2012/05/25(金)フルサイズの普及機は売れるか?

 メーカーにとっては虎の子のフルサイズ一眼レフですが、普及機も出すはめになりそうな気配です。ミラーレス機への傾倒が、そうせざるを得ない雰囲気を創り出しているようです。
 個人的には、いい傾向だと思います。ずいぶん前に、低価格のフルサイズ機を望む記事を書いたことがあります。手元にある交換レンズでちょっと遊んでみるには、現行のフルサイズ機では金額的にもったいない気がしたからです。

 すでにフルサイズのデジイチを持っている人は、フィルム時代の古いレンズがあまり役に立たないのを知っているはずです。とくにワイド系は、使い物にならないものが目立ちます。APSC 機で使ってみてアラのあるレンズは、まずダメとみて間違いないでしょう。
 コニミノのナナデジでフィルム時代の AF24-50mm F4 を使ったら、24mm 側はボケボケで惨憺たるものでした。フィルムではあんなにシャープに切れていたのに・・・

 原因はいろいろありますが、いちばん多いのはピント面の不整合です。ワイド系は被写界深度が深い代わりに、撮像面側の焦点深度が薄くなっています。乳剤層に厚みのあるフィルムではよく写っていたのに、デジカメではまともに写らないことがあります。撮像センサーのピント面はシビアだからです。

 一方、望遠系は被写界深度は浅いのに、焦点深度が深いのが特徴です。例えば、レンズに多少のガタがあったとしても、片ボケしたりピントが外れることは稀です。
 AF24-50mm も 50mm 側はよく撮れていました。ライブビューでピントを合わせたらワイド側でどうなるかですが、残念ながらナナデジにはライブビュー機能がありません。ひょっとしてレンズの固体差かもしれませんが、原因は不明です。

 ワイド系をそのままの焦点距離で使いたくてフルサイズを望んだのに、皮肉な結果になりそうです。古いレンズしかない場合はフルサイズを諦めて、APSC でいいからワイドズームを1本買い増ししたほうが賢明かもしれません。
 オールドレンズで遊ぶなら、フランジバックの短いミラーレス機のほうが汎用性があります。使った後の結果はどうであれ、ミラーレスのフルサイズ機は、価格次第でヒットする可能性があると思います。

2012/05/24(木)フルサイズ機が目白押し?

 これまで普及型の 135 フルサイズを待望する声がありながら、投入された機種はプロ用とハイエンド機ばかりでした。撮像センサーのコストが高かったのと、もう少しこの分野で売上利益を稼ぎたい、メーカーの思惑があったからだと思います。
 ところがここへきて、普及価格帯のフルサイズ機が出るとの噂がしきりです。大型撮像センサーの歩留まりがよくなったのと、ミラーレス機の台頭が関係しているみたいです。

 ミラーレス機の人気に押されて、ミラー式の一眼レフにかげりが出てきました。大きくて重い一眼レフでなくても、小型軽量でレンズ交換できるミラーレス機で十分との認識が広まっています。
 APSC サイズの機種もあるし、マイクロ 4/3 も画質面で健闘しています。電子式ビューファインダー(EVF)の高性能化で、光学式ビューファインダー(OVF)の優位性が薄れつつあるのも、一眼レフ離れに拍車をかけているようです。

 ニコン・キヤノンの大手2社にとって、好調だった一眼レフに頼れる時代は過ぎようとしています。もう少し稼ぎたかったかもしれませんが、時代がそれを許しませんでした。フルサイズ機を APSC 上位機種の価格帯で投入する時期がきたようです。
 フルサイズ対応の交換レンズが揃っている2社にとって、フルサイズの普及機投入は、他社との差別化を図るチャンスでもあります。いまからレンズのラインナップを揃えるのは、大手家電メーカーといえども荷が重いからです。

 そこへソニーが割って入ろうとしています。ミノルタから継承した一眼レフシステムがまだ健在です。ソニーになってからは、少ないながらもツァイスレンズも加わりました。プロユースやアドアマ層向けでは水をあけられていますが、一般ユーザーに魅力のある新製品を続々投入しています。

 今年は2年に一度のフォトキナがある年です。一眼レフをめぐる各社の動向から目が離せない状況です。それと同時にミラーレス機の動きにも要注目です。先発組はもちろん、まだ参入していない大手メーカーがあるのが気になります。
 フルサイズ機の商戦に破れ、ミラーレス機でも大きく遅れをとったら・・・ カメラ業界の勢力図が変わるかもしれません。

2012/05/23(水)三層構造vs.モノクロセンサー

 現在、ベイヤー配列でないカラー撮像センサーは少数派です。カラーフィルターの配列を変えたものが登場していますが、これも原理は似たようなものです。唯一違うのは FOVEON の三層構造センサーくらいです。

 FOVEON は、撮像センサーを三層重ね、途中にカラーフィルターを挟んだ独特の構造です。表から見た1素子分の面積で三原色の情報が得られます。カラーフィルムに似た構造です。
 そのため偽色の発生はないとされています。モアレ(干渉縞)が出る確率も下げられます。ローパスフィルターは不要で、デジタル式らしいシャープな画像が得られるのが特長です。

 シグマが FOVEON 社を買収した関係で、この三層構造センサーは、今のところ同社だけが採用しています。ライカがフルサイズで採用したら話題騒然でしょうが、当面その可能性はなさそうです。
 今回のライカMモノクロームに搭載される撮像素子は、135 フルサイズで 1800 万画素です。一方、シグマ SD-1 は APSC サイズで 1536 万画素。メーカーが言う三層構造で3倍の 4600 万画素というのは、カラー情報を加えての話で、モノクロ写真が目的なら、表から見える素子数で比べるのが順当です。

 カラー写真を中心に、たまにモノクロ写真という場合は、SD-1 のほうが利用価値があります。ほかにカメラを持っていて、本格的なモノクロ写真を撮りたいなら、やはりライカのほうに軍配が上がるでしょう。価格? それはまた別の問題です。

 SD-1 の発売時価格は 80 万円でした。FOVEON センサーの歩留まりが悪かったからだと言われています。これがライカブランドだったら価格的には何の抵抗もなかったと思います。現在の実販価格は値下げされて約 20 万円です。
 これを安いみるか、まだ高いとみるかは、人それぞれです。モノクロセンサーを搭載した専用機が出ることで、FOVEON センサーが再び注目される可能性はあると思います。

 「酸化セリウム」の先生の御曹司によると、ライカのモノクロ専用機は赤外感度がないそうです。どうやら赤外感度が比較的高い M8 か、価格的に安くなった SD-1 あたりを考えているみたいです。
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