2012/03/28(水)135SLRマウントとの整合性

 一眼レフのミラーレス化で、135SLR 用マウントの存在意義が怪しくなってきました。デジイチは APSC で十分というなら、あの大きなマウント径と長いフランジバックは不要です。135SLR 用に開発されたマウントは、やはりミラーボックスのあるフルサイズ機でないと存在意義がないように思います。

 35mm 映画フィルムを利用したスチールカメラは、ライカからスタートしました。135 フルサイズが「ライカ判」と言われる所以です。
 当時のライツ社が、標準レンズの焦点距離を 5cm と決め、フランジバックを 28.8mm としたのには、それなりの理由があったはずです。ミラーボックスのないカメラは、このくらいのフランジバックがあれば十分でした。

 後にバヨネット式となったライカ M マウントが、ネジ込み式の L マウントよりもフランジバックを 1mm 短くしたのは、マウント変換アダプターを利用するためでした。ボディーを設計する上で制約がなければ、フランジバックは短いほど融通性があります。

 ソニーのミラーレス機 NEX は、APSC でフランジバックが 18mm と短くなっています。では、この規格でフルサイズは無理かというと、そんなことはないと思います。開口径がライカ L マウントより 2cm も大きいので、レンズ全体を前に約 1cm せり出させれば、原理的にはライカと同じレンズ設計でもいいわけです。マウントアダプターを介してライカ用のレンズが使えるのはその証しです。

 あそこまでボディーを薄くする必要はない、との意見もあるようですが、半透過式ミラーを仕込んだマウントアダプターで AF まで対応できたのは、フランジバック差があってのことです。
 ソニーが 135SLR 用 A マウントと、ミラーレス用 E マウントの互換性を実現したことに、他社は大きな衝撃を受けたと思います。シェアを握っているメーカーほど、過去のレンズ資産をテコとして活用したいはずです。ニコキャノはどう出ますか・・・

2012/03/27(火)沈胴式のレンズ

 ミラーボックスのないカメラの交換レンズに「沈胴式」というのがあります。普段はボディーの中に収納されていて、撮影するときに引っ張り出して使います。L マウント時代のライカに利用されていました。

 ミラーボックスのない K マウントカメラ PENTAX K-01 なら、沈胴式のレンズができそうです。撮影時にミラーに干渉しない設計であれば、従来の一眼レフでも撮影できます。要は沈胴させなければいいわけです。K マウントでミラーレス機専用というのは、営業政策的に不利です。

 ビオゴンみたいな前後対象形のワイドレンズは、一眼レフには不向きです。昔、他社でミラーアップして使う超広角がありましたが、すぐにレトロフォーカスタイプに替わりました。ファインダーが外付けでは、一眼レフの特長が生かせません。
 後玉が出っ張っている超広角レンズは、デジタル式の撮像素子が苦手なタイプです。周辺光量の低下と色被りが出やすいのが難点です。K マウントのミラーレス機で、この手のレンズが供給されることはないでしょう。

 40mm(換算 60mm)のビスケットレンズはすでにあるから、沈胴式で出すとすると何ミリがいいでしょうか? ローパスフィルターなどの関係で、フランジ面から 4cm 程度しか沈胴できないとして、全長 5cm くらいの長さに収めるとなると限られます。
 それとオートフォーカスをどうするか?です。マウント内径に収まる太さの鏡筒にレンズ内モーターを組み込むのは、かなり無理がありそうです。

 K-01 はミラーがないだけで、ボディーの厚みは他の一眼レフと同じです。レンズをいくら薄くしたところで、他社のミラーレス機よりも大きいことに変わりはありません。
 苦労して沈胴式のレンズを開発しても、売れるかどうかは疑問です。今回の思いつきは、実現性に乏しかったみたいですね。

2012/03/26(月)賛否両論のK-01

 PENTAX ブランドで面白いミラーレス機が発売されました。K-01 です。マウントが従来の K AF2 というのがミソですね。Q のほかに中途半端な独自マウントを作らなかったのは、賢明な選択だと思います。

 世界屈指のデザイナー、マーク・ニューソンがデザインした、というのが売り文句のひとつです。有名デザイナーの「作品」には、賛否両論がつきものです。良い悪いではなくて、好き嫌いの問題ですが・・・
 性能がよくて使いやすければ、「さすが有名デザイナー」ということになるし、評価されずに人気が出ないともうボロクソです。

 K マウントの一眼レフと同じ感覚だと、EVF か OVF かはともかく、ファインダーがないことに違和感を覚える人は多いでしょう。リコーにはあるのに外付けの EVF すら用意されていない、との不満も聞かれます。
 背面の液晶パネルがあれば十分という意見がある一方で、ティルトができないのを嘆く人もいます。拘る点は人それぞれです。

 このカメラの最大の特徴は、位相差センサーを使わないコントラスト AF だということです。ミラーレスにするための条件のひとつです。子供やペットの動きに追随できる速さがあれば、一般的な撮影に支障はないでしょう。

 デザインについては、いろんな評価があって当然です。ひとつ言えるのは、ミラーレスにした利点をどう活かしているかだと思います。レンズをフランジ面の後ろに押し込んで、出っ張りをなくしたのはその一例かも?
 DA40mm F.8 XS をパンケーキならぬビスケットレンズと呼ぶ人もいるとか・・・

 ただしこのレンズ、発表前には K-01 以外のボディーには使えないとの噂でしたが、実際には K マウントの一眼レフに装着できるみたいです。ミラーボックスがないのを有効利用したわけではないようです。
 PENTAX の場合は、オールドレンズでもミラーアップして使うタイプはなかったから、この分野は未開拓です。ミラーレス専用の K マウントレンズが登場するかどうかは、K-01 の売れ行き次第でしょうね。
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