2008/05/08(木)レンズのコーティング

 カメラのレンズにはコーティングが施されています。余分な光をカットするのと、透過率を高める役割を持っています。

 どんなに透明度の高いレンズでも、表面の反射によってかなりのロスが出ます。レンズ1枚あたり2%程度でも、ズームレンズみたいにたくさんレンズを使っていると、光を何割かロスすることになります。
 カメラのレンズにとって、コーティングは必要不可欠です。「増透処理」ともいいますよね。

 コーティングは、普段はあまり意識されないものです。空気みたいなもんですね。
 しかし、もしコーティングがハゲてしまったら、写真の写りに大きな影響が出ます。1枚くらいハゲても透過率はわずかしか違いません。でも、確かに写り方が違ってきます。ポヤーンとした滲んだような描写になることが多いですね。
 最近どうも画像が甘い気がする・・なんて気づいたら、レンズのコーティングをチェックしてみる必要がありそうです。

 普段は意識しないコーティングですが、ハゲたら大変!という証拠を見せてもらったことがあります。前回話題の先生に写真屋をやっていた叔父さんがいて、たまに顔を出していたころの話です。
 その叔父さんに「このカメラ、露出が狂っていないか?」と、証明写真を見せられました。同時に2枚撮れる二眼式インスタントカメラの写真です。片方が白っぽく写っていたので、露出が狂っていると思ったようです。

 どれどれ・・と、インスタントバックを外して、何回か空シャッターを切ってみましたが、絞りの大きさもシャッター速度も違うようには見えません。たまたま露出計を持っていたので、カメラの内側から測ってみました。左右ピッタリです。不思議ですね。

 ひょっとして・・と思い、レンズを前から見比べてみると、片方のコーティングがハゲていました。ティッシュペーパーか何かでゴシゴシやったんでしょうね。ティッシュはいけません。紙やすりみたいなもんです。
 原因がわかって一件落着です。でも、その叔父さんは「コーティングがハゲたくらいで・・」と、納得いかないようでした。

 ハゲたほうが白っぽく写るということは、光のロスよりもフレアーの影響のほうが大きいということになります。コーティングを傷つけないようにしないとね。
 いまなら、甥っ子の先生が、両眼とも酸化セリウムの粉で再研磨して直すかもしれません。しばらくはこの先生に近づかないほうがよさそうですね。

2008/05/07(水)レンズの傷を直す

 知り合いのプロの先生から「引伸機のコンデンサーの傷を直したい・・」と相談がありました。

 引伸機のコンデンサーレンズは、傷があってもプリントに影響しないので、普通なら「プロのくせに何言ってるの!」で終わりです。ところがこの先生は、点光源ユニットを使っているので、コンデンサーの傷がプリントに影響します。
 一般的な集散光式の引伸機とは、ちょっと勝手が違います。

 再研磨して直すようなことを言っていたので、参考になるWEBサイトを教えておいたら、電話で「やっぱり磨く!」とのこと。「アンタに借りてた本にも載っていたが・・決心した!」そうです。
 『反射望遠鏡の作り方』という本があったはずが、探しても見つからないので、インターネットの自作サイトを教えたのですが、この先生のところに行ってたんですね。道理で「磨いて直す」なんて過激なことを思いついたわけです。

 反射式望遠鏡のミラーを自分で磨いて作るのは、昔から天文ファン(マニアとは言いたくない!)の間では、よく知られたことです。ニュートン式なら1/8λ以下の放物面鏡に仕上げなければならないので、テキストがないとできません。
 コンデンサーの傷を直すのは、もっと簡単です。光源と原板の間に入る光学系なので、レンズを磨くような精度は必要ないからです。

 光学ガラスの研磨には酸化セリウムの粉末を使います。仕上げは1000番か2000番の細かいパウダーで行ないます。撮影用のレンズに傷がついた場合でも、この粉で磨き直すことは可能ですが、やめといたほうが無難です。
 もとの曲面を維持するのが難しいこともありますが、それよりもコーティングが全部ハゲてしまうからです。

 この先生みたいに、1930年代のカメラをコレクションしているひとなら話は別だけどね。

2008/05/06(火)カメラのネット通販

 大都市には、ヨドバシカメラやビックカメラといった量販店があるので、必要な写真機材を手に入れるのは比較的簡単です。
 業務用のストロボなんかも在庫していて、急ぎの仕事で調達するプロもいます。パーマセルテープとか、ちょっとした小物まで置いているので、業者も大事なお客さんのようです。

 地方のローカル都市だと、大型店といってもカメラのキタムラくらいなので、何でもすぐ手に入るというわけにはいきません。もっとローカルになると、目当ての品を探すのは大変です。
 ヨドバシがインターネット通販に乗り出したのは早かったですね。いまでは、かなりのアイテム数を扱っています。店は知らないが、ネット通販を利用したことはある・・というひとも多いのでは?

 インターネットでカメラを売っている店は結構あります。ネット通販は「価格が勝負」みたいなところがあって、価格コムあたりで抜きつ抜かれつやってます。
 ネット販売の業者は、マラソン選手みたいなもので、どこかで一度はトップに躍り出て、自分のゼッケンをテレビで放映して欲しい・・というタイプが多いようです。

 一番安く売っているからさぞかし大きな店舗かと思って訪ねてみると、事務所ビルやマンションの一室だった・・なんてこともあります。経費をかけないから安く売れるんでしょうね。
 信用度では、ヨドバシなどの量販店サイトに負けますが、そこを価格の安さでカバーしているわけです。

 個人的には、ネット通販はあまり好きではありません。お客の顔が見えない商売はしない・・といった昔気質のお店のほうが性に合いますね。そういう意味では、量販店も好きになれません。店員に知識はあっても、個性がないからです。
 でも、飲食店や写真館と違って、量産型の工業生産品を扱うお店は、個性や特色を出すのが難しいですね。価格や在庫の豊富さで普通は勝負がついてしまいます。

 大型店が近くにないローカルのユーザーには、ネット通販は便利です。地方の小売店では在庫していない商品が、早ければ翌日には手元に届きます。
 そのうち、地方のユーザーでフィルムが欲しいと思ったら、ネット通販で買うしかなくなるかもしれませんね。
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