2008/05/17(土)広角レンズで接写

 ティアラの良さは最短撮影距離にあるという話をしました。実は最短35cmというスペックに満足しているわけではありません。あと5cm短く、最短撮影距離30cmだったら・・と思うときがあります。

 小さなものを大きく写すだけなら、焦点距離50mmか100mmクラスのマクロレンズのほうが便利です。歪みもないしシャープに写ります。
 広角(ワイド)レンズによる近接撮影は、面白い描写になります。画角が広いので、近くのものだけでなく背景が一緒に写せます。被写界深度が深いレンズなので、ボケていても後ろに何が写っているかがわかります。

 例えば風景写真なら、背景に富士山を入れることで、撮影場所が表現できます。富士山は独特の形をしているので、ボケていても富士山だとわかります。日本人の脳裏に焼き付いていますからね。(蛇足ながら武道館の屋根は富士山を模しているそうです)

 結婚式で、テーブルの花やキャンドルをアップにし、背景に新郎新婦を持ってくる・・なんて撮り方も面白いですね。望遠系のレンズだと、完全にボケてしまって何が写っているのかわかりません。ワイドレンズならではの使い方です。

 一眼レフのワイド系レンズ(レトロフォーカスタイプ)は、近接撮影は苦手な分野です。近くにピントを合わせると、画像が乱れるためです。それを防ぐために、近距離だけレンズの構成を変化させるフローティング機構を採用しているレンズもあります。最短撮影距離が0.6m以下なら、このタイプでしょう。

 フローティング機構のワイドは、ピントの合っていない部分のボケ味が汚くなる欠点があります。せっかくの近接撮影能力が生かせません。ティアラみたいなワイド系コンパクトカメラは、捨て難い存在ですね。

2008/05/16(金)TIARAの兄弟はアウト

 FUJIFILMのティアラには、シリーズとして何機種かありました。135サイズでは、TIARA ZOOMというズームレンズ搭載の機種が出てました。28-56mm F4.5-7.5です。

 TIARA/TIARAⅡが28mm F3.5の単焦点なので、ズーム付のほうが便利なように思いがちですが、どっこいそうはいきません。
 理由は、56mmの最短撮影距離が0.6m、それ以外の焦点距離では0.8mになっている点です。28mmで最短撮影距離が0.8mというのは、いただけません。TIARA/TIARAⅡは、最短撮影距離0.35mです。

 広い景色を撮るのが目的なら、最短撮影距離はあまり問題ではありませんが、広角レンズの醍醐味は、近距離撮影にあります。TIARAで35cmにピントを合わせて撮る機会は多かったですね。
 常時発光のストロボと、周辺画像の乱れ+周辺減光で、一種独特の写り方でした。VELVIAを詰めて撮った写真は、実にシュールでしたね。ズーム付には、この楽しみはありません。

 TIARA IXというのもありました。APS判のTIARAです。このカメラが出たときに、メーカーのひとは、「画面の隅までシャープな描写」と自慢げに言ってました。135のTIARAよりも良く写るというフレコミです。
 「TIARA愛用者としてもう1台どうですか」と、しつこく勧めてましたが、画面の隅までバッチリ写るようなカメラは、ティアラじゃありませんね。「本当に隅までシャープに写るんですか?」と聞き直したら、胸を張って「そうです!」との返事。「じゃあ、要らない」と言うと、変な顔してました。自社カメラの人気の秘密をよくわかってないようです。

 TIARA IX ZOOMという機種もありました。言っちゃあ悪いけど、135単焦点のTIARA/TIARAⅡ以外は、私には用のないカメラですね。

2008/05/15(木)ティアラの露出

 前回に続いてFUJIFILMのティアラの話。

 私のほかにも愛用者が多いみたいで、検索するとインターネット上で記事がたくさん出ています。ほとんどが写真愛好家かカメラ好きのひとですね。
 写り具合は皆さん高い評価をしていますが、カメラ自体のスペックには多少不満があるようです。ニコンやコンタックスのコンパクト高級機にあって、ティアラにない機能は多いですからね。

 露出補整が+2の逆光補整しかない点を挙げるひとは結構います。リバーサルを愛用しているひとなら、不満だと思います。コンパクトカメラでも高級機には細かい露出補整機能がついてます。TIARAは普及機ですからね。

 使っているうちに、露出補整を自動的にやる方法を見つけました。ピントを合わせたところの露出を拾っているようなので、どこにピントを合わせるかで、露出を変えることができます。
 例えば、トンネルの入口付近から外を撮る場合は、トンネルの壁にピントを合わせたときと、外の景色にピントを合わせたときで、まったく違う写真になります。
 壁にピントを合わせると、外の景色は露光オーバーで明るく写ります。外の景色にピントを合わせると、景色に露出が合ってトンネル内部は暗く写ります。賢いカメラです。

 リバーサルフィルムで撮影しても、まずまずの露出です。適から外れは36EXのうち2-3コマですかね。一眼レフでヘタな補正をするよりマシ…といった感じです。3段階露光なんて芸はできないので、1本のフィルムでたくさん撮れます。

 結婚式でも活躍しました。もちろんネガを使います。ISO400以上の高感度フィルムなら、スローシンクロにしておけばバッチリ写ります。
 一眼レフに望遠系ズームをつけているときなんかは、重宝します。28mmクラスのワイドレンズは、使う機会が多いですからね。

 欠点は、スローシンクロにすると、強制的に赤目軽減モードになってしまうことです。
 親戚の叔父さんは律儀なひとで、プレ発光で写ったと勘違いして、すぐにお辞儀をしてしまいます。何回撮り直してもお辞儀をするので、結局、ハゲ頭しか写りませんでした。
 こういうところは、素人向きの普及機ですね。
OK キャンセル 確認 その他