2012/03/19(月)町内の危機管理

 「酸化セリウム」の先生が町内会長を引き受けたのは、ちょうど1年前の大震災の頃でした。最初に取り掛かったのは、災害時の町内の危機管理です。
 津波の心配はないとして、電気・水道・ガスなどのライフラインが止まったときにどうするか、まったくの白紙状態だったそうです。大都市近郊の住宅地だから、3日間持ちこたえられれば行政の援助が期待できます。それを前提に調査を始めました。

 まず、避難所の問題です。新興住宅地だから、ほとんどの家は新耐震基準を満たしているはずです。心配なのは火災ですね。その際の避難所が、はっきりしていませんでした。
 飲料水の確保は井戸水です。その界隈の井戸は、200m ほどの深さでないと飲み水として使えないそうです。汲み上げるためには電気が必要です。井戸のほかに、発電機を持っているところも確認しておかないといけません。

 そんな作業の中で、おかしいと感じたのは役所の対応でした。個人情報保護法の問題があって、どこに何があるかを公表してはいけないとの見解です。災害の時には民生委員に問い合わせるなどして確認して欲しいとの言い分です。
 「その民生委員とやらが、どこの誰だかすらわからない住民が多いのに・・」と、先生はいたくご立腹でした。非常時の話をしているのに、個人情報がどうのと、役所は過敏になりすぎだと怒ってました。

 先生の役人嫌いは昔からです。自分が管轄する書類の体裁さえ整っていれば、あとはどうでもいいという、あの考え方が嫌いなんだとか・・・
 事務仕事はソツなくこなすけど、独創性や積極性がないのが役人の体質です。自治体が絡めば事業がダメになるのが世の常です。結果に対する責任感がないからでしょう。事業に失敗すれば、民間なら職を失います。

 日本の将来は役人がダメにする・・というのが先生の予見です。それを許すほど国民はバカじゃないのでは?と慰めておきました。国民が窮しているのに、自分たちだけ甘い汁を吸おうなんてのが、いつまでも通るわけがないと思いますがねぇ。

2012/03/18(日)お役御免の町内会長

 久しぶりに「酸化セリウム」の先生のところにおじゃましました。屋敷の周りが妙に煙たいと思ったら、奥の庭で落ち葉を燃やしていました。
 やっと町内会長をお役御免になったそうで、これからは土日のたびに呼び出されずに済むと言ってました。結構楽しんでいたフシもありますが・・・

 任期中は、新しいことをするのではなく、いままでやってきた中で無駄なことをやめるのに専念したそうです。地域の中には必ず自治体の職員が何人か住んでいて、その人が役をやるたびに新しい行事が増えていくんだとか・・・
 そのまま次年度に申し送られるので、引継がれた行事をこなすために役員が振り回されているのが実態だと言います。市からの補助金は税金です。税金を無駄使いするために奔走するのはやめよう、というのが先生の言い分でした。

 昔、どこかの企業が盆踊りのために寄付した組立式の舞台は、何人載ってもびくともしない立派な骨組みだそうです。当時は町内にトビ職や土木関係の人が大勢いて、組み立てるのに苦労はしませんでした。
 ところが、最近はそういう人がめっきり減って、役員はリタイアした元事務職みたいな人ばかりです。かなりの負担になっていたみたいです。
 共に汗を流すのが地域の結束を高める、という意見もあったようですが、「汗を流すだけならいいが血を流すようなことになってはいけない」と、住民の手で組み立てるのをやめにしました。

 実際に役をやってみて、これはおかしい、これは大変だと感じたことをできるだけ改善するのが、自分の役目だと言います。変えるべきところを変えるのには、それなりの勇気と決断が要ります。先生にとっては、「燃えた一年」だったようです。

2012/03/17(土)写真入のテレホンカード

 ポストカードに写真を貼り付けたのは、感材メーカーとラボの発案でした。家庭用のプリンターが普及していなかった当時は、ハガキに印画紙を貼り付ける方法が、少量制作には一番向いていました。
 同じ発想で写真を貼り付けたものに、テレホンカードがあります。テレカをコレクションする人もいて、ちょっとしたブームになりました。

 既に印画紙は、バライタ紙ではなく RC ペーパーというレジンコートタイプになっていました。裏面のコートを剥がし、中のバライタ層を削って、表のベース材と乳剤層だけにします。それを白色のテレカに貼り付けます。
 乳剤層は、水に長い時間浸すと、ふやけて剥離してしまいます。慎重を要する作業でした。

 50 度のテレカは定価 500 円です。当然、写真代のほかに加工料が別に掛かります。値段の高いオリジナルテレカを実際に使う人は少なかったと思います。それでも、機械(電話機)に差し込めなかった、というクレームがありました。原因は写真の厚みです。
 この問題は CD-R や DVD のレーベルでも起こります。レーベル紙を貼り付けたタイプは、スリット型のドライブで引っ掛ることがあります。当時の電話機は、もっとシビアでした。

 携帯電話の普及で、公衆電話を使う機会が減りました。電話機の設置台数そのものが減っているから、駅や公共施設など人の集まるところでないと、テレカが使えません。それでもカード自体に貨幣的な価値があるので、捨てられることはないでしょう。

 固定電話の通話料を未使用テレカで支払う制度は、まだ生きています。磁気カードは1回につき 52.5 円の手数料が掛かります。申込と手続が必要ですが、これが一番高く兌換できる方法です。
 金券ショップに売ったら、たぶん半額以下に買い叩かれるはずです。いまでも付加価値があるのは、アイドルものとアニメキャラくらいです。
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