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2012年11月28日の記事

2012/11/28(水)ローパスレスと解像力

 最近、ローパス(Low-pass)フィルターの効き目を弱くしたり、フィルターそのものを省略したりして、解像力を上げる一眼レフが登場しています。画素数を上げれば解像力も上がるはずだから、高画素機でローパスレスにする必要はないように思えますが・・・

 どうやら、撮像センサーの解像力よりレンズの解像力が相対的に低くなり、LP フィルターで画像を散らす必要性が薄れてきたのが理由のようです。現にフォーマットサイズが小さいコンデジには、高画素化が進んだ結果、もう LP フィルターは使われていないそうです。
 パーツの中ではコストが高い部類の LP フィルターが省略できれば、メーカーとしては大助かりです。

 LP フィルターでわざと光を散らして結像を甘くするのは、モアレ(干渉縞)と偽色の発生を抑えるためです。撮像素子が規則的な格子状の配列である限り、モアレを完全に抑えるのは無理だと思います。出にくくするのが目的です。
 もう片方の偽色は、ローパスレスにすると出る確率がかなり高くなります。RGBG ベイヤー配列の弱点です。三層構造センサーは、理屈の上では偽色は出ないことになっています。

 より解像度の高いシャープな画像を求める人は、レンズの解像力を上げ、ローパスレス化を求めます。モアレや偽色が出やすくなっても解像度のほうを優先させる考え方です。
 一方、ローパスレスにするならレンズの解像力をあまり上げすぎないほうがいい、という意見もあります。LP フィルターは無意味で使われているわけではない、と主張する人もいます。LP フィルターにはメーカーごとに独自のノウハウが詰めこまれいるそうです。だからコストが高いんだとか・・・

 どちらの言い分が正しいのかは、単純にジャッジできないと思います。ただ、「木を見て山を見ず」という諺があります。目先の細かいところばかりに目がいって、全体像を捉えていない例えです。等倍鑑賞で解像感を求める声には、「葉っぱを見て山を見ず」みたいなところがある気がしないでもありません。
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