2009/06/30(火)形を変えて残ったカメラブランド

 コーワのように、会社は現存していても、カメラの生産を止めてしまった企業もあります。コルゲンコーワの興和です。

 コーワのカメラには、面白い機種がありました。
 SW28という135判カメラは、28mm F3.5の単焦点レンズがついたコンパクトカメラです。カメレオンの眼のようなファインダーが特徴でした。良く写るカメラでしたが、人気が出たのは製造中止後です。中古市場を賑わせたカメラでした。

 UW190という変り種の一眼レフもありました。19mm F4レンズ付で、レンズ交換はできません。その代わりにレンズシャッターを内蔵していました。あまり売れなかったカメラのように記憶しています。
 ハッセルのSWC(6×6判・38mm付)みたいな位置づけでしょうか? ハッセルブラッドSWCは、外付けファインダーで、一眼レフではありません。Kowa UW190は135サイズながら、れっきとした一眼レフでした。
 工事写真など特殊な業務用途に使われたくらいで、一般の写真愛好家がこぞって買った・・という話を耳にしたことはなかったですね。

 Kowa 6(コーワ・シックス)という6×6判の一眼レフもありました。MM型を使ったことがあります。ちょっとした改造で、コーワ6のファインダーがハッセルに流用できたそうです。プリズムファインダーに高値がついたので、レンズ3本付で下取に出してしまいました。
 所詮はハッセルの廉価版・・という位置づけのまま終わってしまったカメラです。

 興和は、カメラからは撤退しましたが、いまでも光学機器の製造を続けています。地上用望遠鏡の代表格、スポッティングスコープです。上級機種につけられた「プロミナー」というブランドは、高性能の証しとして認知されています。
 もともとはライフル射撃の観的用として開発されました。東京オリンピックの制式スコープにも採用されています。いまでも伏射用に斜め上から覗くタイプが出ています。

 その後コーワが市販したカメラは、スポッティングスコープにデジカメを内蔵したTD-1だけです。カメラというよりは望遠鏡ですね。コーワお得意のミラーシャッターを利用していたのには、懐かしさを感じました。

2009/06/29(月)消滅したカメラブランド

 京セラがカメラから撤退しても、YASHICAのブランドは残りました。ただし、エレクトロ35や CONTAXを復活製造した、あのヤシカのイメージは もうありません。

 日本のカメラメーカーで、倒産したために消滅してしまったカメラブランドは、かなりの数に上ります。とくに戦後、雨後の筍のようにできたカメラメーカーの多くは、生き残ることはできませんでした。

 そんななかでペトリは、大正時代に創立された栗林写真工業のカメラブランドで、海外でもコレクターがいます。「海外でも」というよりは、「海外には」と言ったほうが正確かもしれません。「KURIBAYASHI CAMERA」という英文の立派な研究本を見せてもらったことがあります。
 1977年に倒産し、その後、労働組合が生産を続けましたが、現在ではカメラの製造はしていません。

 ペトリというと、あまりいい印象を持っていません。「安かろう悪かろう」の代名詞として使われていた記憶があります。輸出向けの低価格機メーカーというのが、国内消費者の一般的な見方だったと思います。
 当時、東北地方はペトリの牙城・・という話を聞いたことがあります。ゴム長など農機具の販売ルートを通じて拡販していたそうで、一定のシェアを持っていたようです。その代わり、カメラ店ルートは弱かったみたいです。

 ミランダというカメラもありました。国内初のペンタプリズム式一眼レフとして知られています。当時は、オリオン精機産業という社名でした。
 ミランダの一眼レフシリーズのなかには、ペンタプリズムが外れたり、ミラーアップ装置がついていたりで、ニコンFなど高級機と同じスペックが魅力のものもありました。

 カメラ屋のオヤジさんは、「ミランダみたいな三流品はやめとけ!」と、売ろうとしませんでしたが、金のない学生にとっては、NikonやPENTAXは手の出せる価格ではありません。買えそうなのは、ペトリかミランダです。
 写真界の大御所・秋山庄太郎氏が「一眼レフで2万9800円!これはまいった」と宣伝していましたが、ペトリを買う気にはなれませんでした。結局、ミランダはカメラ屋のオヤジさんの抵抗に遭って買わずじまいです。

2009/06/28(日)YASHICAのスキャナ

 昨年からYASHICAブランドのカメラを目にするようになりました。京セラに吸収合併されたあと、京セラがカメラから撤退してしまったので、新製品はもう出ないものだと思っていました。

 商標権を香港の会社が買い取り、日本ではエクゼモード社が使用権を買い取ったそうです。exemodeのウェブサイトを見ると、デジカメ・ビデオカメラ・フォトフレーム・フィルムカメラ・スキャナが、YASHICAブランドで発売されています。
 どれも低価格の普及機で、海外市場向けのようですが、スキャナまで出しているのにはビックリしました。

 フィルムスキャナFS-500は、135フィルムからデジタル画像に変換するもので、市場価格が1万円以下というのは驚きです。
 性能的にはイマイチのようですが、値段が値段だから仕方ないかもしれません。USB2.0のバスパワーでAC電源不要というのがミソです。ノートパソコン用の入力装置として捉えれば、使い道があるかもしれません。

 最近発表されたPS-500は、プリントからデジタル画像に変換するスキャナです。L判から2L判まで対応しています。価格は1万円台前半のようで、フラットベッド型のスキャナーがあれば、不要のようにも思えます。
 やはり、電源がUSB給電というのがミソなんでしょうね。

 フィルム式のカメラも3機種出ています。
 一番普及型のYASHICA MF-2 superは、38mm F3.8搭載で固定焦点です。シャッターは1/125秒1速で、手動巻上・手動巻戻しというから、「写ルンです」をフィルム詰替え型にしたようなスペックです。どこが super なんでしょうね。(ひょっとしてDX対応のことか?)

 EZ junior MK-Ⅱは、28mm F3.8搭載です。28mm単焦点というのに惹かれましたが、固定焦点で1/125秒1速でした。巻上・巻戻しが電動になっているだけです。
 もう1機種のズーム付も低スペックでパッとしません。「機械式シャッター(1/50~1/400秒)」というのは、どんなのでしょうか? 電子シャッターじゃなくて機械式となっています。

 YASHICAブランドのターゲットは、やはり海外市場なんですね。YASHICAのフィルムカメラをもし買うことがあるとすれば、マット124Gの復刻版が出たときくらいですか・・(実現するとは思えませんが・・・)
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