2008/06/16(月)メタリック調の印画紙

 カラーペーパーで、ベースがメタリック調になっているものがあります。コダック社の「エンデュラ・メタリックペーパー」です。白の部分は、シルバーというよりはパールに近い表現になります。
 以前、FUJIFILMから出ていたメタリックペーパーは、白の部分がシルバーだったので、人物に使うと違和感がありました。どこかのエアコンのテレビCMに出てくる、ステンレス顔のお母さんみたいです。

 これらは、印画紙自体がメタリック仕上げになっているので、デジタルで色をつけて同じような表現にすることはできません。メタリック調の紙を用意すれば、近い表現になるかもしれませんが、インクが顔料系だと、インクの載った部分の光沢感がなくなってしまいます。
 染料系のインクがうまく紙に染み込むかどうか、テストしてみないとわかりません。表面加工した紙は、難しいかもしれませんね。

 エンデュラ・メタリックペーパーは、ディスプレイ用に開発された印画紙ですが、ブライダル写真集に利用している業者もあるようです。
 でも、写真集全部をメタリック調にするのはどうですかね。他社との差別化にはなるでしょうが・・・
 どこか1箇所か2箇所、見開きでメタリック調にするのが、効果的な使い方だと思います。

 プロ用ペーパーなので、市中の写真屋さんが使っていることは、まずないと思います。写真集の制作会社でも、業者向けのところに限られるので、一般のアマチュアが利用するのは難しいかもしれませんね。

 興味のあるかたは、一度覗いてみてください。
コダック・プロフェッショナル エンデュラ メタリック カラーペーパーはコチラから

2008/06/15(日)色つきの白黒印画紙

 色彩のないモノクロの印画紙に色がついたものがありました。フランスのギルミノ社から出ていた「ギルミノ・カラードペーパー」です。

 画像は黒ですが、印画紙のベースが着色されていて、白地の部分がシルバーとかブルーになっています。ピンクなんてのもありましたね。特殊な表現をするための印画紙です。
 セピア調色やブルー調色が、黒の画像に着色するのと逆の発想ですね。いまでは、入手不能だと思います。

 ギルミノ・カラードペーパーは、デジタル画像処理で近い表現をすることができます。ベースの色と黒の画像を合成するわけです。
 耐久性はともかく、ベースの色を自由に選べるので、デジタル加工のほうが表現の幅が広くなります。この手の印画紙が復刻することはないでしょうね。

 デジタル時代のモノクロ写真は、白と黒である必要はありません。ベースの色と画像の色を自由に組み合わせて作ることができます。ピンクをベースにブルーの画像で表現することも可能です。
 モノクロ写真が色をなくすことで得た独自の世界を1色か2色、色を加えることで別のイメージに変えることができます。
 写真の模倣からスタートしたデジタル写真の新しいジャンルとして、シングルカラーのモノクロ写真に注目したいと思います。

 デジタル写真が登場して間もないころは、主要な被写体だけカラーにして、残りの部分をモノクロにする…という技法がよく使われました。いまでも、ビールのCMなんかに使われてますよね。
 主要被写体を強調したいときには、簡易で便利な手法です。

 アマチュアの「作品」で、満開の桜の下を歩く舞妓さんだけをカラーにして、背景をモノクロ処理したものがありました。作者に「舞妓さんだけじゃなくて桜の花びらもカラーにしたほうが良かったのでは?」といったら、「そんな手間はとてもかけられない」との返事です。
 アマチュアなら時間はいくらでもあるでしょうに・・・ プロならきっとやったと思います。

2008/06/14(土)暗室処理とデジタル

 銀塩時代のモノクロ写真は、暗室での処理技術がモノをいいました。元の原板がいくらよくても、プリントが生焼けでは評価されません。自分自身で納得するまで焼くか、腕のいい暗室マンに依頼する必要がありました。

 「腕のいい暗室マン」出身のひとりに森山大道(もりやまだいどう)という写真家がいます。教科書どおりの写真技法から踏み出した「アレ・ブレ・ボケ」の写真は、1960年代後半の写真界に衝撃を与えました。
 保守勢力からは、「写真の本質を知らない若造が!」と揶揄されていましたが、岩宮武二や細江英公の助手を務めたくらいだから、並みの男じゃありません。

 「酸化セリウム」の先生も森山大道の写真とプリント技術を高く評価しています。暗室にこもって印画紙と悪戦苦闘した人間にしかわからない、独特の味があるからでしょう。
 ドキュメンタリータッチの描写なので、ブライダル向けではないけどね。

 いま、東京都写真美術館で「森山大道展」をやってます。6月29日までです。参考までに・・・
東京都写真美術館・森山大道展はコチラから

 デジタル時代になって、新しいモノクロ写真の表現方法が模索されています。40年の歳月を経て、デジタル技術を駆使した「第2の森山大道」が、そろそろ表われそうな予感がします。
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