2012/11/18(日)カメラのムーブメントはレンズだけに?

 デジイチのミラーレス化が進み、シャッターまで電子化されると、撮影に必要な機構で最後まで残る機械的なムーブメントはレンズ部分になります。ピント合わせは既に電動化されていて、動画機能の重視でズーミングも電動化が進むでしょう。絞りリングのあるレンズは少数派だし、撮影者はボタン操作でコントロールするだけだから、手で動かしている実感はなくなりつつあります。
 インターナルフォーカスのレンズは、前枠が回転せず全長も変わりません。ムーブメントの証しだったかすかな回転音も動画を意識してか、さらに静かになりました。

 近い将来、実感的にムーブメントと呼べるのは、可動式の背面モニターだけになるかもしれません。これもスマホで代用できるようになると、姿を消す可能性があります。可動式のモニターは、カメラの小型軽量化と相反します。
 個人的には、もし EVF と背面モニターの二者択一なら、迷わず EVF を選びます。ファインダーを覗いて写真を撮るスタイルは、写真文化の一部だと思うからです。撮影した画像は EVF でも見られるし、WiFi 機能を使えば、スマホなど外部のモニターで画像を確認することも可能です。

 高画素化が進んだことで、トリミングのゆとりが増えました。仮に 135 換算で 28mm か 24mm のシャープな単焦点レンズを搭載したコンデジがあったとして、超解像技術を使ったスマートズームで望遠側をカバーすれば、日常のほとんどのシーンに対応できます。
 フォーマットサイズの小さなカメラは、被写界深度が深いので絞り込む必要はないし、絞りすぎると回折現象で画質が低下します。グローバルシャッターの採用と高感度特性のアップで、絞り機構は開放と F8 あたりの2段もあれば十分な時代がくるでしょう。

 こうなると、レンズ側の動きは簡易絞りとピント合わせだけです。カメラ全体の故障リスクはかなり減ると同時に、コストダウンにつながるはずです。それを利益として取り込めば外国勢に足元をすくわれそうだし、価格競争に走れば低価格コンデジの二の舞です。
 カメラから駆動部分が減るのは、メーカーにとって両刃の剣でもあるようです。

2012/11/17(土)シャッター音はお好きなように?

 一眼レフからミラー駆動がなくなり、フォーカルプレーンシャッターもなくなると、レリーズ時のシャッター音はしなくなります。舞台撮影にはありがたい話ですが、写真を撮る行為としては物足りなさを感じるかもしれません。
 一眼レフの愛好家は保守的で懐古趣味の側面があるから、人工的なシャッター音でもないと満足しない人もいるでしょう。何種類か用意しておいて、好きな音が選べるようになると思います。

 この方法は、ケータイやコンデジにも採用されています。本来は音がしないのに、わざとシャッター音がするようにしてあります。ケータイの場合は、盗撮防止の意味もあるそうですが・・・
 一方、これを嫌う人もいます。わざとらしいシャッター音が虚しいとの意見です。必然的にシャッター音を伴うカメラが世の中からなくなれば、無音で写真を撮るのが当たり前になるでしょう。

 これは自動車でも同じことで、化石燃料のエンジンで走る車がなくなれば、歩行者のために低速時に模擬のエンジン音を鳴らす、なんて発想はなくなるはずです。いまでも歩道を平気で走る自転車はエンジン音はしないから、こちらのほうが危ないかもしれません。

 個人的にはシャッター音はなくてもいいと思っています。カラオケ大会の撮影を頼まれたときは、モータードライブの巻上げ音が気になって、手でそっと巻き上げたこともありました。シャッター音がしなければいいのにと、つくづく思いましたね。
 これが芝居の舞台やクラシックコンサートなら、なおさらでしょう。シャッター音は撮影者の自己満足であって、周りの人には迷惑なものです。

 デジタル一眼レフにグローバルシャッターが搭載されるのは、まだ先になりそうです。それまで待つ気はありませんが、ミラーショックのないカメラを選ぶ可能性はあります。フォーカルプレーンシャッターの音だけだと、ライカのようなレンジファインダー機と似たようなものになると思います。それも一興ですね。

2012/11/16(金)シャッターから駆動部分がなくなる?

 フィルムの時代から、未来のカメラはどうなるのか想いをめぐらしてきました。当時はフィルムがデジタル撮像素子に変わるという発想がなく、無粒子フィルムや超高感度フィルムを想定していたと記憶しています。メーカー試作の未来を予測したカメラもそういう類のものでした。

 超高感度で無粒子に近いフィルムができれば、フォーマットサイズが小さくでき、シャッター速度と絞りが自由に選べる可能性が出てきます。当時は感度が自由に変えられるようになるとは思いもよらなかったので、シャッター(遮光)幕の透過率を無段階に変えることを考えていました。
 液晶シャッターみたいなものです。受光体はあくまで超高感度フィルムだから、常時完全に遮光するのは難しそうだと、真剣に悩んだものです。

 デジタル時代の到来で、フィルムはアッ!と驚く撮像センサーに変わりました。小型映画がビデオに変わったことで、途中からは予測できたはずだから、ちょっと大げさですが・・・
 撮像センサーから直に画像データを読み出す電子シャッターが現れます。自動露出を可能にした電子制御のフォーカルプレーンシャッターと紛らわしいので、ここではローリングシャッターと呼びます。

 読み出し速度の関係で、動く被写体が変形するのが欠点です。これはフォーカルプレーンシャッターも同じことで、回転する飛行機のプロペラが変形して写るのは、よく知られた現象です。ローリングシャッターは、それが顕著に現れます。
 最近になって、撮像センサー全体の画像データを瞬時に取り込めるグローバルシャッターが注目されています。動く被写体の変形がなく、ISO 感度の自動シフトと併用することで、ある程度自由な露出の組み合わせが可能になります。

 最終的には、カメラから駆動式のシャッター機構は姿を消すと思います。物理的な制約から解放され、電子的な制約を克服していくことで、連射速度の高速化は一気に進むと予測します。
 トランスルーセントミラーテクノロジーは、まだ序の口の技術なのかもしれません。グローバルシャッターが一般化する時代がきても、まだミラーだけがパタパタする光学式ファインダーが主流派で残っているのでしょうか?
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