2012/10/31(水)カメラメーカー別のウインドー

 インドのカメラ専門店は、ウインドーに商品を展示するのが一般的なやり方です。ニコンがもちかけた日本式のオープン展示は、初めは抵抗があったと思います。店側のリスクが大きいからです。盗難・故障などが心配で、商品を勝手に触らせる展示方法はそれまで行われていなかったそうです。メーカーの援助がなければ実現しなかったと思います。

 そんな事情からか、ウインドー展示もメーカー別になっていました。ディスプレー代はメーカー持ちなんでしょうね。日本国内でも昔はそういう商習慣が根強くあったみたいで、街のカメラ店が改装するときにはメーカーから協賛金が出た、という話を聞いたことがあります。いまインドはまさにそういう状態のようです。

 メーカーにしてみれば、協賛する以上は店内のいい場所に一定面積を確保したいはずです。当然、それに応じた仕入や販売が期待できます。ビジネスだから、お互い持ちつ持たれつです。
 ただし、メーカー別の展示方法が消費者に親切かというと、ちょっと疑問です。エントリークラスのカメラを買うつもりの人が、D4 などのハイエンド機を買うことはないからです。各社の同じクラスのカメラをまとめて並べたほうが、比較検討しやすいはずです。

 世界中どの国でも消費者に直接商品を売る小売店は、ウインドーディスプレーを大事にしています。ドイツのケルンで立ち寄ったカメラ店は、大きなウインドーに立体的な展示をしていました。小型のカメラには大きめのプライスカードをつけて小ささを強調するなど、細かい気配りをしているのがわかります。
 ディスプレーの仕方は店独自で、メーカーの紐付きではなかったと思います。展示方法ひとつとっても自分たちの流儀があるんでしょうね。

 その点、日本のカメラ店は、ウインドーに商品が整然と並んでいるだけで、プライスカードも画一的です。家電量販店のディスプレーも無味乾燥ですが、オープン展示のほうが自由に触れるだけマシかもしれません。
 実写サンプルが豊富で各社の商品比較ができる売り場は少ない気がします。ヨドバシのノウハウが違うと言われるのは、そうした展示物が用意されているからでしょう。

2012/10/30(火)インドで日本式のカメラ展示

 インドのカメラ市場を紹介したテレビ番組では、ニコンが市場を握れた理由のひとつに、日本式の展示方法を挙げていました。デモ機を自由に触らせるオープン展示です。インドでは、高額商品は鍵のかかったウインドーに箱に入れたまま展示するのが普通です。「盗られたらどうするんだ」という店員の話を紹介していました。

 確かに、インドで地方都市のショッピングセンターに入ったときも、高額商品は鍵のかかったウインドーの中に展示されていました。金のネックレスを見せてくれと言っても、「It's very expensive(これは高いよ)」と言ってなかなか取り合ってくれません。「How much」と聞いたら日本円で 2,000 円くらいの商品でした。どうやら本物の金ではなさそうです。それでもこんな売り方です。

 インド人にとってはカルチャーショックだったでしょうね。月収の何倍もする高級カメラが、自由に触れるなんて夢みたいな話です。そのせいか、以前に比べて売れ行きはいいそうです。
 実は日本でもこうしたオープン展示は、一部の量販店だけで行われていた方法です。市中のカメラ店は、鍵のかかったウインドーの中にカメラを展示するのが普通でした。さすがに箱に入れたままということはありませんでしたが・・・

 いまでも商品展示がウインドーだけのカメラ店は多いと思います。小規模店では売り場面積の問題もあるようです。インドの専門店のほうが進んでいるかもしれません。
 国内では、小規模店の展示機は自己負担だと思います。仕入商品を下ろして展示する形です。一方、大手量販店はデモ機分の補填があったり、展示機が貸し出し扱いだったり、手厚い援助があるみたいです。特定の取引先を優遇するのが問題視されるようなら、一旦は正規に販売しておいて、廃盤の時点で返品処理すればいいことです。民間の商取引は、抜け道がいくらでもあります。

 放送を見た限りでは、インドの専門店はメーカー丸抱えみたいです。それだけ販売力があるんでしょう。ディスプレーのほかに看板サインなどもメーカーが面倒を見ているようです。このあたりも古きよき日本式ですね。

2012/10/29(月)インド人はニコンがお好き?

 世界中に製品を輸出している日本のカメラメーカーには、強い地域と弱い地域があります。この前テレビで紹介していたインド市場では、一眼レフはニコンの人気がダントツのようです。家電量販店ではなく、カメラ専門店が販売窓口になっているのは、銀塩時代の日本みたいで懐かしい想いです。

 ヤシカを吸収した京セラが自社ブランドのカメラを出したときに、インドとブラジルはヤシカブランドでないと売れない、なんて話を聞いた記憶があります。ブラジルはヤシカの工場があったからわかりますが、インドでヤシカブランドが圧倒的に強かったのは、なぜでしょうね。

 インドは写真を大事にする国で、写真のクォリティーが高いそうです。インド人のパスポートを見た写真館の大先生が、「わしもあんな写真が撮りたい!」と言っていたのを覚えています。眼が覚めるようなモノクロの肖像写真だったとか・・・
 街頭で記念写真を撮る商売が盛んな国です。当時、街頭写真家が使っていたのは二眼レフが主流でした。ブローニーフィルムだから画質は良かったと思います。そのカメラがヤシカのマット 124G だったのではないかと推察します。前時代的で価格の安いカメラでしたが、よく写りました。

 テレビ番組でも観光地で記念写真を撮る商売が盛んだと紹介していました。いまはニコンのデジタル一眼レフにエプソンのプリンターです。街頭写真家が使っているカメラが、プロが使う良いカメラという認識なのかもしれませんね。
 一般消費者の目に触れる機会が多いし、カメラマンの数も尋常じゃないみたいです。インドの写真文化の一角を形成していると言ってもいいでしょう。

 何年か前にインドに行ったときに、「いまやインド人と携帯電話は切っても切れない関係だ」という話を聞かされました。当然いまならスマホも普及しつつあるところでしょう。ケータイのカメラ機能がよくなっても、街頭写真家はやっていけるのでしょうか?
 たぶん大丈夫でしょう。街頭写真に中判カメラを使っていたお国柄です。インド人の写真に求めるクォリティーの高さは、おそらく日本人以上だと思います。

 その役目をニコンのデジタル一眼レフが引き継いだわけです。インド人のカメラマンは日本製品のおかげとか言ってましたが、ニコンにしてみればインド人さまさまでしょうね。
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