2012/05/19(土)モノクロ専用機の優位性

 ライカからモノクロ専用のデジタルカメラが発表されたのを契機に、カラー写真とモノクロ写真について考えてみました。カラー情報を破棄してモノクロ化するのは、どのデジカメにもついているエフェクト機能です。フォトショップでも簡単にできます。逆はできませんが・・・
 では、なぜいったいモノクロ専用機なのでしょうか?

 フィルム式とデジタル式は、似て非なるものです。写真を撮る目的は同じでも、映像化する方式が違います。化学的処理と電気的処理の違いです。
 その前の段階・・・つまり撮像面に被写体を投影する方法は同じです。光学的な部分です。そして、色を識別する原理も基本的には同じです。フィルターを使って三原色を捉える方法は、アナログもデジタルも一緒です。

 ハロゲン化銀の粒子は、光を感じても色の識別はできません。カラー化するために、乳剤層の中にフィルターを仕込んで、三原色に分離します。そのため乳剤層が厚くなり、シャープネスが損なわれます。その点、モノクロフィルムは乳剤層が薄く済みます。とくに低感度フィルムの乳剤層は薄く、粒子が細かいので、画像は極めてシャープです。

 デジタル式の撮像センサーも光量は測れますが、色の識別はできません。そのためにセンサーの前に色分解フィルターを置いて、カラー情報を得ます。一般的なデジカメのセンサーは、RGB が細かい格子状になったフィルターを使う、ベイヤー方式を採用しています。RGB にもうひとつ G を加えて、4素子で色と明るさを判断します。

 実際には、4素子で1ピクセルではなく、隣近所の情報を補完して4ピクセルに仕立てています。その代わり、画素数を稼いだ代償として、画質低下と偽色発生の問題がついてまわります。モノクロ専用のセンサーには、この問題がありません。(干渉縞は別)

 こうしてみると、カラー写真とモノクロ写真は別物であることがわかります。デジタルカメラは撮像センサーという「フィルム」を内蔵している形です。フィルム式カメラはフィルムを交換できますが、デジカメの撮像センサーは、固定されていて交換不能です。
 モノクロ専用のデジタルカメラというのは、やはりアリだと思います。モノクロフィルムを常用している人がどれだけいるか?という問題はありますが・・・

2012/05/18(金)今年はフォトキナがある年

 今年は、ドイツのケルンで2年に一度開かれるフォトキナがある年です。カメラだけでなく、写真映像用品から音響設備まで、幅広い分野のメーカーが出展します。
 ケルンメッセは広大で、すべての会場をひと通りサラリと見るだけでも丸一日かかります。見学日を1日だけしか設定しないのなら、わざわざ見に行く意味はないと思います。

 10 年ほど前に見学したときは、2日かけて周りました。それでも時間が足りないくらいです。当時はデジタルカメラの黎明期だったから、いまとはずいぶん様子が違ったと思います。銀塩プリンターの新製品に、報道関係者や業界人が群がっていました。コダックがやたらと広いスペースを占めていたのが印象的でした。時代は変わりましたね。

 フォトキナ前に発売される新製品が、ぼつぼつ案内されています。ライカからモノクロ専用のデジタルカメラが発表されました。「ライカMモノクローム」です。135 フルサイズセンサー搭載で、発売はフォトキナ前の8月予定だそうです。
 モノクロ専用機だなんて、ライカだから受け入れられるカメラだと思います。発想としてはあっても、実際に発売するのは勇気が要ります。M9-P がベースというから、一般の写真愛好家が手を出せる値段ではなさそうです。便乗して、リコーあたりから GXR マウントでモノクロ専用機が出たら少しは売れるかも?

 ウン十万円もするモノクロ専用機を誰が買うの?というのが、世間一般の反応だと思います。個人的には、買いそうな人を知っています。「酸化セリウム」の先生です。
 ライカのデジカメは M8 からずーっと興味を持っていたようですが、フルサイズの M9 が出てからは、真剣に購入を考えているみたいです。そこへお目当てのモノクロ写真専用機が出たとなったら、もうブレーキが効かないかもしれませんね。

 キーマンは先生の御曹司です。ニコン D800 をオヤジに買わせてサブ機にする計画は失敗しましたが、今度は十分脈があります。御曹司が「Mモノクローム」をどう評価するかです。親子二人とも欲しいとなれば、もう誰にも止められないでしょう。

2012/05/17(木)PCでプラネタリウム

 Ubuntu のプラネタリウムソフト stellarium を使って、直近の金環食や8月の金星食をシミュレートしてみました。実に面白かったですね。無料のフリーソフトでここまでできるとは驚きです。そのせいで、このところズーッと天文事象の話ばかりです。(やれやれ)

 ノートパソコンに入れて、実際に野外観測で星図代わりに使えるよう、文字や経緯線を赤色で表示する機能があります。目を刺激しない夜モードです。赤セロハンを被せた懐中電灯を片手に、星図をペラペラめくらなくて済みます。
 時間の経過と共に日周運動を再現するので、星座早見盤みたいに時角を合わせる必要はありません。なんといっても、その日その場所の月や惑星の位置を正確に表示してくれるのは、ありがたい機能です。

 星図や早見盤と決定的に違うのは、拡大縮小機能です。例えば、こと座の M27 をどんどん拡大していくと、天文台の大望遠鏡で見たようなリング星雲の写真画像が表示されます。りょうけん座の M51 もバッチリ子持ち星雲でした。並みの機材では、ここまでは見えませんね。
 望遠鏡で見てガッカリするといけないので、実際に観望するときは、あまり拡大しすぎないことです。

 木星を拡大していくと、4大衛星(ガリレオ衛星)が現れます。まさか衛星の運動まで再現してはいないだろうと、日にちを変えてみたら・・・ ナント!衛星の位置が変わっていました。芸が細かいですね。
 さらに拡大すると木星に縞があるのがわかります。大赤班のなごりがあるところを見ると、こちらは少し前の画像を使っているようです。

 土星はどうでしょうか? 輪があるのがわかる程度に拡大すると、衛星が8個ほどありました。こちらも公転を再現しているようです。同様に、火星のフォボスとダイモスも動いています。すごいですね。

 21 日の金環食を拡大してみると、自宅で見た場合はリングの太さに偏りがあるのがわかります。リングができてから欠けるまでの時間も事前にシミュレーションできます。
 stellarium には Windows 版と Mac 版もあるようです。一度試してみてはいかがでしょうか?
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