2009/10/13(火)デジタルのモノクロ作品
亡くなったのは、昔カメラ屋をやっていた叔父さんです。もう80歳近いから、現役だったのは ずいぶん前の話です。さぞかし寂しい通夜だろうと駆けつけたのですが、大勢の参列者で葬儀場は多くの人が立ち席の状態でした。
当時お店に入り浸っていた写真愛好家や、地元の指導者らの顔が散見されました。皆さん義理堅いですね。
先生の家には御曹司が帰ってきていて、プライベートスタジオに大きなスクエアサイズの作品が置いてありました。デジタルのモノクロプリントです。
パッと見は赤外写真のように見えます。思った通り、やはり赤色フィルターをかけて撮影していました。黒く沈んだ背景に怪しげに浮かぶ樹木が印象的です。
「CMOSのデジタルカメラは赤外感度が低い」と先生は言っていましたが、CMOSの特性というよりもIRカットフィルターが関係しているみたいです。
散光星雲などHα線を重視する天体写真では、赤色感度を上げるために撮像板前のフィルターを外して特殊仕様にしている人もいます。一般撮影ができなくなるので、中古のデジイチを改造するのだとか・・・
御曹司の作品は、写真画像でありながら、決してきれいな風景写真ではありません。墨絵のような背景は、絵画に近い表現です。銀塩写真に追いつくことを当面の目標にしてきたデジタル写真は、新しい表現を模索する段階に入ったようです。
若い世代の自由で奔放な発想に期待したいですね。
2009/10/12(月)元祖!スライドショー
スライド映写機を複数使います。ラックを組んで、その上に数台のプロジェクターを設置し、コントローラーで自動制御していました。
フェードイン・フェードアウトをかけて、画像を切り換えます。映写ランプのオンオフで表現するのですが、画像がゆっくり消えていったり、徐々に現われたりするのは、ランプを電圧で制御しているのでしょうか?
各1コマはあくまで静止画です。動いているように見えるのは、目の錯覚ですね。
映写機が2台なら、静止画面がゆっくり入れ替わるだけですが、数台が一斉に次々と画像を投影するので、迫力のある画面構成となります。
紅葉が散る場面では、木の葉がまるで空中をゆらゆら舞いながら落ちてくる様子をうまく表現していました。ひとつのシーンで数十コマが必要です。後ろのほうで、映写機がコマを切り換える音が、ガチャガチャ鳴っていました。
シナリオに合わせて撮影したのか、在りポジを後から編集したのか・・・
多分、両方でしょうね。何の台本もなしに、あれだけのコマを用意するのは無理だと思います。途方もない時間と労力をかけたのがわかります。
上映が終わって、感動と同時に虚無感が残りました。
映画なら1台の映写機で投影すれば済みますが、静止画に動きを与えるためには、巨大で複雑な投影装置が必要です。設営はもちろん編集も大変だったでしょう。35ミリのスライド原板でここまでやるか!という驚きと、ここまでしないとできないか?という虚しさを同時に感じたわけです。
時代は変わってデジタル全盛です。本物の元祖スライドショーを見る機会は、もうないかもしれませんね。
2009/10/11(日)スライドショーの作成
スライドという表現は、日本語英語です。リバーサルフィルムの画像をスクリーンに投影する、スライド映写機が語源です。フィルムを装填したキャリアが右左に移動する様子から、「スライド」と名づけたわけです。
スライドフィルムという言葉は長い間、日本でしか通用しなかったのですが、いまではアメリカでも通じるようになりました。FUJIFILMのVelviaが世界的に使われるようになった影響でしょうか?
語源は銀塩写真ですが、デジタル時代のスライドショーは、テレビ(モニター)画面で観賞します。静止画だけでなく動画も一緒に編集できるのがミソです。
手軽に楽しめるフリーソフトも出ています。見栄えをよくしたいのなら、有料のソフトを使えば、かなり凝った編集が可能です。静止画に動きを与えて、動画のような映像が作れます。音楽を入れれば、立派なスライドショーの完成です。
静止画に動きを与える方法は、画像のズーミングやフェードイン・フェードアウトなどです。画像に浮遊するシャボン玉のような動きを持たせたり、裏表にグルリと回転させたりもします。
でも、所詮は静止画です。被写体の表情は変わりません。動画を入れることで、よりリアルで動きのある表現が可能になります。
デジカメの動画機能を活かしたいのなら、スライドショーがお奨めです。静止画と動画の両方をひとつのファイルに編集できます。写真集は、いつでもどこでも見られて便利ですが、動画を入れ込むことはできません。
写真集の最終頁にデータCDをハメ込んだ体裁のものがあります。これがスライドショーだったら、値打が上がると思います。