない「対応」テレビの価格が安くなるとの思惑からです。それとは別に、4K 実用放送が始まる前に、水面下でいろんな利権や思惑が絡んだ綱引きが行われているとの話を耳にしました。

 現在、日本国内でテレビ放送を受信するためには、B-CAS カードが必要です。WOWWOW などの有料チャンネルはともかく、基本的に無料の地デジ放送を視聴するのに特別なカードが要るのは日本だけだと言われています。海外から格安のテレビが入ってくるのを防ぐために考えられた仕組のようですが、あまり問題視されていないのが実態です。消費者に B-CAS カードのコストを負担させられている実感がないからだと思います。

 実際のところ B-CAS カードの費用は、放送事業者と受信機メーカーが全額負担していて、消費者に直接上乗せされてはいないようです。ところが、4K 放送は B-CAS カードがあっても受信できず、ACAS チップがないと視聴できないのが発覚しました。今年発売になった東芝の 4K 対応テレビには、初めから 4K チューナーが内蔵されており、後日送られてくるチップをはめ込むだけで 4K 放送が観られるるようになるんだとか… (発売前にチップの詳細が決まらなかったみたい)

 このチップが ACAS チップです。東芝のは外付けですが、「新 CAS 協議会」ではチューナーやテレビなどの機器に内蔵するのを前提に話を進めていたようです。主な役員は NHK 出身というから、受信料を確実に握りたいのが本音だと推察します。機器に内蔵ということは、消費者にチップのコストを負担させるつもりでしょうか?

 しかも内蔵チップの場合、その部分に支障が出ると機器全体を修理に出す必要があります。いままでみたいに B-CAS カードを抜き差ししたら治った、なんてことはまずないでしょう。チップのコストを負担させられたうえに、高い修理代まで払わされたのではたまったもんじゃありません。

 そういう意味では、4K 対応テレビは B-CAS カードで 4K 以外の放送は視聴できます。4K 放送を観たければ 4K チューナー(ACAS チップはこちらに内蔵)をつなげばいいことです。ちなみにユーチューブや amazon プライムビデオなどの 4K 動画は、テレビ放送ではないので ACAS チップがなくても視聴できます。(つまり「対応」テレビでいいわけ)

 日本の家電メーカーが次々とテレビ事業から撤退しています。国内メーカーを守るのが目的だった日本独特の B-CAS カードってなんだったんでしょうね。ACAS チップは NHK の都合だけでなし崩し的に進められています。新 CAS 協議会の協議の内容は公開されないまま、国民は ACAS チップのコストを負担させられるかもしれません。実用放送はもうすぐそこまで迫ってきているのに、混沌として確たる情報がないのがもどかしいかぎりです。
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