2011/07/31(日)アナログ時代の終焉を実感

 今月は、計らずもアナログ放送の終焉と、APS フィルムの終焉を同時に意識する月となりました。それでも世の中は、何事もなかったかのように推移していきます。

 APS フィルムは、在庫のあるうちは販売が継続されますが、アナログ地上波は、被災地の東北3県を除き、終了となりました。電波はどこにも保管できないので、24 日で既に終わっています。
 APS フィルムを買い占めて、冷蔵庫や冷凍庫に保存する人はいるのでしょうか? いたとしても IX240 SLR の愛好家くらいですかね。あと中古カメラの業者と・・・

 市中の写真店の現像はメケメケの状態みたいです。フィルムの処理量が減って、液管理ができない状態が常態化しています。フィルム現像機を撤去する店が増えているそうです。もう母液の状態を正常に維持していけないからでしょう。
 即日処理を諦めて、集中処理のラボへ送ったほうが無難な時代になったのかもしれません。そのラボもいつまで持つのやら・・・

 135 判フィルムが終了になるのは最後の最後だと思います。その前に 120 判(ブローニー)が終了になるか、それともいっそのこと同時なのかは、予断を許さない状況です。
 常識的には、ブローニーが先でしょうね。とくに 120 です。220 は延命の可能性がまだあります。裏紙がないぶん製造コストが安く済むからです。ただし、フィルムマガジンが専用のタイプは、120 から 220 に簡単には切替できないという問題が生じます。

 よくよく考えてみると、残った銀塩フィルムは、シノゴなどのシートフィルム、映画と同じサイズの 35mm、昔からあるブローニーサイズです。ほかのサイズやインスタントフィルムなどは、一部を除いて大半が姿を消しました。

 新品カメラの供給がほとんど止まったいま、座して死を待つ状況となりました。メーカーには、化粧品でもサプリメントでも何でもいいから業績を上げて、銀塩材料の供給を継続してもらうよう期待するしかないのは、いかにも寂しい話です。

2011/07/30(土)APSが貢献したものは?

 APS フィルムが姿を消しても、デジカメのフォーマット規格として引継がれている・・という意見をネット上でよく目にします。APS-C や APS-H というサイズです。
 この見方には、少し違和感を覚えます。フィルム規格の APS と直接関係はないように思うのですが・・・

 そう思うのは、一眼各社から APS(IX240)規格のレンズ交換式一眼レフが発売されたのに、その資産を継承していないことです。
 なぜ APS-C のデジカメが、PRONEA 600 や IXY-IX50、Vectis S2 ではなくて、135SLR のフォルムになったのか・・不思議に思うのは私だけではないのでは?

 フィルムカートリッジや巻取り部分のスペースは不要としても、デジタルカメラにはメディアの収納スペースのほかに、画像処理エンジンが必要です。とことんコンパクト化に拘った IX240 SLR のボディーでは、無理があったのかもしれません。

 それよりも IX240 SLR が売れなかったという事実が、トラウマになった可能性が大です。普及しなかったシステムを引継ぐより、市場シェアを獲得している 135 SLR の規格に乗ったほうが有利です。レンズの設計基準がイメージセンサーに対応していなかったのかもしれません。
 APS の登場が、デジタル化までの中継ぎや延命策と言われながら、デジタル時代への地固めとならなかったのは誤算でした。

 おっかなビックリのメーカーは、銀塩時代の資産を継承できるかのようなポーズをとり、フォーマットだけ小さくして、筐体のダウンサイジングを後回しにします。手に白い粉を塗り、子羊に「お母さんの白い手だよ」と差し出す狼みたいなもんですね。
 狭く見づらいファインダー、必要以上のミラーボックスとフランジバック。ミラーレス一眼が登場するまで、この傾向は続きます。

 そういえば、フォーサーズやマイクロフォーサーズは、ポケットフィルム(110)とほぼ同じフォーマットです。こちらを 110 サイズの継承と言わないのは、不公平なのでは? (110 ではイメージダウンか・・)

2011/07/29(金)APSフィルムのデジタル化

 FUJIFILM が APS フィルムの終了を発表したことで、現像済の APS フィルム原板を持っている人は、画像のデジタル化を考えたほうがいいと思います。
 もちろん慌てた話ではありませんが、写真店が今度プリンターを入れ替えたときに、APS カートリッジに対応しない可能性が大きいからです。今なら APS から CD-R に焼いてくれます。

 個人的には、撮影済の APS フィルムはほとんどありません。唯一、沖縄に旅行したときに Vectis S2 で撮った写真があるくらいです。
 ミノルタにいた知り合いに頼んで、デモ機を貸してもらいました。どのくらい写るか試してみたかったからです。撮影が目的の旅行ではなかったので、ネガで撮りました。フィルム自体は見えないから、露光がオーバーなのかアンダーなのか、プリント結果で判断するしかないのが面白くないですね。

 一応、すべてハイビジョンサイズでプリントしたのですが、同行した人にあげたりしたので、アルバムは歯抜けの状態です。焼き増しもせずそのままになっています。
 ところで、あのコロコロしたカートリッジは、どこへ行ったんでしょうね。何本かあったから、カートリッジケースに入れた記憶があるものの、そのケースが見当たりません。

 引出しの中で APS フィルムがゴロゴロしている場合は、カートリッジの底面を見て、4番の四角い窓が白になっていれば現像済です。3番の×印なら撮影済で未現像、2番の半円形は途中まで撮影、1番の丸印が白なら未使用です。
 中央の軸にドライバーを突っ込んで回せば、簡単に変えられますが・・・

 135 の場合は、いざとなればコニミノのフィルムスキャナーがあるし、透過原稿が読めるフラットベッド式でデジタル化することも可能です。ところが APS は、対応機がないとお手上げです。
 システムが崩壊してしまったら何ともならない規格は、困りものですね。
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