2019/01/03(木)ネイチャーフォトには季節がある

 年末、伯母さんちの玄関にキャビネサイズの額入り写真が飾られました。山茶花の写真です。贈り主は親戚の人でした。伯母さんからみて、父親の兄弟の孫。甥っ子にあたります。私からだと「いとこ」じゃなくて「はとこ」ですか。伯母さんが退院したと聞いて、十何年ぶりに見舞いを兼ね訪ねてきたそうです。義理堅いですね。

 いままで伯母さんちに飾ってあった額入りの写真は、すべてこの人の作品でした。写真に凝ってるとは聞いてましたが、まだ続いてるみたいです。来月には個展をやるというから、なかなかのもんです。彼の住まいは遠州方面だから、見に行ってやれそうもありませんが…

 玄関の写真は今しか飾れないと伯母さんは言います。季節があるからだと。春になって山茶花はおかしいという考えです。いかにも季節感を大事にする年配者らしい感覚です。自分で描いた絵も季節に合わせて換えているみたいです。一度飾ったら万年そのままの自分としては、少しは見習わないといけませんね。

 今どきの写真は大抵デジタルです。山茶花の写真もデジタル加工されていました。一輪の山茶花とその周りの葉っぱだけカラーで、背景はモノクロ化されています。ビールの宣伝などでよく見かける手法です。カラーで残したい部分を選択し、選択範囲を反転してグレースケール化すれば簡単にできます。背景のカラー情報がなくなったことで、実際には雪が積もっているわけではないけどパッと見、雪景色のように見えます。題材に合ったやり方です。

 もう一歩踏み込んで、冬の寒さを強調するために、背景をグレースケール化せずに寒色系の色合いにしたらどうでしょうか? 彩度を下げてカラー情報を抑え、色調補正で背景全体を寒色系にする。あまりやり過ぎるとテクニックに走り過ぎの感がするので、さりげないくらいでちょうどです。

 この際、冬の寒さ冷たさを表現するための寒色系は何色でしょう? 赤や緑ではなくアオ系であることは単純に浮かびますが、一口にアオと言ってもいろいろあります。大きく分けてシアン系かブルー系のどちらが効果的でしょうか?

 冷たさ寒さを強調したいのならシアン、寒さの中にほんのり温かみを持たせたいならブルー、というのがセオリーのようです。ブルーはシアンの他にマゼンタを含んでいるからです。「超人」先生によれば、風景だけならシアン、人物(女性モデル)がいるときはブルーだそうです。

 確かにシアンは寒さを強調する色ですが、人物には不向きです。日本人は黄色人種なので肌のイエローにシアンが混ざるとグリーンになります。口紅のレッドとは補色の関係にあるから色を失って唇がどす黒くなってしまいます。人物(とくに女性モデル)にシアンは禁物です。

 一方、ブルーは肌のイエローと補色の関係にあり、色が濁ることなく黄色味が抜けて透き通るような白い肌になります。マゼンタの要素があるから口紅の赤が紅色として残ります。背景全体が青みを帯びて、色白の女性との対比が際立ちます。人物にはブルーが効果的です。

 今年のスタートは本題に戻って久しぶりに写真の話でした。正月早々、終末医療の話じゃ気が滅入るからね。作品持参の「はとこ」とは伯母さんちでバッタリ会えたけど、工事に追われてゆっくり写真談義できなかったのが心残りです。今度はいつ会えるかな?
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