2019/06/23(日)古い不動産の名義変更は大変 3

 あと少しのところで頓挫したのは、伯母さんが末っ子の弟の名義にしたいと言い出したからです。しかも遺産分割協議をこの弟に任せてしまったことで、まとまりかけていた話がご破算になってしまいました。この叔父はプライドばかり高くて、遺産分割協議がどういうものか、まったくわかっていません。しかも弁護士事務所に頼んだというから最悪です。

 相続財産に不動産が含まれる場合は、法務局の登記資格のある司法書士に依頼するのが一般的なやり方です。司法書士の報酬は5千円1万円、高くて2万3万の世界です。いっぽう弁護士は5万 10 万、その上は 30 万 50 万が相場の世界で生きてる人たちです。戸籍謄本などの資料集めと登記業務だけなら司法書士に丸投げして終わりのところもあります。

 母親は「弟は弁護士まで立てて…」と息巻いてました。この年代の人は「弁護士」と言うだけで十分脅し文句に聞こえるみたいです。脅してハンコを押させるのは、遺産分割協議では御法度です。そして「ハンコを押さないのはあんた一人」という嘘もね。

 母親が反対するのは、すぐ上の姉が一人で住んでいるからです。まだ生きて住んでいる者がいるのに自分のものにするとは何事!と怒ってました。いずれ姉は家を追われる…そういう心配をしているみたいです。さもありなん、です。

 伯母さんは結婚もせず一人で気ままに生きてきたせいか、少し自分勝手なところがあります。「この家は私のもの」→「私が弟に譲ると言ってるのだから…」 この論理の飛躍が忘れかけていた先妻と後妻の子孫の確執に火をつけたようです。先妻の子孫にとって、伯母さんの弟は「後妻さんの末っ子」でしかないからです。

 最後の最後に独り身の年寄りのわがままが裏目に出ましたね。伯母さんの名義にすると言えば反対する人は誰もいなかっただろうに、判断ミスでした。弟に譲りたければ一旦自分の名義にしておいて、遺言書を作れば済む話です。自分が死んだら全財産を弟が相続する、とね。

 一人に全財産なんて遺言書を書くと、「遺留分に配慮してない」なんて声が聞こえてきそうです。伯母さんの相続人は兄弟姉妹とその代襲相続人です。兄弟間の相続に限って遺留分はありません。誰にも遺留分減殺請求する権利がないわけです。

 叔父さんもこのほうが得だと思うけど、ひとの話に耳を貸さないんだわね、この人。
OK キャンセル 確認 その他