2008/01/30(水)明るい話がない

 この間、暗い話が続きました。銀塩がらみの話題になると、どうしても暗い話になってしまいます。明るい話にしようと思うと、デジタルに題材を求めるしかないようですね。

 フィルムカメラに取って代わって急成長を続けたデジタルカメラですが、これから先が明るいかというとちょっと疑問です。
 カメラの販売ルートは、デジタル化(家電化)によって、市中のカメラ店から家電量販店に拡大・移行しました。伸びが期待できる商品には、一斉に力を入れてくるのが家電業界の体質です。ところが、この状況に変化が現れています。ケータイ電話へのカメラ搭載です。
 写真を撮るのにカメラはどうしても必要なアイテムではなくなりました。ケータイなら、撮ったその場で画像を転送することができます。場合によっては、デジカメよりも便利です。

 家電量販店のデジカメコーナーは縮小傾向にあります。伸びが期待できるデジタル一眼レフは、ある程度知識を持った店員がいないと売れません。「白モノ」(冷蔵庫や洗濯機など)が中心の家電店には、目方は軽くても荷が重い(?)商品です。
 もともと家電業界は、「白モノ」がメインの業界です。昔、ビデオカメラが急成長のころ、VHS-Cで気を吐いていたビクターの営業が、「こんな趣味の世界の商品を売っていてもしょうがない」という話をしてました。思わず「えっ!」と不審そうな顔をすると、テレビが売れたほうがありがたいんだそうです。家電業界の体質なんですね。

 明るい話題を探そうと、デジタルに振ってみましたが、なんかまた暗い話になりそうな雰囲気です。

2008/01/29(火)少なくなった写真の年賀状

 毎年、1月下旬になると「お年玉年賀ハガキ」の当選ナンバーをチェックするのが慣わしです。当っていても切手シートくらいですけどね。でも、自宅に置いてあるマッサージ機は、年賀状で当ったヤツです。もらいものですけど。

 写真のポストカードが全盛期のころは、ラボ(現像所)に軽トラで2-3台分の景品が届いたそうです。誤字脱字などの失敗分だけでそのくらい当っていたのですから、全体ではすごい処理量だったことがわかります。それにしても、ずいぶん失敗したもんですなぁ。
 ポストカードは数十枚から数百枚単位です。ちょっとしたミスで、せっかく作った製品がボツになってしまうので、作るほうは神経を使うでしょうね。昨年も知り合いの写真屋さんが痛い目にあったそうです。干支を間違えて前年の猪のまま作ってしまい、数百枚がボツとなりました。メーカーが供給するテンプレートは、2年分のものがあるので、注意しないとね。

 本物の印画紙を使ったポストカードは、ずいぶん減った感じです。その代わりインクジェット印刷が増えました。まったく見なくなったのは、モノクロ印画紙のポストカードです。FUJIFILMのWEBページで黒白印画紙の欄を見たら、ポストカードサイズは「出荷を終了いたしました」と書かれてました。納得。
 コダックはずいぶん前にモノクロ印画紙の製造をやめてしまいました。文化と伝統を重んじるヨーロッパでは、各国にモノクロの感光材料を専門にする企業がありました。でも、ドイツのアグファゲバルトは写真市場から撤退し、イギリスのイルフォードは縮小再建中です。そのうち、世界のどこか一ヶ所で細々と作るようになるんでしょうね。

2008/01/28(月)印画紙は当面なくならない

 衰退の一途をたどる銀塩市場ですが、フィルムに比べてプリントのほうは、ここしばらくは大丈夫のようです。インクジェットや昇華型プリンタの高画質化、耐久性の強化が進んでいますが、印画紙の有利性はまだ一歩先を行っていると思います。

 感光材料には、有効期限があります。フィルムなら通常1-2年です。製造中止を発表しても、市中に出回っているフィルムの有効期限があるうちは、印画紙まで製造中止にはできません。(製造メーカーがすべて倒産してしまえば話は別ですが・・・)
 もうひとつ「縛り」があります。印画紙を使う業務用カラープリンタ(自動現像機)の寿命です。数百万円から一千数百万円するカラープリンタの法定耐用年数は、6年です。リース契約なら通常5年か6年です。この間に、印画紙や薬品が製造中止になることは、まずありえません。どこかのメーカーが市場から撤退しても、必ず受け皿が用意されます。でないと、詐欺になってしまいますからね。

 業務用カラープリンタは、現在でも製造されています。ひところ国内のシェア争いでデッドヒートを繰り返していたFUJIFILMフロンティアと、世界シェアトップのノーリツ鋼機QSSは、現在「休戦状態」です。休戦というよりも「蜜月時代」といったほうが正確かもしれません。
 ノーリツ鋼機(給湯のノーリツとは無関係)は、和歌山市に本社がある機械メーカーです。コダックとの提携で、世界シェアトップの座を確保してきました。大元は西本カメラという写真店で、モノクロ時代の水洗器から出発した会社です。現在は、世界中の銀塩メーカーがプリンタのOEM生産を委託しています。FUJIFILMのフロンティアも、その心臓部はノーリツ鋼機製に変わりました。メンテナンス部門もノーリツ鋼機へ移管です。

 当時、現場でドンパチやってた「兵隊」たちは、ビックリしたでしょうね。相手の足にしがみついて一所懸命引っ張ってる最中に「仲良くやれ!」ですからね。
 この業務提携を見て、FUJIFILMは銀塩市場から撤退すると踏んだひとは、かなり多いと思います。シェアが低かったコニカミノルタは、写真業界ルートの営業権をDNP(大日本印刷)に渡して、とっととオサラバです。こういうときは、シェアが低いことが幸いしますね。

 世界シェアトップのコダックは、どうなるんでしょうね。でも、コニカが銀塩市場撤退を発表しなかったら、コダックが先に日本市場からの撤退を決めていた、という話を聞いたことがあります。
 みんな「貧乏くじ」を引くのが嫌で、銀塩市場から何とかドロンしたいばっかりなんですね。
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