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2021年09月05日の記事

2021/09/05(日)いまどきの葬式の在り方を考える

 つい先日、母親が老衰で亡くなって葬式を執り行いました。コロナ過で非常事態宣言下の葬式です。規模は最小限にするつもりでしたが、人によって考え方はマチマチです。

 葬祭などは特別な行事で日常とは違うという考えの人もいます。お盆の帰省は特別、親戚の集いも特別といった認識は、人との接触を最小限にする感染防止対策と矛盾します。葬式ではそれが顕著に出ます。「最小限に」と言ってた私の親族はゼロ、遠隔地の弟は家族4人全員でした。

 こういう情勢での葬式は、個人的には密葬が原則だと思います。亡くなった人がコロナ感染者じゃなくても、参列する人は密集を避け、感染防止に努めるのが基本です。県境をまたいだ参加は厳に慎むのがマナーでしょう。

 葬儀屋としては、それでは売上になりません。一番の稼ぎ頭は祭壇のグレードアップです。事前に相談したときも、葬儀前の打ち合わせでも、式場側のセールストークはこの一点にほぼ集中してました。

 いまどき大勢の参列者を集めて葬式をやることは稀です。参列できない、あるいは参列をためらう人にも参拝してもらえるよう、ネットを通じたオンライン葬儀をもっと進めるべきではないかと、担当者には提言しておきました。現に私の子供は海外在住者もいます。

 式場での参列者は近親者に限られるとしても、ネットを通じて大勢の人に葬儀の様子が配信されれば、祭壇を豪華にする意味合いが生まれます。今回の葬式は通夜・本葬を通じて2等親内で最大5人の参列者でした。見栄を張る必要はないはずですが……

 それでも弟はグレードの高い祭壇を注文してました。外部からの参列予定者がいないにもかかわらずです。自分の家族に見栄を張ったみたいなもんですね。こういうパターンは結構ありそうです。価値観は人それぞれだから、異論をはさまず黙ってたけど、余分な出費だと思います。

 でも、ドブに金を捨てるようなものだと言う気は毛頭ありません。式場の売上が上がれば、遺体を洗う人や、花を納入する業者などにお金が回ります。余分であっても決して無駄ではないわけです。

 「総理、どうして葬儀は不透明なのですか?」というCMで有名な某葬儀社でも、営業の基本は旧態依然のようです。売上アップの基本が単に祭壇のグレードアップという古い図式から脱却できない限り、新しい葬式の形は見えてこないでしょうね。

 葬儀はオンラインのバーチャル空間で。これがこれからのキーワードではないでしょうか?
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