2008/09/02(火)写真店のプリント

 写真店には耳の痛い辛口の話が続きました。デジタル時代に、アマチュア相手にプリントで食べていくのは至難のワザです。
 街の写真店を支えていたのは、フィルム現像です。デジカメやケータイからのプリントに力を入れても、フィルム現像のダウンをカバーするだけの利益は、なかなか確保できません。原価比率が違います。

 韓国に写真集制作のソフトとテンプレートを写真店向けに供給している企業があります。デジカメプリントだけでは、写真店の経営が成り立たないので、付加価値をつけるために開発したそうです。
 こうした期待に応えて、メニューの拡大に努力する店が出てくるといいのですが、どこの国でも実状は同じみたいですね。

 デジタル時代の写真店は、プリントだけではなく、画像データの変換をメニューに加えるべきだと一貫して提案してきました。その場ではわかったような顔をしていますが、実際に実行している店は少ないですね。
 長い間、現像とプリントを生業にしてきたので、形のないものでお金をもらうという概念がありません。プリントしてなんぼの世界から脱却するのは、言うは易く行うは難しです。

 画像のメディア変換は、昔から写真店のメニューでした。8ミリ映画からVHSやβに、時代が変わるとVHSからDVDにと、ユーザーの窓口になってきました。ビデオテープのダビングで稼いだ店もありました。
 デジタル画像データのメディア変換もこれと似たようなものです。もっと積極的に取り組むとよいのですが・・・

 画像データの変換サービスに消極的な店の言い分は、「そんなことを依頼してくる客はいない!」です。判で押したように同じ答えが返ってきます。
 勉強も努力もしないで、お客が頼ってくるわけがありません。そんな店には、私も頼む気がしませんね。

2008/09/01(月)デジタル時代の写真店

 既存の写真店がデジタル写真に弱いことは、前回指摘しました。
 強がりを言ってみても、デジタルデータからプリントできる銀塩プリンターを持っている・・といった程度のレベルです。銀塩でなければ、そんなプリンターは誰でも持っています。

 デジタルカメラの黎明期に、「画像データの保存に力を入れないと、この時代の写真が後世に残らない」という指摘を各写真店にしたことがあります。
 フィルムや銀塩プリントは退色しても残るけど、インクジェットプリントと画像データは消逸しやすいからです。当時の染料系インクジェットは、すぐに退色してしまいました。

 この提言に耳を貸した写真店は、少なかったですね。ユーザーの思い出を後世に残す・・という使命感に欠けていたように思います。デジカメに走るユーザーは客ではない!といった雰囲気すらありました。
 こうした高慢な姿勢は、銀塩写真でも顕著でした。自店で処理する現像・サービス判プリントには力を入れても、ラボに外注するメニューはおろそかでした。
 大伸ばしプリントを長年放置しておいて、自店のプリンターでプリントできるようになってから宣伝しても手遅れです。大伸ばしに強い店は、ラボ出し時代から力を入れていました。ローマは1日にしてならず・・です。

 極めつけは、「お客がリバーサルの現像を持ってくると腹が立つ」というオヤジもいましたね。自店で現像できないリバーサルなど、どうでもいいという姿勢です。
 いまは、デジカメに乗り換えた客から、手痛いしっぺ返しを食っているはずです。(ひょっとしたら、もう廃業しているかも・・)

 旧来の写真店にデジタル写真を教えてくれとは言わないけど、個人ではできない出力を依頼したいときに、応えられるメニューを用意してくれていたらありがたいですね。

2008/08/31(日)写真メニューの多様化

 写真の原板が何故「板」という字を使うのかは、その成り立ちを見ればわかります。銅板、銀板、湿板、乾板と、写真の元原稿は長いあいだ板状でした。フィルムの時代になっても、写真だけは原板という字を充ててきました。
 デジタル時代になって、これからどうなりますかね。CDもDVDも「板」には違いありませんが、もともとの「盤」という字もあるし・・・

 銀塩全盛時代の写真メニューは、ほとんどがプリントでした。デジタル時代になって、写真のメニューは多様化しています。
 写真の原板が、フィルムから画像データに移行したことで、デジタルメディアの変換もメニューに加わりました。紙にプリントしない楽しみ方も広がっています。
 少し前に話題にしたWEBアルバムもそのひとつですね。

 こうした写真メニューの多様化に、既存の写真店はうまく対応していないように思います。もともとデジタル写真には弱かったしね。
 長い間営んできたのは、フィルム現像とプリントでした。中華料理の看板を掲げながら、ラーメンと餃子だけのメニューで生計をたてていたようなものです。もっとメニューを増やさないと、デジタル時代のユーザーの要求を満たすことはできません。

 FUJIFILMが宣伝している写真ブックの受付窓口を見ていると、外食産業みたいに大手の全国チェーン店ばかりになって、地域の飲食店が衰退している現状と、どこかよく似ているように感じます。
 画一化されたメニューだけで、店独自のオリジナルなメニューがないのは寂しいですね。

 メーカーが音頭をとっている写真ブック程度のメニューすら独自に用意できないとしたら、お客に満足感を与えるなんてことは、夢のまた夢ですね。
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