2008/07/01(火)モデルの肖像権は煩い

 コマーシャルフォトの世界で、とくに煩いのはモデルの肖像権です。著名なタレントや歌手だと、かなりシビアな契約になります。
 一般的なモデルクラブでも肖像権に対する意識は強いですね。

 アマチュアの写真愛好家を対象にモデル撮影会が開催されています。モデルはミス・ナントカという場合もありますが、大抵はモデルクラブ所属のプロのモデルです。
 撮影した映像は、アマチュアが個人で楽しむ分には自由ですが、それ以外の目的には使えません。コンテストに入賞したら、賞品と引き換えに著作権まで放棄することになります。

 昔、カメラメーカーのモデル撮影会で、写真家の阿部秀之氏とご一緒したときの話です。「先生、今日は面倒なことはコチラでやりますから」とレフ係を買って出ました。
 こういう撮影会では、プロはカメラをぶら下げていてもシャッターを押すことはありません。この日は珍しくバチバチ撮ってました。
 「今日はどうしたんですか?」と聞くと、「レフの使い方がいいからなぁ、つい・・」だって! 気さくな人だけど気配りもプロですね。「撮ってもなんにも使えないけど・・」と言ってました。モデルの肖像権の問題です。

 一流の写真家でも、被写体がプロのモデルだと、所属事務所の許可を得ずにカメラ雑誌などに写真を載せることはできません。使ってもせいぜいアマチュア相手の講演会で、スライド映写するくらいです。
 モデル撮影会で、プロの先生方がシャッターを押さない理由がわかりますね。

 阿部先生のブログがあります。興味のあるかたはどうぞ。
「はい!阿部秀之です。」はコチラから

2008/06/30(月)写真の著作権と肖像権

 業者が撮影した写真には著作権があります。写された側にも肖像権があります。
 自分が写っているからといって、コピーなどの複製をとることは違法行為になります。同様に、自分が撮影したからと、お客に無断でサンプルに使ったり宣伝に使ったりすることはできません。

 著作権に対する意識は、一般の個人になるほど希薄です。その次は官庁ですかね。公の使用なら許される・・という甘さがあります。
 著作権と肖像権についてシビアなのは、コマーシャルフォトの世界です。どの宣伝媒体で、いつからいつまで使用するか?という決め事がキッチリしています。使用期限が切れたのにポスターや看板を揚げたままだと、ペナルティーを取られます。

 販売店に配る企業の宣伝物も同様ですが、一旦市中に出回ったものは、そこまでシビアな管理はできません。それでも、煩いタレント事務所だとクレームを入れるようで、「○月○日以降は店頭から撤去してください」という案内文が回ってくることがあります。
 実際には、ちゃんと案内しましたよ・・ということで、店頭に残っていてもどうこうないようですが・・・

 美術館の依頼で、プロが作家の作品を撮影した場合の著作権は、どうなるのでしょうか?
 元CM写真をやっていた例の酸化セリウムの先生によれば、とくに取決めがなければ3者対等なんだそうです。美術館がお金を払ったからといって、作家や写真家に断りもなく、予定外の目的で使用することはできないわけです。
 同様に、自分が作った作品でも、作家が写真を欲しいと思ったらお金を払って買うことになります。1枚くらいなら美術館がオマケしてくれるかもしれませんが・・・

 最近では、ダビング10デッキで著作権の問題が話題になりました。著作権や肖像権に対する意識は、文化レベルのバロメーターでもあります。

2008/06/29(日)写真屋の買い渋り

 今は昔。写真業界が隆盛だった時代には、感材メーカーの招待旅行がよく行なわれました。フィルムを何万本か買うと、旅行に招待してくれます。
 地域で指折りの写真屋さんにとっては、楽しみのひとつでした。

 知り合いの写真屋さんも招待客の常連で、年に2回ほど旅行に行ってました。大抵は奥さんです。メーカーの招待旅行は、奥様旅行会みたいなもんですね。営業担当のひとは、「我々は男芸者だ」なんてことをいってました。

 観光地に行くと、地元の写真屋さんがスナップ写真を撮り、旅館のロビーで写真を並べて販売している光景をよく見かけます。感材メーカーの招待旅行でも同じです。
 写真業界の人達だから、たくさん買うかと思えばさにあらず。自分も本業だけあって、よほど気に入った写真でもなければ、なかなか買いません。同業者は渋いですね。
 わざわざ買わなくても、同行の担当者が撮った写真が、後でタダで貰えますから当然かもしれませんが・・・

 感材メーカーの招待旅行で、地元の写真屋さんが撮った写真がほとんど売れ残ったのでは、バツが悪いですね。売れ残った膨大な写真を見て、幹事は溜息をつくことになります。

 幹事役の課長が部下に「よさそうな写真だけ会社で買い上げて・・」と言いかけてから、思い直して「いいから全部買って!」と指示していたそうです。管轄エリアが違っても、○○はケチだった!と言われたくなかったんでしょうね。
 きっとこの課長、出世したと思います。
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