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2019年02月17日の記事

2019/02/17(日)死んでも引出せない暦年贈与信託

 暦年贈与信託という金融商品があります。毎年、贈る人と贈与を受ける人の間に立ち、契約書を取り交わす作業を銀行が代行する代わりに、期間中(一般的に5年以上)の資金運用を銀行が行う、というものです。運用でマイナスが出ても元本は保証されますが、運用益が出ても配当金はスズメの涙ほど(預金利息並)です。

 きちんと契約書を交わせば銀行を通さなくても贈与はできますが、何年も非課税限度額(110万円)ギリギリの贈与を続けると、税務署から一度に渡す予定のお金を分割しただけ(連年贈与)とみなされて課税されることがあります。銀行を通せばその可能性は低くなります。限りなく赤信号に近い黄信号でもみんなで渡れば怖くない、というやつです。

 家内の相続手続は波乱万丈でした。極めつけは、某信託銀行の暦年贈与信託です。今年の贈与は生前に手続したのですが、口座への入金が死亡後になりました。約款によれば、銀行側が死亡の事実を知らずに入金した時は、贈与の手続きが成立したことになっています。ところが、この入金分は相続ではなく相続人全員への贈与に当たると言ってきました。しかも今年分の贈与を既に受けた人は、来年、確定申告して贈与税を払ってもらう必要があると言います。

 贈与というのは、贈る側と贈られる側の意思表示と合意がなければ成立しません。だれも贈ると言ってない、誰も貰うと言ってないお金が贈与だなんて、国の法にら照らしてあり得ないことです。私はその辺をしっかり理解してたから、即座に銀行側の言い分は間違っていると指摘しておきました。

 ところが、こちらの言うことには一切耳を貸さず、どの質問にもまともに答えようとしません。「この商品は特殊なので」の一点張りです。この人たちはどこかの大統領みたいに小学校5~6年生程度の理解力しかないのかと疑いたくなるくらいです。何かに取りつかれているのか、それとも誰かに忖度しているのか…

 どうやら支店のかなり上のほうに自分の手柄にしようと画策した者がいて、周りの者は忖度して何もできない状態に陥っていたものと推察します。聞けば、受益者の死亡後に入金されたケースは初めてなんだとか…。きっと自分の手柄になると踏んだ奴が支店の上層部にいたんでしょうね。

 本部の相続事務センターに相談しようと電話したところ、管轄が支店に変更されていて対応できないと門前払いを食ってしまいました。その支店に乗り込んで、事情を正しても誰がそういう手続きをしたのか返答しません。やむを得ず、銀行協会か信託協会に調停を申し込むと伝えました。

 これでやっと事態が動き出し、その後も何度か折衝した結果、ようやくこちらの遺産分割協議書に沿った形で手続きすることができました。司法書士の話では、大企業ほど我田引水で勝手なことを言ってくる傾向が強いそうです。いくら相手が大きかろうが、巨悪なんかに負けないぞ! この粋です。
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