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2008年02月03日の記事

2008/02/03(日)ダイナミックレンジ

 本サイトやブログでよく登場する「ダイナミックレンジ」とは、どういう概念なんでしょうか? デジタルはダイナミックレンジが狭い、なんて言い方をよくしますよね。

 自然界は明るい所と暗い所の差が、かなりあります。人間の目は都合よくできていて、明るい所でも暗い所でも自動的に調節されるので、ある程度よく見えます。ところが、写真画像はそうはいきません。自動露出で調節しても一定以上明るいものは「真っ白」、暗いものは「真っ黒」になってしまいます。この真っ白と真っ黒の間の幅をダイナミックレンジといいます。

 この問題は、フィルムの時代からいわれてきたことです。ダイナミックレンジを広くとれば、諧調は豊かになりますが、メリハリのない画面になります。写真館が使う通常Sタイプと呼ばれるネガフィルムは、白のなかの白が表現できて肌の描写もしっとりきれいです。その代わりスナップ写真には不向きです。
 一般のひとが使うネガフィルムは、自然な描写よりもカリッと引き締まった鮮やかな表現を基準に作られています。赤ちゃんや女性ポートレートは苦手な被写体です。
 アドアマが風景写真などに好んで使うリバーサル(スライド)フィルムは、ネガに比べてダイナミックレンジが狭くなっています。ですから、露出の調整が微妙で、少しずつ露出を変えて何枚か撮影します。一眼レフに3段階露光や5段階露光を自動的に行なうオートブラケッティング機能が付いているのはそのためです。

 デジタルはリバーサルフィルムよりもダイナミックレンジが狭い、といわれています。一定以上明るいものがすべて真っ白になってしまうことを「白トビ」といいます。白トビしてしまった部分は、あとで画像処理しても復活できません。画像を暗くすれば、その部分すべてがグレーになるだけです。逆の「黒ツブレ」も同じことです。
 フィルムの場合は、ネガは露光オーバーで白くなった部分をある程度救済できます。リバーサルは露光不足で暗くなった部分を再現することが可能な場合があります。ちょっと写真を勉強したひとは、ネガはオーバー目に、スライドはアンダー目に、という知恵を身につけています。デジタルは、どちらも救済できません。元のデータが飽和している(白トビ)か、まったくない(黒ツブレ)かのいずれかだと、救いようがないからです。
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