2008/04/26(土)電球の色補正2

 写真電球には、グローブにブルーの色をつけたデーライトタイプがあります。100V 500Wの電球です。ナショナルから出ています。

 レフランプで500Wというのは一番明るい部類ですが、ブルーのフィルターがかかっているので、露出計で測ると大した光量ではないのがわかります。
 タングステン光からデーライトに変換するLBフィルターの露光倍数は、4倍以上ですから、実際には100W程度の光量しかありません。

 プロはデーライトタイプの電球をあまり使いません。新品のうちはかなり青く、使い込むにしたがって黄色くなります。電球自体に色をつけているので、熱で青色が褪せてしまうからです。
 安定性を重視するなら、「白球」を使い、レンズにLBフィルターをかけて補正するのが一般的なやり方です。

 タングステンタイプの写真電球をデーライトに変換するときは、LBB12のフィルターを使います。しかし、実際には少し青味が強い補正となります。補正過多です。
 計算上は、3200Kを5500Kに変換するには、ミレッド値で130(デカミレッド値で13)なので、LBB13でピッタリですから、LBB12だと補正不足で若干黄色味が残るはずです。不思議ですね。
 【計算式】 (100万÷3200)-(100万÷5500)=130.68

 3200Kのタングステン光には、もともと青い光の成分がほとんど含まれていないので、強制的にブルーの色をつけることで、ズレが生じるのだ・・というひとがいます。その逆をいうひともいますね。
 理由はどうあれ、実写で青味が強いというのは、共通した認識のようです。

 実は、タングステン光を使って商品撮影するときに、LBB12フィルターを使って色温度変換することは滅多にありません。知人の先生は、「LBB12のフィルターは一生モノ」とかいってました。ほとんど使っていないそうです。タングステンタイプのフィルムを使うからです。

 タングステン光での照明はスローシャッターになります。相反則不軌が出るデーライトタイプのフィルムをブツ撮りに使うプロは、コマーシャル系ではいないでしょうね。

2008/04/25(金)電球の色補正

 電球(白熱灯・タングステン光)の色補正は、蛍光灯よりは単純です。太陽光と色温度が違うだけで、目に見えない輝線スペクトルなんて曲者はありません。

 太陽光は一般的に5500Kとされています。中緯度帯の正午ごろの太陽を想定しています。冬場はもう少し低いけどね。
 フィルムによっては5600Kを基準にしている場合もあります。パソコンのwindowsは6000Kでしたっけ。太陽は、季節と時間によって色温度が変わるし、同じ時刻でも緯度帯によって違います。基準がマチマチでは都合が悪いので、写真の世界では5500Kを基準にしています。

 写真電球の色温度は3200Kを基準にしています。タングステンタイプのフィルムのなかには、3400Kを基準にしているものもあります。新品の写真電球は、確かに3400Kくらいです。でも、使っているうちにすぐに3200Kまで下がります。
 プロの連中の間では、いつも新品の写真電球を使う・・という贅沢なひとは少ないので、タングステン光は3200Kというのが常識のようです。

 ブツ撮りなら、「電球は3200K」でいいのですが、一般家庭や結婚式場などではもう少し低めになります。市販の100Wの白熱電球の色温度は、約3000Kです。60Wならもっと低くなります。
 結婚式場にカラーメーターを持ち込んで、細かく測ったことはないので、正確な数値はわかりませんが、多分2800Kくらいだと思います。

 AWBを外したときの設定は、デジタルカメラによって「電灯光」「白熱灯」「タングステン光」など表示はマチマチですが、色温度がいくつなのかを把握しておいたほうがよいと思います。説明書に書いてないカメラもあるけどね。

 電球照明下でスナップ撮影する場合は、きちんと色温度補正をする必要はありません。あまり完全に補正してしまうと、屋外で撮影したような違和感のある写真になってしまいます。室内ということがわかる程度に、やや黄色っぽいほうが自然です。
 カメラの設定を3000K-3200Kくらいにしておいて、少し暖色系の発色にするのが、結果的によいみたいですね。

2008/04/24(木)蛍光灯の色補正4

 ミックス光源のなかに蛍光灯が含まれる場合は、色補正がし辛いということは、ある程度おわかりいただけたかと思います。
 人の顔を認知して補正する技術があるくらいですから、そのうち蛍光灯の輝線スペクトルを解消する技術も開発されることでしょう。

 要するに、人間の目に近い感色性の撮像板が開発されれば、問題は解決できるはずです。その代わり、赤外線撮影なんてのは、諦めてもらうしかありません。天体写真も同様です。

 元天文ファンとしては、ちょっと抵抗感がありますね。Hα線で輝く星雲が写らないなんて、寂しい限りです。
 まぁ、街路灯なしで星空がきれいに見えたほうがいいか、夜道が物騒でないほうがいいか、という究極の問題と同じで、実生活優先ということになるんでしょう。

 蛍光灯や水銀灯が実際には緑色の光だということは、現実の世界では実感できません。写真の世界で初めて出てくる現象です。
 しかし、絵画の世界では、たまに目にする機会があります。
 いまどきの画家は、写真を材料に絵を描くことが多いようです。ちょっと前のデパートの展示会での話です。

 新進気鋭の画家の展示会でした。ヨーロッパ風の建物を描いた作品で、日没直後の描写です。夕暮れ時の街並みの風景の中に、街路灯が緑色、部屋の照明がオレンジ色で表現されていました。
 「この絵は写真から描き起こしていますね」といったら、担当の女性が「えっ!何でそんなことがわかるんですか?」って、いぶかしがっていました。
 家路を急ぐハトもブレてたし・・・。「見ればわかるでしょ」といいかけて、やめました。

 色使いが独特の・・という能書きをいってましたから、「アンタの解説はアウト!」というのが気の毒に思えたからです。説明するのも時間がかかるし・・・
 美術を語るなら、もっと勉強しないとね。
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