2008/08/03(日)広角レンズの制約

 コンパクト型デジカメの広角レンズには、致命的な制約があります。最小絞りの問題です。

 コンパクト型の撮像板は小さいので、広角レンズの焦点距離は一眼レフに比べて短くなります。135換算で28mmなら、実際の焦点距離は5~6mm程度です。
 こんなに短い焦点距離のレンズだと、有効開口径もかなり小さくなります。あまり絞りを小さくすると、針穴写真の原理で回折現象が起きて画質が大きく低下してしまいます。

 135換算で28mmクラスだと、F8まで絞れる機種はほとんどありません。NDフィルターで光量調節している機種もあります。
 被写界深度は十分あるので、絞り込む必要はないのですが、自動露出の幅に制限が生じます。ISO感度がオートのときはいいですが、高感度に固定しているときは要注意です。明るい屋外で露光オーバーになる可能性があるからです。

 絞り優先オートに慣れているひとで、コンパクトカメラにF11以上の絞りがないことに戸惑った経験をお持ちのかたは多いと思います。
 ワイド系でなくても、F11まで絞れる機種は少ないですね。絞りが手動でセットできる機種は、かなりマニアックな部類に属しますが、撮像板の大きさが小さいので最小絞りの制約は避けられません。

 写真スタジオのストロボ照明装置を使うときに、標準設定の絞りがなくて不便を感じるときがあります。ISO100でF8半かF11に設定しているところが多いですからね。
 光量ダウンすれば済むことですが、モノブロック型だと1灯ずつ調節しなければならないので不便です。

 プロユースには、APSCサイズか135フルサイズの一眼レフが便利です。コンパクトカメラで代用するのは、かなり無理がありますね。

2008/08/02(土)コンパクトカメラの広角

 一般に普及しているカメラは、コンパクト型です。小型軽量で、価格も手頃です。レンズは固定式ですが、ズームレンズ内蔵型がほとんどなので、広角から望遠まで楽しむことができます。

 フィルム全盛時代から、コンパクトカメラの広角側は、焦点距離28mmが一番広く写るレンズでした。もちろん135フルサイズ換算です。
 日本人は、広角よりも望遠を重視する傾向があるのか、○倍ズームというと、望遠側の焦点距離が何ミリかを強調する宣伝が目立ちます。カメラは望遠鏡じゃないんだけどね。

 ヨーロッパでは、広角側が何ミリかを重視するようです。
 昔、PENTAXからESPIO 928というコンパクトカメラが出てました。1994年4月発売のカメラです。28mm~90mmのズームレンズを内蔵したカメラです。
 日本では望遠側が90mmまでの割には価格(\56,000)が高かったので、爆発的な人気にはなりませんでした。品薄の状態が続いたのは、欧米のクリスマス需要で生産が追いつかなかったからとか・・・
 「海外では28mmのワイドが圧倒的に評価されている」と、メーカーのひとは鼻高々でしたね。日本人は見る目がない・・と言いたげでした。

 その後2002年12月には、24mm~105mmズーム内蔵のESPIO 24EWが発売されました。望遠側重視の日本では、あまり売れなかったように思います。
 24mmのワイドはコンパクトカメラにしては珍しいけど、流行のデジタルカメラじゃなかったしね。

 デジタルカメラは、デジタルズームという奥の手で、望遠側を引っぱることができるので、ようやくワイド側が重視されるようになりました。
 初期のコンパクトデジカメの広角側は、135換算で38mmか35mmでしたが、28mmワイドを強調する機種が増えました。
 コンパクトカメラを買うときは、ワイド側が何ミリかチェックすることをお奨めします。

2008/08/01(金)デジタル一眼の超広角

 超広角レンズは、ミラーが内蔵されている一眼レフにとっては、設計が難しいレンズです。マウントからフィルム面(撮像板)までの距離が長いためです。
 この距離をフランジバックといいます。普通は25mm前後ですかね。

 レンズの原理を少し知っているひとなら、25mm以上離して無限遠にピントが合うのは、焦点距離25mm以上のレンズだということをご存知のはずです。でも、交換レンズには、25mmよりも焦点距離が短いものがあります。
 レトロフォーカスといって、レンズの外に仮想の中心点を持ってくるレンズ設計です。28mmから短い焦点距離のレンズは、この方式を採用しています。

 デジタル一眼レフは、撮像板の大きさが135フルサイズよりもひと回り小さいAPSCサイズの機種が多いので、超広角レンズの設計が難しくなります。135フルサイズで20mmの写角を得るためには、APSCサイズだと16mmのレンズが必要です。
 その代わり、135フルサイズの画面をカバーする必要がないので、APSCサイズ専用ならコストダウンできます。フィルム用のボディーには使えないけどね。(四隅がケラレます)

 フィルム時代の交換レンズで、20mm以下のワイドを持っているひとは、よほどの「モノ持ち」ですね。
 ワイド系はデジタルと相性の悪いレンズがあるので、フィルム時代のレンズは、テスト撮影したほうが無難です。最悪どこにもピントが合わない・・というものも見受けられます。

 これはフィルムと撮像板の性質の違いによるものなので、修理して直る性格のものではありません。
OK キャンセル 確認 その他