2009/03/29(日)ポスターの人物撮影

 写真館などの記念写真と宣伝用のポスターでは、撮り方が全く違います。
 記念写真は個人用で、プリントサイズは小さめです。宣伝用のポスターは、お金を生む源で、プリントサイズはかなり大きくなります。

 コマーシャルフォトの撮影現場を見ていて、一番驚くのはショット数の多さです。たった1枚の画像を得るために、数百からときには千ショット以上撮影します。手間と経費をかけるからには、少しでも出来のいいカットを作らなければならないからです。
 写真館でこんな撮り方をしたのでは、採算が合いません。せいぜい数ショットから数十ショットです。

 もうひとつ違うのは、ライティングです。
 記念写真は六切程度のプリントです。アップで撮っても顔の大きさはしれています。
 一方、ポスターは実物大かそれ以上になることがあります。このとき問題になるのがモデルの瞳です。単純にアイキャッチが入っていればいい・・ということでは済みません。

 人間の瞳には、周りの情景が映り込みます。小さいプリントではわかりませんが、ポスターになると照明がモロにハイライトとして映ります。ライティングがネタバレしてしまいます。
 この写真は左メインでパラソルだ・・なんてね。

 ポスターの仕事に慣れたプロは、瞳の映り込みを考えてライティングします。
 大きなディフューザーを天井から垂らし、その向こう側にライトを組みます。明暗差とグラデーションのある面を作って、それを瞳に映り込ませるわけです。

 瞳の立体感を出すために、ディフューザーの向こうに何灯か仕込みます。例えば1灯はダイレクトに、もう1灯は拡散光で当てます。輪郭がボヤけた光の中に強い光の芯を作ることで、目に立体感と輝きを演出します。
 最近では、ここまで手をかけた写真を見る機会が少なくなりました。素人仕事のポスターが氾濫しています。
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