2008/07/31(木)隠し撮りレンズ 3

 あまり一般に馴染みのないレアなアイテムが続きました。今度こそ、役に立ちそうな話です。マジで・・

 隠し撮りというと、植え込みの繁みに身をひそめて、望遠レンズで狙うイメージが強いようです。確かに気づかれにくいかもしれませんが、万一見つかったら不審人物ということになります。
 そんなことをしなくても、堂々と隠し撮りができるレンズがあります。しかも、被写体のすぐそばで!

 隠し撮りの必殺アイテム・・それは超広角レンズです。
 普通のひとの感覚では、写真に写る範囲はあまり広くはありません。記念写真を撮るときに、無意識に中央へ身を寄せるしぐさをするひとがいるのは、その証しでしょう。

 135フルサイズで焦点距離が24mm(APSCサイズは19mm)以下のワイドレンズなら、一般人の常識を超えた広い写角を持っています。画面の隅に狙った被写体が写っていても、被写体から見ると自分とは別の方向にカメラを向けているように見えるのです。
 しかも、被写体との距離が近いほど、この傾向は強くなります。超ワイドレンズは、被写体のすぐ隣で隠し撮りが可能な秘密兵器なのです。

 超ワイドレンズを使って、近距離からさりげなく自然な表情を狙うには、マニュアルフォーカスを使います。
 オートフォーカスでは、被写体を一旦画面の中央に入れてフォーカスロックをかける必要があるので、被写体に自分が撮られていることがバレてしまいます。画面中央以外のフォーカスポイントを指定できる機種もありますが、設定をネチネチやっているよりも「置きピン」のほうが手っ取り早いですね。

 今回は結婚式の撮影にも役に立つ話でした。そんな超広角はお持ちでないという向きには、不満が残るかもしれませんが・・・

2008/07/30(水)隠し撮りレンズ 2

 結婚式の撮影に役に立つというフレコミの割には、品物がレアすぎて叱責を買いそうです。懲りずに隠し撮りレンズの第2弾です。

 昔、ペトリという名前のカメラがありました。作っていたのは栗林写真工業という会社です。
 国内よりも輸出で稼いでいたメーカーなので、日本ではあまり馴染みがありませんでしたが、東北地方の農村や郡部では知られたブランドでした。通販や長靴などの販売ルートに乗せて売っていたようです。

 Nikon Fが高嶺の花で、カメラ雑誌に「ニコン貯金」なんて広告が出ていた時代の話です。写真家の秋山庄太郎氏がペトリを手に「一眼レフで29800円はまいった!」という広告が載ってました。
 当時ベストセラーのPENTAX SPがボディーだけで4万円くらいしたから、破格といえば破格ですね。

 全国主要都市のデパートではカメラショーが開催されていて、ペトリもブースを出していました。ショーウインドーのなかに「参考出品」として、潜望鏡の形をした望遠レンズが展示されていました。確か135mmだったと思います。
 ベトナム戦争用に開発されたレンズで、国内では販売されませんでした。幼な心(?)に「こんなところにもベトナム特需があるのか」と複雑な心境でしたね。

 塹壕のなかから外を撮るのには便利なレンズですが、隠し撮りというならミラーアダプターに軍配が上がります。潜望鏡の形では目立ちすぎます。
 ライカやニコンは持ち帰るけど、ペトリはフィルムだけ抜き取って塹壕に置いていった・・なんて話をするひともいました。もったいないですね。ベトナムにいけば、ひょっとして中古屋に並んでいるかも・・・

 今回の話もブライダルフォトには、あまり役に立たなかったみたいですね。

2008/07/29(火)隠し撮りのレンズ

 このところ業界裏話や超望遠レンズなど、およそ結婚式の写真とは無縁の話が続きましたが、今回は役に立ちそうな話題です。

 往年のベストセラーだったスクリューマウント時代のPENTAX SPに、「ミラーアダプター」という部品がありました。
 手元にあるのは、MIRROR ADAPTER Ⅱ で、レンズケースに入っています。58mm用のレンズキャップも付いています。カブセのメタルキャップです。まるで交換レンズ扱いですね。

 このパーツは、レンズではなくて、鏡筒の中に斜め45°のミラーが仕込んであり、真横に丸い穴があいています。前から見ると、偽装レンズがついているので、普通の交換レンズのように見えます。このアダプターを望遠レンズの前に取り付けて使います。
 実際には、レンズを向けた方向の90°横が写ります。アダプターはクルクル回るので、真上でも真下でも自由自在です。レンズを向けた直角方向のグルリ360°を隠し撮りできるわけです。

 単焦点時代のパーツだから、装着するフィルター径は、49mmか58mmです。ネジがダブルで切ってあるのでアダプターリングは不要ですが、別のフィルター径ならステップアップ(ダウン)リングを使います。

 一見便利なグッズですが、ミラーで光路を曲げているので左右逆像で写ります。フィルムなら裏焼きする必要があります。デジタルなら画像ソフトで左右反転ですかね。
 絞りは、レンズによっては開口径との関係で1絞りほど暗くなるようです。ちょっと曲者のアイテムですね。

 最大の難点は、ずいぶん前に製造中止になっていて手に入らないことです。出回っている数も少ないので、中古屋かネットオークションで網を張るしかありません。化粧箱に書いてある当時の標準価格は、16,000円でした。
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