2010/02/28(日)やってはいけない画像修整

 工事写真にはとかくつきものの画像処理ですが、黒板の日付を直す程度なら大目に見られるとしても、やってはいけない画像修整があります。工事内容そのものの偽装です。

 鉄筋の数を増やす・・なんてのは絶対にいけませんね。手抜き工事をごまかすために記録写真を直すのは犯罪行為です。いくら日頃付き合いのある相手からの頼みでも、こういう依頼はキッパリ断るべきです。
 何か問題が起きたときに、工事写真まで偽造していたとなると、悪質なケースとして責任を問われます。姉歯事件みたいに、バレなきゃいいという安易な考えで偽装するのは社会悪です。

 記録すべき写真が欠落していた場合、既に工事が進行していて撮り直しができないときは、正直に撮り損じを申告するのが筋だと思います。
 ところが、役所の担当者によっては、工事のやり直しを指示したり、工事内容を証明する検査を要求したりすることも考えられます。そんな面倒に巻き込まれるくらいなら、記録写真を作ったほうが得策だという考えが頭をよぎります。

 体裁さえ整っていればそれでよしとする役所の体質が、工事写真の修整に拍車をかけているように思います。間違いを犯したときに、正直者がバカをみる風潮があるかぎり、偽造はなくならないかもしれませんね。

 官公庁では、年度末の決算のときに金額が合わないのは一大事だそうです。何億円もの出納で、1円の狂いもないのは不自然ですが、ピッタリ合うのが決まりになっています。
 聞いた話では、帳尻を合わせるために、偽の領収書に押すハンコを作る「名人」がいるそうです。チョークを彫って作るようですが、年度末になると「名人」は引っ張りダコだとか・・・

 こちらは有印文書偽造です。工事写真にはハンコは押してないから、まだ罪は軽いかもしれませんね。

2010/02/27(土)土建写真の修整内容

 公共の建築土木写真で、画像の修整が横行しているのは、周知の事実です。一番多いのは、黒板の字の修整だという話を聞きました。
 それだけ「書き間違い」が多いということですか・・・

 後で書換えができるから、作業がラフになっているのかもしれません。ライトワンスメモリーになれば、もっと注意するでしょうね。
 それでも間違いは起こるし、契約上の理由で日付を変えたいという事情が発生するかもしれません。工事写真の修整は必要悪のようです。

 作業員のヘルメットの字を消すということもあるそうです。下請の社名が出てはまずいということでしょう。現場で働いている人には、そういう意識がないから、いつもどおり普段使っているヘルメットで作業するのが普通です。
 落札しておいて下請に丸投げ・・というのは、よくある話です。

 フィルム時代には、撮影に失敗したり、裏ブタをうっかり開けたりして、写真が残らないことがありました。工事は進んでいるし、いまさら掘り返して撮り直すには費用が掛かります。
 そんな窮地を救っていたのが、DPを請け負っていた写真店でした。

 舗装された道路を土の状態にすることもあったようです。実際にもう一度やり直したら、コストも掛かるし工期が延びます。写真の加工代と複写代で済めば、万事丸く収まります。
 工事写真が多かった写真店では、現像したフィルムに何も写っていなかった場合は、すぐに電話で知らせていたそうです。いまならまだ撮り直しができるかもしれない・・という配慮です。

 デジタル化で、その場で画像が確認できるようになって、失敗の確率は減ったはずですが、後からの修整は一向に減らないみたいです。簡単に修整できることで、写真撮影がますますラフになっているのかもしれません。

2010/02/26(金)建築土木写真の修整

 公共工事の記録写真がデジタル化されたのは、比較的早かったと記憶しています。愛知県では、2005年の万博(愛・地球博)までにデジタルに全面的に切り替える方針だったから、2003年頃には多くの業者がデジカメで撮影していたはずです。

 普及し始めのころのデジカメは、画素数的には100万画素程度でした。それでもサービス判程度の写真なら実用できました。
 国の基準では、80万画素以上となっていたはずです。なぜ100万画素以上にしなかったのかは、コダックのデジカメが80万画素だったからだと言われています。当時は日米貿易摩擦の問題で揺れていて、米国の企業を政府が排除したと思われたくなかったんでしょうね。

 CD-ROMまたはMOディスクの提出を義務付けていました。CD-ROMというのは、CD-Rメディアに画像を焼き付けたもの・・という意味でしょう。MOというのは、いかにも日本的ですね。
 メディアの提出は、フィルムのベタ焼に相当するものでした。年度末近くになると、土建関係に強い写真店には大量のネガが持ち込まれて、ちょっとした売上利益源になっていました。それがなくなったのは痛かったでしょうね。

 デジタル化によって、それまでは写真店に持ち込まれていた写真修整の依頼も激減します。一番多かった黒板の字を書き直す程度の修整は、デジタル画像なら素人でも簡単に直せます。
 フィルム時代には、実物の黒板を撮影して元の写真に貼り付け、もう一度複写して原板を作っていました。丸抱えの写真店には、土建会社の黒板が預けっ放しにしてあることもあったようです。デジカメに替わって、そういう仕事もなくなりました。

 それでも素人のやる修整では、雑な仕上りになりがちです。役所の人から「自分にも立場というものがある」と言われて、紹介された写真店に泣きつく業者もあったとか・・・
 その場で御用にしないばかりか、腕のいい写真店まで紹介するあたりが、いかにも官民癒着ですね。
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