2009/09/09(水)16mm判とMINOX判

 小さなフォーマットサイズのフィルムカメラは、110判よりも前からありました。一般的に「16mmカメラ」と呼ばれていましたが、機種ごとにマガジンが異なるので、共通した規格というわけではありません。映画用の16mmフィルムというのが共通点です。

 日本のメーカーでは、ミノルタ16シリーズやマミヤ16が有名です。ヤシカ16というのもありました。草分けは、リコー・ステキー(1947年)のようです。
 画面サイズは、10x14mmが主流でしたが、ミノルタ16 MG-Sは 12x17mmを採用しています。ローライ16 と同じフォーマットです。のちの規格 110判(13x18mm)よりも 1mmずつ小さいだけでした。

 16mm判豆カメラの原型は、ドイツのミノックスです。Ⅰ型は戦前に発売されました。画面サイズは 8x11mmで、9.5mm幅のマガジンを使用します。
 ミノックスは「スパイカメラ」とも呼ばれました。文書を複写する小型のコピースタンドなど、周辺パーツが揃っていました。実際にスパイが使っていたそうです。
 ミノックス判を採用した国産カメラでは、ヤシカのアトロンシリーズが有名です。ミノックスと同様、周辺パーツが充実していました。

 110判がトイカメラから一眼レフまでピンキリだったのに対して、16mm判やミノックス判のカメラは、どれも精巧な作りの精密機械でした。それ専門に集めているコレクターがいます。
 ご本家のミノックスからは、いまでもミノックス判のフィルムカメラが供給されています。

 今年になって、ミノックス DSC というデジタルカメラも登場しました。DSCは Digital Spy Camera の略だそうです。
 このくらい小さなカメラになると、デジタルよりもフィルムのほうが向いているようです。ストロボと液晶モニターが一体になったユニット(DSC FLASH)を外付けできますが、この状態だとスパイカメラというには ちょっと大きいですね。

MINOX DSC のスペックはコチラのサイトから

2009/09/08(火)ポケット判の一眼レフ(2)

 PENTAX auto-110 が「世界で唯一」というのは、レンズ交換式では・・という注釈つきです。
 110フィルムを使う一眼レフは、auto-110 のほかにもありました。ミノルタの 110 ZOOM SLR と 同 MarkⅡです。どちらもズームレンズ固定式の一眼レフでした。

 デザインは、110 ZOOM SLR が一般的な110カメラと同様の平型タイプ、110 ZOOM SLR MarkⅡが 135SLRに近い形を採用していました。名前は似ていますが、まったく違うデザインです。
 レンズは、Ⅰ型が 25-50mm F4.5、Ⅱ型が 25-67mm F3.5 です。135換算だと約2倍になるので、短焦点側は 50mm相当になります。ワイド側に弱いのは、どちらも共通していました。

 ミノルタの 110 SLR は、どちらも本格的な一眼レフでした。110カメラでここまでやるか・・という凝った作りです。当時のカメラ・レンズ設計者の技術力の高さと意地のほどが偲ばれます。
 それでも 110判は、135フルの約1/4の面積しかありません。いくら精巧なカメラでも、粒状性では135判には かないませんでした。やがて市場から姿を消すことになります。

 110判に続いて登場したディスクカメラは、早々に製造中止に追い込まれました。110判より小さい 8.2x10.6mm では、L判でも粒子が粗く、とても見られたものではありません。
 フィルム時代は、フォーマットサイズが小さいことが「致命傷」となりました。

 この間、ハーフ判と110判の一眼レフを話題にしてきたのは、フォーマットサイズがそれぞれ APSCとフォーサーズに近いからです。当時の設計思想が現在でも活用される素地は大いにあります。
 MINOLTAとPENTAXは、別の会社に吸収されましたが、その技術を受け継いだ企業がこの資産を活かしてくれれば・・と思います。

110 ZOOM SLR MarkⅡの詳細はコチラを参照

2009/09/07(月)ポケット判の一眼レフ

 OLYMPUSが昔のブランド「PEN」を持ち出してきたことで、注目されている銀塩カメラがあります。PENTAX auto-110(オート・ワンテン)です。世界で唯ひとつのレンズ交換式ポケット判(110)一眼レフでした。

 110のフィルムサイズは 18x13mmです。135フルサイズ(36x24mm)と比較すると、約1/4の面積しかありません。画質と粒状性は、お世辞にもいいとは言えませんでした。
 このフォーマットサイズは、デジカメのフォーサーズ(17.3x13mm)とほぼ同じです。(マイクロフォーサーズは、フランジバックが違うだけで同じサイズです)

 撮像板は、面積が小さくても画素数を上げることで、フィルムの粒状性に相当する問題はクリアできます。六切程度の写真なら十分実用できるところが 110判のフィルムよりも有利です。

 auto-110のデジタル版を待望する声は、以前からありましたが、ここへきて目立つようになったのは、やはり PEN E-P1 の登場が影響していると思います。ミラーレスの「一眼」に失望したのは、私ひとりではなかったようですね。

 auto-110は、掌サイズの小型一眼レフです。その代わり、ストロボは外付け、ワインダー(巻上機)も後付けです。両方装着するとコンパクトカメラに近い大きさになります。
 デジカメにワインダーは必要ないのですが、その部分にどういう機能を入れるのか・・なんて、そのままのデザインを本気で考えているファンもいます。

 仮に PENTAXがマイクロフォーサーズを採用するとしても、auto-110 そのままということはないでしょう。フランジバックが違います。auto-110のほうが長いから、ミラーレスになる可能性が大です。
 そうなったら、非難轟々でしょうね。「ブルータス、お前もか!」みたいな話になるのは必定です。一眼レフのまま復活させるなら、独自の規格にするしかないと思います。

 昔のモデルを復活させようという発想は、メーカーが手詰まり状態だからかもしれません。外観だけ似せて過去の栄光にあやかろうとするのは、いささか情けない気がします。復活させるなら本物志向でいくことを望みたいですね。

PENTAX auto-110 の詳細はコチラを参照
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