2008/04/23(水)蛍光灯の色補正3

 光源としては曲者の部類の蛍光灯について話を続けます。
 蛍光灯は、輝線スペクトルという人間の目に見えない光(色)があるので、写真撮影には手ごわい光源ですが、品種がわかっていれば補正フィルターをかけることで、正常な発色が得られます。

 結婚式場の照明で蛍光灯が使われている場合は、一般的にタングステン光とのミックス光源であることが多いですね。シャンデリアやペンダントライト、スポットライトなどは、タングステン光です。
 色温度が違うだけでなく、輝線スペクトルが混ざるので、フィルターによる色補正が難しい状況となります。

 美術館などでプロが撮影するときは、蛍光灯だけ点けて補正フィルターを使って撮影し、次はタングステン光だけ点けて色温度変換フィルターを使って撮影します。要するに、光源ごとに色補正して多重露光をするわけです。面倒ですが結果はバッチリです。
 しかし、ここに外光(太陽光)が混じると、もう補正のしようがありません。かけたフィルターの色が外光にモロにかかってしまうからです。夜になるのを待つしかないでしょう。(ネガのNCで撮って後でデュープ・・なんてインチキもあるけどね)

 ミックス光源の式場での撮影では、どちらかの照明を消すというわけにはいきません。したがって、フィルター補正というワザは使えません。
 デジタルカメラのAWB(オートホワイトバランス)モードで補正しきれないときは、カスタムモードに切り替えて手動でセットします。電灯(タングステン光)や蛍光灯モードに固定しても、よい結果は得られません。固定モードは、単一光源が前提です。

 ミックス光源が多い結婚式場での撮影には、デジタル一眼レフが最適です。ホワイトバランスがカスタム設定できないコンパクトタイプやケータイで、濁りのないきちんとした色を再現するのは無理でしょうね。

2008/04/22(火)蛍光灯の色補正2

 前回紹介した蛍光灯の補正値は、あくまで目安です。プロのなかには「オレのと違う!」というひともいるでしょう。RGBをCMYに読み替えて減色フィルターだけで補正しているひともいるしね。

 美術館やギャラリーでは、特殊な蛍光灯を使っているところがあります。目で鑑賞する分には問題ないのですが、写真撮影となると支障が出ます。
 撮影を頼まれたとき、手元に補正データがない場合は、わかってる蛍光灯を元箱で持っていって、脚立に上ってすげ替えてから撮影することもあるそうです。お金をもらう撮影って大変ですね。

 結婚式の撮影では、そんな大掛かりなことはできません。その場の照明で撮ることになります。「おたくの蛍光灯の種類は?」なんて質問しても、まともな答えが返ってくることは期待できませんから、自分で判断して補正するしかありません。
 あてずっぽうで、FLWをかける手もありますが、外れたらヤバイですね。蛍光灯照明の式場では、デジタルカメラを使ったほうが無難です。

 最近は、電球色の蛍光灯がよく使われるようになりました。色温度は3000K前後で、100Wの白色電球とほぼ同じですが、やはり輝線スペクトルがあって、色が濁ります。
 デジタルカメラで、色温度を3000Kに固定しても期待する結果は得られません。カスタムホワイトバランスが設定できる機種なら、白い紙か標準反射板を使って、その場の光源に合わせることができます。

 フィルムは、色温度補正フィルター(LBA)とCCフィルターをダブル(トリプル?)で使わなければならないので、まずお手上げです。露光倍数はかかるし・・・
 フィルムは、5500Kのデーライトに固定ですからね。

2008/04/21(月)蛍光灯の色補正

 フィルム全盛時代に蛍光灯の下で撮影するのは大変でした。
 色補正用のCCフィルターを何枚も用意して、蛍光灯の種類によって組み合わせを変えていました。(CCはカラーコンペンセイティングの略)

 ケンコーなどのフィルターメーカーからもソリッド(ガラス)タイプの補正フィルターが出ています。FLWというフィルターです。記号のとおり、FL(蛍光灯)のW(白色)タイプを補正することができます。赤紫色をしています。
 このフィルターを通して見ると、世の中が赤紫色に見えます。どうしてこれで普通の発色になるのか、不思議に思えますが、白色蛍光灯の下で実際に撮影してみると、赤紫ではなく普通の色に写ります。

 アマチュアに蛍光灯が緑色の光源であることを説明するときには、役に立ちました。それでも「そんなはずはない!」という頑固オヤジもいたけどね。

 ソリッドフィルターは、FLWという記号のとおり、白色タイプの蛍光灯を補正するものです。昼光色や昼白色だとズレが生じます。三波長でも同じことです。かけないよりかはマシですが・・・
 したがって、プロはKodakやFUJIFILMのペラペラのCCフィルターを組み合わせて使っています。大抵は、マゼンタ(M)をベースに、ブルー(B)かレッド(R)を加えて補正します。

 以前、FUJIFILMからCCフィルターの補正値を書いたチラシが出てました。無料のヤツです。手元にその部分の切抜が残っているので、紹介しておきます。

白色用 CC35M + CC5B
昼光用 CC15M + CC20R
三波長/EX-N CC35M + CC2.5B (注:CC25Bではなく2.5%です)
三波長/EX-D CC20M + CC20R
水銀灯 CC40M + CC5R

 使用するフィルムによって微妙に変わるので、絶対的な補正値ではないけどね。
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