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2017年03月02日の記事

2017/03/02(木)現像用の保温器を発芽に利用

 若いころは暗室に立てこもってモノクロ写真を自分で現像したものです。そのとき活躍したのが現像バット用の保温器です。ヒーターを使った加温専用タイプと、ペルチェ素子を使った冷熱兼用の電子恒温バットがありました。夏場にプリント作業をしないのなら、加温専用でいいから安く済みます。

 そんな話もいまでは昔話です。暗室機材はずいぶん前にすべて「超人先生」の暗室に寄付しました。バットは 8X10 から全紙まであります。四つ切までは HANZA の保温器、全紙は台所用の足温パネルにパルス式のコントローラーを組み合わせて使っていました。先生のことだから、大事にしまってあると思います。

 昨年、知り合いの写真店社長から新品のバット用保温器をもらいました。実家が農家で畑仕事もしている人です。簡易温室を作った話をしたら、「これ持ってけ」とくれました。カラーフィルムの自動現像機を撤去した時点で、手現像をやるつもりだったのか、元々育苗用に使うつもりだったのかは聞きもらしました。その後、本人が亡くなってしまったので、いまとなっては形見の品です。

 そろそろ春の種まきシーズンの到来です。夜間の外気温はまだまだ低いので、室内で育苗することにしました。ポリポットにしても育苗トレイにしても底に水抜きの穴が開いています。水が垂れないように下に受け皿を敷かないといけません。ところが、その受け皿がないんですね。室内でやる人は結構いるだろうに、なぜなんでしょう。

 現像用のバットは印画紙が底にへばりつかないように内側に凸状の出っ張りがあり、熱の伝導効率が下がります。あくまで水を張って使う前提で作られているからです。底に凹凸のない真っ平なものが理想的です。ホームセンターや百均を回って、使えそうなバットを探しましたが、なかなか見つかりません。

保温器と育苗トレイ
 唯一見つけたのが百均のトレイ(写真右)です。底面は真っ平で熱の伝導効率は高そうです。耐熱温度は 70 度となっていたから大丈夫でしょう。側面に穴が開いているので、あまりたくさん水をかけると溢れそうですが、1cm くらいは溜められます。穴からの放熱を防ぎたければ、プチプチなどでグルリを囲むだけの話です。

保温器と育苗トレイ
 試しに育苗トレイを入れてみました。5X5 のうちの1列をカットすれば入ります。78mm 角のスリット鉢だと 12 個がピッタリと収まります。これは使えそうですね。発芽温度は一般的に地温だから、培養土の温度を測ればいいでしょう。

 「King サーモヒーター 120」の注意書きには、「お子様には、ご使用させないでください」とあります。お子様じゃないから大丈夫です。さらに大きな字で「平バット用保温器専用です。それ以外は絶対にのせないでください」となっています。のせるのは平バットみたいなもんです。現像液専用とは書いてないから、こちらも問題はなさそうです。
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