2008/02/29(金)カメラ店の日米差

 アメリカのカメラ店を見たのは数年前です。当時はデジカメがまだ主流ではなかったし、現在とは当然違うはずです。でも、日米の違いの根本にあるものは変わっていないと思います。
 当時、アメリカ市場でシェアを持っていたウルフカメラチェーンの経営危機が報じられたのは、確か2001年だったと思います。日本でもカメラの家電化で、専門店が苦境に立たされました。時流に乗れたのは、ヨドバシカメラとビックカメラくらいですかね。マスコミでは、「家電量販店」として扱っているようですが・・・

 アメリカで見た何軒かのカメラ店で疑問に思ったのは、安物の三脚しか置いていなかったことです。日本なら、このクラスの店にはカーボン三脚が何本か並んでいるのですが、なぜかほとんど見かけませんでした。
 あとで日本の三脚メーカーのひとに聞いたら、「軽いことだけで価格が倍以上するものにはお金を出さない」とか。重くて丈夫な三脚も置いてなかったですね。三脚にはあまりお金を使わない国民性のようです。
 でも、ホテルのプールでロケ中のプロは、ジッツォの5番台を使ってました。プロとアマの差がはっきりしているようです。

 もうひとつ驚いたのは、カメラ店に天体望遠鏡が並んでいたことです。日本でも、ちょっと大きなカメラ店には置いてありますが、ドブソニアンはありません。ドブソニアン(通称ドブ)というのは、目で見るだけの天体望遠鏡です。写真を撮るわけではないので、真ん中さえキレイに見えればよく、大口径のものが安くできます。架台もありません。置いてあったのは、口径8インチ(約20cm)くらいの「小型」??のものでしたが、日本でお目にかかることは、めったにない代物です。

 カメラ雑誌も変わってましたね。ネイチャーフォト系が目立ちました。カメラのほかに、トレッキング用品のCMが載ってました。Lowepro(ロープロ)のカメラバッグにリュックタイプが多いのもうなづけます。
 何か目的や趣味があって、そのために写真を撮る・・という実用的な雑誌が多かった記憶があります。カメラ自体が趣味・・という日本のカメラ雑誌とは趣が違いますね。

2008/02/28(木)シノゴ判フィルム

 先日、久しぶりにコマーシャルフォト関係の知人に会って、話をしました。以前はフィルムなどの撮影資材をプロに卸す仕事がメインでしたが、めっきり減ったそうです。いまは、駅貼り広告など看板制作の仕事をやっているとか・・・
 ブローニー(中判)フィルムはほとんど出なくなったけど、シノゴ(4×5インチ)判のフィルムは、ボチボチ出ているそうです。シノゴ判に匹敵する画質をデジタルでこなすのは、並みの設備ではできませんからね。ブローニー判と違って料金も取れるし・・・

 昨日、数年前までコマーシャルフォトをやっていた友人に会って、この話をしました。「いい時期に足を洗ってよかった」とかいってました。プロラボからもらってきたシノゴ判フィルムの空箱を見せて、「一時はネガの箱が多かったが、ほら・・」。見るとKodakのリバーサルの空き箱ばかりです。
 「アマチュアの処理が減ったのかなぁ」といってましたが、「ネガ=アマチュア」という発想はどうですかねぇ。プロラボにシノゴの処理を頼むようなアドアマは、リバーサルが主流のはずです。写真館のシノゴが減ったとみるのが妥当でしょう。数十人程度の集合写真なら、ブローニーでもデジタルでも通ります。経費節減で、大口の写真館がシノゴ判フィルムから乗り換えたのではないかと思います。

 昔から、アメリカのコマーシャルフォトは「エイトバイテンか35mmか・・」といわれてきました。エイトバイテン(8×10インチ)といえば、六切のプリントと同じ大きさです。
 その間のシノゴやブローニーが日本ほど使われていないという話は、日本にいる感覚からは理解できませんでした。強いていえば、シノゴよりもゴシチ(5×7インチ)だそうです。5×7インチ(ゴーナナともいう)は大キャビネだから、密着焼きでいけるので、いかにも合理的なアメリカらしい選択です。日本では、あまり見かけませんけどね。

 アメリカ映画に出てくるロケシーンでは、カメラマンがハッセルブラッド(6×6cm)をよく使ってるし、「バイテンか35mm」という話は、かなり誇張されたものだと思っていました。数年前に「ペンタックスが米国市場から中判カメラを引き揚げて日本国内で処分した」という噂を聞いて、米国でのブローニー判の人気のなさを実感しましたが・・・
 いまや日本でも中古の中判カメラは「二束三文」です。虚しいですね。

2008/02/27(水)米国の挙式ランク

 アメリカでは数千円で結婚式ができる・・・という話を聞いたことがあります。日本で「結婚式」といえば、挙式と披露宴をセットで思い浮かべるひとが多いと思いますが、アメリカでは神の前で宣誓することを意味します。つまり、牧師さんと新郎新婦の3人いれば、結婚式は成立するわけです。

 アメリカでは、何でもABCランクがあって、最もシンプルな結婚式なら数十ドル程度の「お布施」(仏教じゃない!)で済むところがあるようです。日本の場合は、神様に誓っていなくても結婚は成立しますから、「私たちは0円よ!」というカップルも大勢います。役所に婚姻届を出すだけですから・・・

 最近では、日本でも「二人だけの結婚式」なんてキャッチコピーで、簡単な挙式を行なう式場が登場しています。さすがに数千円というわけにはいきませんが、ホテルなどと比べれば激安です。日本では、本物の牧師さんでなくても誰もとがめませんから、お互いに気楽でいいですね。どこかの英会話教室で、あのときの「牧師さん」にバッタリ出会ったりして・・・

 アメリカでは、写真スタジオでもABCランクがあります。「当店はCランク」なんて看板を堂々と掲げている写真館もあります。要するに「うちは低料金ですよ」ということを謳っているわけです。お客さんは「Cランク」の看板を見て、安心して店に入ることができます。
 日本人の多くは、ブランドや最新モデルを優先しますが、アメリカの一般大衆は価格を重視します。「1に価格、2に価格、3、4がなくて・・」なんて揶揄するひともいます。でも、価格以上に実用性を重視していることを見落としてはいけません。性能がよくて安いことが選定の条件です。

 日本のメーカーで、国内では二流扱いでも米国ではトップシェアという製品は数多くあります。調べてみると、性能の割に低価格であることがわかります。
 「Cランク」の看板を堂々と掲げている写真館は、きっと安くて上手なお店なんでしょうね。
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