2012/04/09(月)悲運のフルサイズ機

 ニコン D1 発売の翌 2000年には、京セラが CONTAX ブランドのデジタル一眼レフを計画中と、アドバルーンを上げました。21 世紀の幕開けにふさわしいニュースです。
 実際の発売は 2002 年にずれこみましたが、629 万画素でフルサイズという贅沢なスペックです。価格も 80 万円と超贅沢でした。

 Nikon D1 が報道カメラマン向けだったのに対し、CONTAX N デジタルは作品志向のアドアマ層を対象にしていました。フィルムと画質で勝負するには、まだ早すぎた感があります。ただ N システムの AF レンズが使えるデジタルカメラ・・という位置づけでしかありませんでした。それにしては 80 万円は高過ぎます。

 この当時は、オートフォーカスでなければ売れない時代でした。中判の PENTAX 645 ですら 1997 年に AF 化しています。京セラが満を持して 1999 年に発売した CONTAX 645 もオートフォーカスでした。
 135SLR は 645 よりも後の 2000 年に発売された CONTAX N1 です。その前に、ボディー側で AF 作動する AX という機種がありましたが、消費者の支持を得られずに終わっています。

 645 用のツァイスレンズは、アダプターを介して N1 にも使えました。開放測光や AF も連動するスグレモノです。この N システムが使えるデジタルボディーが、「N デジ」でした。
 フランジバックが違うので、従来のヤシカ/コンタックスマウントのレンズは使えません。これを機に、AF 対応のツァイスレンズに替わっていくかと思われましたが・・・

 出遅れを取り戻すことなく、2005 年に京セラはカメラ事業からの撤退を発表します。 645 用レンズも N レンズも普及しないまま終了となりました。
 現在、マウントアダプターを使ってミラーレス機に利用されているのは、ほとんどがマニュアルフォーカス時代のツァイスレンズです。当時はマニュアルというだけで見向きもされなかったのに・・・

2012/04/08(日)プロ用カメラの黎明期

 本棚に残っていた古いカメラ雑誌に、ニコン D1 の広告が載っていました。「プロフェッショナル・デジタルカメラの新しいスタンダード、Nikon D1 誕生」とあります。
 「9月末発売予定」となっているから 1999 年の発行です。ボディー価格 65 万円は、「消費税別」となっていました。当時はそういう表示の仕方でしたね。

 「総画素数 274 万画素大型原色 CCD」という謳い文句です。どんな仕様だったのかネットで調べたら、ニコンのサイトに D1 のページが残ってました。「本製品のメーカ在庫は終了しました」となっています。(そりゃそうだわね)
 23.7x15.6mm サイズ原色 CCD、有効画素数 266 万画素というスペックは、いまになってみれば「なに?それ」ですが、外観は D 一桁シリーズの原型らしく立派です。知らない人に、今度出た D4 だと言っても通るくらいです。実際には F5 ではなくて F100 のボディーがベースだったようですが・・・

 単にプロ用と謳っていますが、ターゲットは報道関係です。このスペックでは商品写真には使えません。当面の活躍の場は、2000 年のシドニーオリンピックでした。撮ったその場で電送するには、プロ仕様のデジタルカメラとシステムが必要です。
 連写速度は 4.5 コマ/秒。当時としては立派な数字です。D2 では高画素タイプ(X)と高速タイプ(H)がありましたが、高速連写は D 一桁シリーズに共通するものです。高画素化よりも、速写性と高感度への対応は、報道用カメラに求められる要素です。

 フォーマットサイズが 135 フルサイズになるのは、D3 からです。まだ4年ほど前の話です。プロユースはフルサイズが当然という感覚は、ハイアマチュアまでターゲットにした EOS 5D や D700 が出たからでしょうね。このクラスは、写真館などで業務用途にも使われています。

2012/04/07(土)世紀末―デジカメ黎明期

 本棚に「デジタルカメラ EXPRESS」という雑誌が残っていました。21 世紀になる前の 1999 年の発行です。当時のデジタルカメラ 45 機種のスペックが一覧表示されています。「200 万画素以下」と「200 万画素以上」というランクわけです。

 一眼レフはほとんどありません。俗に言うコンデジばかりです。それでもレンズ一体型の一眼レフが、オリンパスから2機種出ていました。
 レンズ交換式は、ミノルタ Dimage RD3000 の1機種だけです。マウントは Vectis 用レンズと同じで、ツイン CCD という変り種でした。価格は 36 万円です。

 コンデジも高いですね。FinePix 2700 が 94,800 円、PowerShot A50 が 79,800 円、安い機種でも6万円台です。実売価格で4万円台半ばからですか・・・
 200 万画素前後でも当時としては最新機種なのですが、普及するにはまだ高価です。画質的には、サービス判がやっとプリントできるレベルでした。

 雑誌に載っているサンプル写真をみても、1ページ全面や見開きはありません。ブロードウェイを撮影した縦長の超ワイド写真は、ニコン COOLPIX 250 にワイドコンバージョンをつけて、5枚合成したものでした。
 当時のデジカメは、大きなプリントにするのではなく、パソコンの画面で見たり、WEB で使う画像を撮るのが主な目的でした。いざとなればプリントにもできるレベルに、やっと到達したころです。

 ホームプリンターもようやく登場した段階です。A4 サイズのカラープリンター EPSON PT-100 の広告が見開きで載っています。価格は 69,800 円。
 21 世紀に入ってから、デジタルカメラは一気に普及します。画素数が上がっただけでなく、パソコンの性能が写真画像を扱えるレベルになり、ホームプリンターが手ごろな価格で手に入るようになったのも追い風でした。
OK キャンセル 確認 その他