2008/03/31(月)高速同調のストロボ

 ストロボ撮影でのシャッター速度の制限をなくすために、閃光時間が遅いストロボが開発されました。ストロボが光っているうちにシャッターのスリットが走り切れば、通常の同調速度より速いシャッタースピードでも全画面にストロボの光を当てることができます。
 閃光時間が遅い・・といっても、昔のフラッシュバルブほど遅くはありません。数値で表すと40ms(40/1000秒)程度です。1/25秒くらいですね。

 こうした緩速発光タイプのストロボを高速シャッターで使うには、「先幕シンクロ」ができるカメラが必要です。
 普通のシンクロ方式は、先幕が走り切ったときに光らせます。高速シャッターでは、後幕がすでに走り始めてますから、同調不良となります。先幕が走り始めた時点で光っていなければ、高速シンクロはできません。
 ハイスピードシンクロができる方式を「FP発光」ともいいます。昔のフラッシュバルブでFPシンクロといっていたのと同じ原理ですね。

 したがって、ストロボだけを緩速発光タイプにしても高速シンクロはできません。カメラに先幕シンクロ機能が必須です。
 それと、シャッター速度が速くなるにつれて、スリットの幅が狭くなるので、ストロボ光の露光量が少なくなります。露出不足になりやすいので、注意が必要です。

 最近のデジタル一眼レフは、幕切れを起こさないように自動制御されています。手元にあるα7Dは、内蔵ストロボをポップアップすると、マニュアル露出でも1/160秒までしか設定できません。(どこがマニュアルだ!)
 外付けの5600HS(D)を付けると、1/160秒以上はFP発光に自動的に切り替わるので、1/4000秒まで設定できます。(この機能は外すことも可能です。後幕シンクロにしたときは、自動的に解除になります。)

 失敗はないけど、ある意味では「過保護」ですね。シンクロ接点でつながった外部ストロボを使うときは、こうした保護はありませんから、くれぐれも注意しないとね。

2008/03/30(日)ストロボの閃光時間

 小型ストロボの閃光時間は、かなり速いです。全力発光したときでも1/1000秒くらいで光ります。距離が近くて少ししか光らないときだと1/20000秒くらいになります。

 人間の瞬きは約1/500秒ですから、ストロボ光は一瞬の光です。
 1/500秒でシャッターを切ると、ヘリコプターの羽は静止した状態で写ります。暗闇でジャンプしたときにストロボ光だけで写真を撮ると、人間が空中に浮いた状態で写ります。
 ミルクに1滴落として王冠の形を作った写真は有名ですが、これは高速で発光するストロボを使って撮影しています。

 一眼レフはフォーカルプレーンシャッターを使っています。カメラによって多少違いますが、1/250秒以上の高速シャッターを切ると、シャッター幕は全開せずに、スリットの状態で走ります。より高速になると、スリットの幅を狭くして露光量を少なくするわけです。
 連続した定常光ならこの方法で制御できますが、ストロボ光は一瞬の光ですから、スリットの幅だけ写ってあとは未露光になってしまいます。いわゆる「幕切れ」です。

 アマチュア向けのカメラは、自動制御になっているので、汎用タイプのストロボを使わなければ幕切れは起きません。専用ストロボを使ったときは、同調速度を超えないように制御されているからです。
 緩速発光タイプのストロボが使えるカメラなら、通常の同調速度を超える設定をしていても、ストロボ撮影ができます。(次回に続く・・)

2008/03/29(土)ストロボの調光方法

 ストロボを2灯使ったときのガイドナンバー(GN)について、難しい話をしました。この話は、ストロボが全力発光することを前提にしています。

 カメラに内蔵された(あるいはカメラに直結した)ストロボは、自動調光機能をOFFにする必要があります。カメラの露出をマニュアルモードにしても、外付けのストロボが自動調光のままでは、計算どおりの結果は得られません。
 カメラによっては、自動的に多灯調光できる機種があります。よくわからないひとは、カメラ任せにするのもひとつの手ですけどね。

 一眼レフの専用ストロボは、TTL自動調光で制御されています。Through The Lensの略で、レンズを通った光を測って調光します。外光制御に比べて確度が高い方式です。
 ストロボ光だけを測る方式と、定常光とミックスして測る方式があります。後者は、明るい場所ではストロボは少ししか光りません。その代わり自然な描写が得られます。

 カメラの露出補正は、定常光とストロボ光の両方に働きます。機種によっては、定常光とストロボ光を別々に補正できる機能がついていることがあります。ストロボを補助光として使うときには便利です。
 人物のポートレート写真なんかでは、ストロボを弱めに焚くほうが自然な描写が得られます。マイナス1から1.5くらいが目安ですね。自然光だけで撮影できる露出にしているので、ストロボ光はあくまで補助光として働きます。影を和らげたり、発色を整えたりする効果があります。

 ストロボだけを弱めに焚くことができない機種は、カメラの露出モードをマニュアルにセットします。シャッター速度と絞りを固定するわけです。そこでマイナス側に露出補正をかけると、TTL自動制御モードになっているストロボだけに補正がかかります。
 結果的に、ストロボを補助光として使うことができるわけです。
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