2009/09/12(土)ミニコピーのPOTA処理
文書や図面を複写するためのフィルムだから、当然のことです。
これでは人物や風景が版画みたいな描写になってしまいます。そこで、ミニコピーで中間調を出すために、POTA処理という現像処方が考案されました。
1リットルあたり、現像主薬のフェニドンが 1.5g、保恒剤の無水亜硫酸ナトリウムが 30gという、いたってシンプルな調合です。停止液と定着液は、ほかのモノクロフィルムと同じです。
注意点は、50度C以上の高温でないとフェニドンが溶けにくいことと、保存が利かないので使い捨てになることです。
この現像液なら、中間の諧調が得られます。現像時間は、20度Cで4~6分程度です。露光指数は EI 6 程度でしょう。ISO一桁と考えて差し支えありません。タングステン照明なら高め、デーライトなら低めに見積もるのがコツです。
最低でも3段階、普通は5段階露光したほうが無難です。
こうして得られた原板からのプリントは、四切程度に引伸ばしても粒子は見えません。ピントルーペでも確認できないくらい超微粒子です。
この特性を活かして、豆カメラで撮影している人もいます。16mmマガジンを使うカメラなら、16mmマイクロフィルムが使えます。入手が難しい場合は、135サイズをカットして装填します。
ミノックス判には、専用のフィルムカッターがあります。ほとんどの人は、自作のカッターを使ってカットしているようですが・・・
解像力が 850本/mmの超微粒子フィルムなら、8x11mmの小さな原板からでも、L判やキャビネにストレートでプリントできます。デュープすれば、全倍以上いけるでしょう。
デュープするフィルムと現像処理をどうするかです。1回目のデュープにミニコピーHRⅡの135サイズを使う場合は、POTA処理よりも軟調な現像液が必要になります。メトールの単薬とか・・・
出来たポジから2度目のデュープをするときは、普通のフィルムを使うことになります。ネオパンFのブローニーは製造中止だし、「酸化セリウム」の先生も期限切れのFは使い果たしてしまったし・・・
2B以上のデュープだったら、超微粒子にこだわるよりも、現像液を何にするか・・でしょうね。
2009/09/11(金)超微粒子フィルム
マイクロフィルムを使う機械は、リーダープリンターです。135サイズと 16mmサイズの2種類が主流です。ミノルタは、この分野でのシェアが高く、現在でもコニカミノルタからデジタル式のマイクロリーダープリンターが出ています。
一般ユーザーが入手しやすいコピーフィルムは、FUJIFILMのミニコピーHRⅡです。135サイズの36EXなら、フィルム式の一眼レフカメラで撮影できます。
このフィルムは、100本単位での出荷となりますが、ヨドバシなどでは1本単位にバラして販売しています。以前は 100ft巻で、パーフォレーション有りと無しがありました。穴ナシは製造中止になったので、現在は パーフォレーション有りだけです。
ミニコピーは、一般のフィルムとはかなり異なります。まず感度が低いことです。複写用だから、感色性はタングステン光を基準にしていて、露光指数は EI 40程度です。デーライトならさらに実効感度は低くなります。
その代わり、超微粒子の原板が得られます。高コントラストチャートを使ったデータでは、1mmあたりの解像力は 850本と公表されています。
これだけの解像力をデジタル撮像板に求めると、1mmあたり 1700pixel 必要だから、135フルで 25億画素という とんでもない数字になります。(あくまで理論値ですが・・)
誰しも一度は試しに使ってみたい誘惑にかられます。でも、手軽に常用できるフィルムではありません。
モノクロフィルムなので、カラーネガ現像機には流せません。間違えて流したら、タンクの薬液がパーになります。街のDP店に現像を依頼するのは、事故のもとです。
きちんと「モノクロ現像で…」と伝えればいいように思いがちですが、普通のモノクロ現像液では現像できません。もし誤って現像したら、ほとんど画像がない状態で戻ってくるはずです。ミニコピーは「コピナール」という専用の現像液を使います。
ミニコピーの現像をする写真店は、ほとんどないと思います。大学や病院に出入りしている店なら、専用現像を請け負っていた可能性があります。しかし、いまでもやっているところは、まずないでしょうね。
このフィルムは、自分で現像することが前提となります。(続く)
2009/09/10(木)豆カメラから全倍プリントに
写真展というからには、そこそこ大きなサイズのプリントです。そのなかに、全倍に引伸ばした写真がありました。ミノックス判で撮影したネイチャーフォトです。
それほど粒子も目立たず、シャープな写りだったのには、少々ビックリしました。本当に 8x11mmの原板かと、眼を疑いたくなるくらいの描写力です。
ギャラリーの人に聞いたら、どうやら2回デュープ(複製)してからプリントしているみたいです。多分、135判にデュープしたあとで、もう一度 120判にデュープしたんだと思います。ひょっとすると、最終原板はシノゴかもしれません。
普通のフィルムでデュープすると、コントラストが上がりすぎて、ダイナミックレンジが狭くなってしまいます。おそらく、専用のデュープリケーティングフィルムを使っているはずです。プロラボの仕事ですね。
いまでいうなら「画像処理」みたいなもんです。ただし、元が MINOX-DSCのデジタル画像からなら、ここまでの画質が得られるかどうかは疑問です。アナログの銀塩だからできる芸当でしょうね。
ミノックス判と同じ 8x11mmというサイズの撮像板(CCD・CMOS)は、市販品にはありません。2/3インチの1.45倍、フォーサーズの0.36倍の面積です。
仮に、MINOX-DSCの500万画素CCDをそのまま大きくして、8x11mmにしたときの画素数は、約1,200万画素です。(推計した理論値ですが・・)
それで撮った画像データから全倍にプリントした場合、ジャギーが出ないように解像度変換したとして、どの程度の画質になるか・・ですね。二つ並べて見比べたい気もします。
まぁ、スパイ衛星から送られてきた画像データを処理するくらいの設備があれば、2回デュープのミノックス判を凌ぐ画像になるとは思いますが・・・