2009/03/31(火)撮影会でのアイキャッチ

 アマチュア写真家相手のモデル撮影会では、クリップオンタイプのストロボを使って日昼シンクロをしている人をよく見かけます。
 目的は、レフ板代わりもいれば、暗い場所での照明代わりに使う人もいます。暗いからという理由でストロボを直焚きする人は、初心者ですね。

 ポートレート撮影に慣れたアマチュアは、ストロボ光を強く当てることはしません。弱く軽く光らせています。ストロボの影が出るようなら、当てすぎです。
 なぜストロボを?という質問には、「アイキャッチを入れたいから」という返事が多いですね。露出に影響しないくらい弱く焚いても、瞳にはアイキャッチが入ります。

 全身や七分身のポートレートなら、このやり方でも構いませんが、アップの写真では不都合があります。針で突いたようなアイキャッチしか入らないからです。
 野鳥の撮影では、10m以上離れた位置からでもストロボを焚きます。目にアイキャッチを入れるためです。鳥なら針で突いたようなアイキャッチでも構いません。自然界の太陽は、ほぼ点光源だし、目で表情が判別できないからです。人物では、そういうわけにはいきません。

 アップの写真で一番大事なポイントは目です。瞳が丸くて立体的であること、目のハイライトの入り方で表情が変わること、この2点を重視するなら、ストロボの直焚きは、あまり感心しないやり方です。
 人物写真を撮るときにピントを合わせる位置は目です。斜めを向いているときは、手前の目にピントを合わせます。細かくいうと、目に映り込んだハイライトにピントを合わせます。

 このときに、目に映り込んだハイライトの状態をチェックします。瞳に十分な輝きがあるのなら、余分な光を加える必要はありません。ストロボの直焚きは、かえってマイナス効果となります。
 屋外でのポートレート撮影では、自然なハイライトが一番いいですね。

2009/03/30(月)瞳のハイライトで特殊効果

 瞳が球体であることを立体的に表現するために、大きなディフューザーを使って、それを映り込ませる技法は、ポスターの撮影に慣れているプロの得意技です。

 この原理を使って、瞳に特殊な形のハイライトを入れることがあります。瞳孔の中心に放射状のハイライトを入れたり、猫の目のような形のハイライトを入れるやり方です。
 映り込むハイライト部分の形を変えるわけです。どちらかというと遊びの要素が強い特殊な表現といえます。見方によっては、テクニックの「ひけらかし」と言えなくもありません。

 瞳に自然なハイライトが入った写真は、普通のひとが見ても何の驚きもありません。ただ普通に自然に写っているだけです。実際には、この「普通に自然に・・」というのが、一番難しいのですが・・・
 特殊表現のハイライトは、一時の流行で、その場限りのサプライズです。原理さえ知っていれば、いつでも再現することができます。

 数年前に、スタジオ写真関係のフェアで、瞳に放射状のハイライトを入れるディフューザーを展示しているブースを見かけました。遮光された板に放射状のくり抜きがしてあるバンクです。
 「現品処分価格」になっていましたが、結構高めの値段がつけられていました。輸入物の激安ストロボを扱っている会社にしては、値打感がありません。
 ディフューザーだけ自作すれば、手持ちのストロボでもできます。買う人はいないでしょうね。

 道具だけ手に入れても、使い方を知らなければ宝の持ち腐れです。奇をてらった特殊効果を追い求めるより、まずは自然なハイライトを瞳に入れるテクニックを身につけるのが先だと思います。
 これができれば、あとは応用で何とでもなるはずですから・・・

2009/03/29(日)ポスターの人物撮影

 写真館などの記念写真と宣伝用のポスターでは、撮り方が全く違います。
 記念写真は個人用で、プリントサイズは小さめです。宣伝用のポスターは、お金を生む源で、プリントサイズはかなり大きくなります。

 コマーシャルフォトの撮影現場を見ていて、一番驚くのはショット数の多さです。たった1枚の画像を得るために、数百からときには千ショット以上撮影します。手間と経費をかけるからには、少しでも出来のいいカットを作らなければならないからです。
 写真館でこんな撮り方をしたのでは、採算が合いません。せいぜい数ショットから数十ショットです。

 もうひとつ違うのは、ライティングです。
 記念写真は六切程度のプリントです。アップで撮っても顔の大きさはしれています。
 一方、ポスターは実物大かそれ以上になることがあります。このとき問題になるのがモデルの瞳です。単純にアイキャッチが入っていればいい・・ということでは済みません。

 人間の瞳には、周りの情景が映り込みます。小さいプリントではわかりませんが、ポスターになると照明がモロにハイライトとして映ります。ライティングがネタバレしてしまいます。
 この写真は左メインでパラソルだ・・なんてね。

 ポスターの仕事に慣れたプロは、瞳の映り込みを考えてライティングします。
 大きなディフューザーを天井から垂らし、その向こう側にライトを組みます。明暗差とグラデーションのある面を作って、それを瞳に映り込ませるわけです。

 瞳の立体感を出すために、ディフューザーの向こうに何灯か仕込みます。例えば1灯はダイレクトに、もう1灯は拡散光で当てます。輪郭がボヤけた光の中に強い光の芯を作ることで、目に立体感と輝きを演出します。
 最近では、ここまで手をかけた写真を見る機会が少なくなりました。素人仕事のポスターが氾濫しています。
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