2008/01/27(日)銀塩はシステムで成り立つもの

 フィルム派には、ちょっと刺激的な話題が続きました。今回もまたマイナスイメージの話です。

 フィルムには、現像処理プロセスが不可欠です。発色現像-漂白定着というウェットな薬品処理が必要で、現像してくれるところがなくなっては、画像を手にすることができません。

 ひところはどこにでもあった自家処理店は次々と姿を消し、残されたお店もフィルム現像機のスイッチが切ったままのところが目立つようになりました。
 薬品を使うウェットな処理は、毎日一定の処理本数がないと、薬液の維持管理ができないようになっています。1本現像するたびに新しい処理液が補充される仕組みになっていますが、処理本数が少ないと母液タンクの中身が入れ替わる前に、薬品が疲弊してしまうからです。

 印画紙にプリントする機械は、補正能力が高く、正常にプリントできなくなる直前まではキチンとプリントできます。フィルム現像がセンターからズレていても、ある程度までは補正できるわけです。フィルム現像が正常になされたかどうかは、コンスト(テストフィルム)を濃度計で測らない限り、プロでもわかりません。(目で見てわかるようならすでに末期症状です)

 一般消費者としては、こうした危なっかしい状態を回避するには、現像本数を一定量以上確保している写真店を利用するくらいのことしかできません。真昼間から新聞を広げてヒマそうにしている写真屋さんは、敬遠したほうがよいということになります。(いつも店の前を通るたびにヒマそうにしているオヤジ!もうちょっと危機感を持ちなさい!)

 プリントの自動現像機は、デジタルからのプリントがありますから、フィルム現像機よりも稼働率が高く、薬液の心配はそれほどでもありません。それよりもプリントするオペレータの能力のほうが問題です。
 似たような2枚の写真を並べたとき、色が少し違うことはほとんどのひとが判断できますが、どちらの色が良いのかを判断できるひとは、十人に一人か二人です。プリンタのオペレータは、もう少し確率は高いと思いますが、それでも五人に一人か二人です。
 フィルムにこだわるなら、銀塩にこだわる腕のいい写真屋さんと仲良くすることです。

2008/01/26(土)フィルムはどうなるの?

 ISO800のネガフィルムの話をしていて、ちょっとキナ臭い匂いが漂ってきました。「2010年終焉」説って、何なんでしょうね。フィルムがいつか市場から姿を消すのは時間の問題だとは思いますが、それが2010年という根拠はどこにあるのでしょう。

 銀塩(フィルム)が写真の主役から転落したのは、まだほんの少し前です。市場原理は厳しいもので、これから伸びていく商品と、今後衰退していく商品とでは、正反対のベクトルが働きます。「高い土地に土盛り」という諺どおりです。
 確か2005年だったと思いますが、FUJIFILMは2010年までに銀塩から撤退する―という噂が流れました。火のない所に何とやら・・・ 多分、放言タイプの誰かの口からポロリと漏れたのだと推察します。

 その後、2006年のFUJIFILM新年交礼会で、トップクラスが「3年後のフィルム需要は15%まで減る」と爆弾発言をしたそうです。これは伝え聞いた話なので、本当かどうかは保証できませんが、情報提供者はいいかげんなことを言うひとではないので、大筋でそんな話だったのでしょう。
 当時は大手写真商社の勝〇会長とか前時代を謳歌した長老たちが健在でしたから、先進的な小〇さんにしてみれば、「アンタら旧態依然としていて大丈夫かね?」という警告を発したかったのかもしれませんね。2010年の予測では漏れた噂を認めることになってしまうので、敢えて1年前の2009年の話をしたのだと、勝手に推測した記憶があります。

 あれから月日が流れて、もう2008年です。あと2年くらいでホントにフィルムが市場から姿を消してしまうんでしょうか? ちなみに、今年のFUJIFILMの新年交礼会は、例年の東京・大阪ではなく、東京だけだったそうです。
 もう、秒読みの段階に入ったんですかね。
 

2008/01/25(金)ISO800の「写ルンです」はない

 ネガのISO800にまつわる話をしたあとで、「写ルンです800」の現行バージョンを調べてみました。ない!ないんですね、ISO800を使った「写ルンです」が・・・

 FUJIFILMのWEBページに載っているのは、スタンダードタイプとしてSUPERIA400の「シンプルエース」と、SUPERIA Venus400を使った「400エクストラ」の2種類。あと、高機能タイプとして出している「Hi-Speed」「Night&Day Super」「Room&Day Super」の3種類は、ISO1600のフィルムを使っています。

 レンズ付きフィルム(間違っても「使い捨て」なんて言ってはいけない!)は、リサイクルシステムができていて、戻ってきた部品の都合で次の生産予定が変わる―という側面を持っています。価格的な戦略商品「シンプルエース」は、根強いですね。たくさん出回ってますから。
 それにしても、わざわざSUPERIA400という旧タイプのフィルムを使う必要があるんですかね。コスト的にはSUPERIA Venus400に統一したほうが安くあがると思うんですけど。ひょっとして、昔あった「格外」の印画紙みたいにVenusのB級品だったりして・・・ まさか、それはないでしょうね。

 結婚式の撮影で、万一のトラブルに備えて保険代わりに用意しておくなら、ISO1600の「写ルンです」を推奨します。ISO400では役に立ちません。3種類のなかでとくにお薦めなのは、「Night&Day Super」です。夜景モードは32mm/F5.6、シャッター速度1/45秒です。ISO1600なら何とか写ります。姉妹機種の「Room&Day Super」は、F6.2です。こちらは、被写界深度を稼いだ一般室内向け、ということでしょう。

 話がそれて、「写ルンです」の宣伝になってしまいました。
 最後の牙城「写ルンです」にISO800のフィルムが使われていないということは、次に生産終了になるフィルムはISO800ではないか?という懸念があります。そうなったら、ISO1600とPRO400の二刀流ですね。
 えっ? その二つも時間の問題ですって? 俗にいう「2010年終焉」説ですか。そのときは、そのときですね。
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