メッセージ

2008年02月04日の記事

2008/02/04(月)罪なハニカムCCD

 デジタルカメラでダイナミックレンジを広くとる技術が、ないわけではありません。大きな撮像板を使って、画素数を抑えれば、ある程度のダイナミックレンジは確保できます。問題なのは、画素数をわざと少なくしたカメラが売れるかどうかです。

 実際にこの技術を使っている一眼レフがあります。FUJUFILMのFinepix S5proです。旧モデルのS3proも同じです。縁起を担いだのか「4」をとばして「5」になりました。
 FUJIFILMは独自開発のスーパーCCDハニカムという撮像板を持っています。このCCDは受光面積が大きいので、感度を上げたり、出力時の画素数を内部的に倍にしたりできます。他社からのクレームで、この独自の出力画素数の表示ができなくなり、一時は他社よりも低い画素数の表示を余儀なくされていました。いまでは「親」と「子」の両方の画素を足して他社と同程度の画素数で表示できるタイプを出しています。

 新製品のS5proに使われているCCDは「SR Pro」というスーパーCCDハニカムです。S画素という「親」と、R画素という「子」を足すと1234万画素になります。この2種類の画素をダイナミックレンジを広げるために使うことができます。画素数は半分の617万画素に落ちますが、フィルムに近い描写が可能になりました。2個の素子で1画素ですから、贅沢な使い方ですね。
 この技術はFUJIFILMが特許を取ったので、他社は黙って使えません。1200万画素を半分の600万画素に落としたら、残りの600万画素は捨てるしかありません。出力画素数の表示で「いちゃもん」をつけた手前、素直に特許を買わないのか、フジが意地になって売らないのかは知りませんが、ある意味では罪なことをしたものです。

 一眼レフ市場でFUJIFILMのシェアはほとんどありません。キヤノン・ニコンのトップ2社で大半を占めています。S5proはニコンマウントを採用しています。製造はニコンが請け負っています。OEMというやつです。
 だったらもっと仲良くすればいいのに・・・と、ニコン党のひとは思うかもしれません。聞いた話で本当かどうかわかりませんが、フジがスーパーCCDハニカムをニコンに売らないので、ニコンは普及機しかフジに提供しないのだとか・・・
 業務用途のスタジオ写真の世界に限れば、フジのシェアはそこそこありますから、ハイエンド機が欲しいはずです。それぞれ思惑があるんでしょうが、一般ユーザーの立場から見ると、何かドロドロしててイヤですね。
OK キャンセル 確認 その他