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2009年09月13日の記事

2009/09/13(日)銀塩写真は化学の世界

 フィルム全盛時代に暗室にこもっていた人でも、処理液を自分で調合したことは、まずないと思います。当時は、いろんなメーカーから既製品の現像処理剤が供給されていました。

 基本になったのは、コダックの処方箋です。フィルム現像用のD-76、印画紙現像用のD-72など、ほとんどの処理剤は、薬品の組成が公表されていました。
 例え製造中止になったとしても、単薬を買い集めれば再現することは可能です。上皿天秤などの必需品は要りますが・・・

 手元に写大の「HANDBOOK '75」があります。誰かにもらったんだと思います。軟調現像液として、Levy氏処方のPOTA処理が載っていました。
 1リットルあたりフェニドン 1.5g、無水亜硫酸ナトリウム 30gというのは一緒です。「コピーフィルムに対し、SS級と同等に軟調現像され、被写体光域の極大なるものに適す。e・g 20度C 4~5分でガンマ0.6~0.8 ASA2~6相当」とあります。

 POTA処理は、組成は同じでも現像時間や露光指数は人それぞれです。作画の目的が違うからです。ASAという感度表記は時代を感じさせますね。当時のコピーフィルムは、現在のHRⅡよりも感度が低めだったと思います。いまは、ISO 2~6よりは高くなっているはずです。

 「酸化セリウム」の先生のところには、コダックの処方が書かれた教本があります。先生の宝物みたいな本で、暇なときにはいつもペラペラめくりながら、「メトール2gにハイドロキノン5gか・・」とブツブツ言っています。
 数字を見るだけで、現像結果が想像できるんですかね。

 モノクロ写真の処理に関する本のほとんどは、この先生に預けてあります。自宅に暗室はもうないから、もしやるとしたら先生の暗室を借りるしかありません。「人質」として、暗室タイマーや全紙のバットも預けてあります。

 この先生、もっぱら興味は赤外フィルムにあるようで、ミニコピーは眼中にないみたいです。超微粒子や高解像力であることと、よい写真とは別モノという考え方です。
 キメの細かさや高画質を重要視するのは、デジタルにかぶれている証しなのかもしれませんね。
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