2021/09/17(金)ハンコなしで済んだ役所の手続

 人が一人亡くなると、後の始末が大変です。バタバタだった葬式が終わると、次は自治体の役所に行ってあれこれ手続をします。半日はかかります。

 健康保険証や介護保険証、印鑑登録手帳の返却など諸手続きが必要です。行ったついでに除籍謄本と住民票の除票も取得しておきます。これがないと年金などの手続ができません。

 コロナ禍で、年金事務所は予約制になってました。いくつか書類をもらって後日また出直しです。自治体の役所とつるんでるから、母親が亡くなったのはすでに把握してるはずです。それでも死亡届は出さないといけないことになっています。

 不思議に思った(というか驚いた)のは、自治体の役所ではハンコを一つも押さずに済んだことです。年金事務所で押したのは、一つだけでした。国が音頭をとれば、ここまで簡素化できるんですね。

 それに引き換え、郵便局の手続では何個もハンコを押さされました。預貯金のほかに郵便年金が何口かあって、解約申請と未払分の請求は別の書類です。なんだかんだで書いた書類は 20 枚近くあったと思います。その多くにハンコです。

 民間は遅れてますね。印鑑証明が必要な手続に実印が要るのはわかるけど、本人が自署した書類に「三文判でいいから」と捺印を求めるのはナンセンスです。いったいいつになったらこんな悪習がなくなるんでしょう。

 司法書士に不動産関係の調査を頼んだときも申請書にハンコを求められました。名寄せを依頼する先の自治体は、まだ「ハンコの世界」みたいです。

 区役所では一つもハンコを押さずに済んだ話をしたら、「へぇー」と驚いてました。国が旗を振ってもとりあえずなびくのは自治体止まりです。社会全体がハンコなしで済む世の中になるのはもう少し先のようです。

 かといって、民間企業からマイナンバーカードの提示を要求されてもなんだしなぁ。ここしばらくはハンコを押してしのぐことにしましょう。

2021/09/05(日)いまどきの葬式の在り方を考える

 つい先日、母親が老衰で亡くなって葬式を執り行いました。コロナ過で非常事態宣言下の葬式です。規模は最小限にするつもりでしたが、人によって考え方はマチマチです。

 葬祭などは特別な行事で日常とは違うという考えの人もいます。お盆の帰省は特別、親戚の集いも特別といった認識は、人との接触を最小限にする感染防止対策と矛盾します。葬式ではそれが顕著に出ます。「最小限に」と言ってた私の親族はゼロ、遠隔地の弟は家族4人全員でした。

 こういう情勢での葬式は、個人的には密葬が原則だと思います。亡くなった人がコロナ感染者じゃなくても、参列する人は密集を避け、感染防止に努めるのが基本です。県境をまたいだ参加は厳に慎むのがマナーでしょう。

 葬儀屋としては、それでは売上になりません。一番の稼ぎ頭は祭壇のグレードアップです。事前に相談したときも、葬儀前の打ち合わせでも、式場側のセールストークはこの一点にほぼ集中してました。

 いまどき大勢の参列者を集めて葬式をやることは稀です。参列できない、あるいは参列をためらう人にも参拝してもらえるよう、ネットを通じたオンライン葬儀をもっと進めるべきではないかと、担当者には提言しておきました。現に私の子供は海外在住者もいます。

 式場での参列者は近親者に限られるとしても、ネットを通じて大勢の人に葬儀の様子が配信されれば、祭壇を豪華にする意味合いが生まれます。今回の葬式は通夜・本葬を通じて2等親内で最大5人の参列者でした。見栄を張る必要はないはずですが……

 それでも弟はグレードの高い祭壇を注文してました。外部からの参列予定者がいないにもかかわらずです。自分の家族に見栄を張ったみたいなもんですね。こういうパターンは結構ありそうです。価値観は人それぞれだから、異論をはさまず黙ってたけど、余分な出費だと思います。

 でも、ドブに金を捨てるようなものだと言う気は毛頭ありません。式場の売上が上がれば、遺体を洗う人や、花を納入する業者などにお金が回ります。余分であっても決して無駄ではないわけです。

 「総理、どうして葬儀は不透明なのですか?」というCMで有名な某葬儀社でも、営業の基本は旧態依然のようです。売上アップの基本が単に祭壇のグレードアップという古い図式から脱却できない限り、新しい葬式の形は見えてこないでしょうね。

 葬儀はオンラインのバーチャル空間で。これがこれからのキーワードではないでしょうか?
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