2008/04/20(日)トゥルーライトの話

 フィルム全盛時代に、フィルター補正なしで撮影できる蛍光灯が輸入されていました。Tulue Light(トゥルーライト)という蛍光灯です。当時は、コニカから販売されていました。

 トゥルーライト蛍光灯は、独特の形をしています。40Wの直管ですが、表面が「ねじりん棒」になっているので、すぐに見分けがつきます。
 色に煩い写真館のスタジオ内照明に使われていて、「お!トゥルーライトですね」なんていうと、そこの先生はまんざらでもない顔をしたもんです。ストロボ照明だから、発色にはほとんど関係ないはずですが、こだわりの姿勢を示したい・・ということでしょう。

 実際に撮影用の照明に使うには、40Wの蛍光灯ではパワー不足です。何十本も並べないと実用できません。それにリバーサルだと、若干の補正が必要でした。
 のちにパワーを上げるため高輝度タイプのトゥルーライトが輸入されましたが、こちらはかなりの補正が必要で、写真撮影には不向きでした。

 トゥルーライトは、現在でも別の商社が輸入しています。20Wが\5,700、40Wだと\6,300くらいです。かなり高いですね。コニカの時代でも\5,500くらいしたけどね。
 実際には、40W管で24,000時間の平均寿命があり、普通の蛍光灯よりは数倍長く使えるのでそれほど高いわけではありません。それでも、AAA管より割高です。

 トゥルーライトには多くの種類があるので、「ねじりん棒」だといういうだけで写真に適しているとは限りません。よく売られているのは、Ra91くらいのタイプが多いようです。
 興味のあるひとは、少し研究してから購入するようにしたほうが無難ですね。

2008/04/19(土)写真検定の光源

 いよいよ色の問題という「伏魔殿」に突入してしまいました。手元のカラーメーターを狂ったままにしておいて、あまり偉そうなことはいえませんが、先に進みたいと思います。

 写真をプリントするときに、見る光源によって結果の判断が変わる・・ということを気にしているひとは少ないですね。
 商売で写真を焼いているひとでも、この問題についてはファジーです。写真屋さんで、検定用の光源まできちんと管理しているところは少ないようです。大抵は、一般的な蛍光灯の下で作業をしています。

 なかには律儀なひとがいて、AAA(スリーエー)管という高演色性の蛍光灯を使っている写真屋さんもあります。
 太陽の光をRa100とすると、Ra99というスグレモノの蛍光灯です。ひとつ下のランクのAA管でRa95です。一般の蛍光灯はRa90以下ですから、AAA管が最も太陽光に近いことがわかります。

 このAAA管を使えばフィルター補正なしで写真が撮れるか?というと、そうではありません。人間の目に見えないだけで、やはり輝線スペクトルがあります。
 ネガフィルムやデジカメなら、ほとんどわからないけどね。(デジカメは、蛍光灯モードがあるので、AWBを外せば普通の蛍光灯でも撮れるし・・・)

 いくら写真屋さんがAAA管できちんと色検定しても、一般家庭の照明は普通の蛍光灯です。それなら、いっそのこと普通の蛍光灯の下で検定してもよいのではないか?という横着な考え方もないではありません。
 でも、普通の蛍光灯には、白色(W)と昼光色(D)や昼白色(N)があります。ほかに三波長タイプというのもあって、EX-W、EX-D、EX-Nと種類が増えていきます。電球色(L、EX-L)まで加えると、かなりの数です。

 蛍光灯の種類に詳しいひとは少ないので、混ぜこぜで使っている家庭もあるでしょう。つまり、家庭の照明はバラバラの状態です。
 やはり、太陽光を基準にした光源で検定するのが、一番確かで親切なやり方のようですね。

2008/04/18(金)銀塩写真の色補正

 三原色が理解できたところで・・(何?まだよくわからない? そのうちわかるようになりますよ)、色をいじるときにはコツがある、という話に進みます。

 銀塩プリントの色補正は、CMYのフィルターを使います。フィルターをかけることで、光の三原色RGBが減っていくので「減色法」ともいいます。「原色」と「減色」は同じ発音なので、間違えないようにね。(ちなみにRGBは「加色法」です)

 CMYのフィルターを均等にかけるとグレーになって、カラーバランスはそのままで暗くなります。したがって、色を補正するときには、2色のフィルターを使って行います。具体的に説明すると・・
 C=10%、M=20%、Y=30%のフィルターをかけたとします。CMY各10%の色目はグレーですから、M=10%とY=20%だけ色補正したことになります。RGB各色10%分の光を損したわけです。2色を使って色補正する・・という意味は、こういうことです。

 銀塩写真でネガフィルムからプリントするときには、MとYのフィルターを使います。Cは使いません。
 最新のデジタルプリンターは、CMY/RGBのどれでも使えるようになっています。どれを使って補正してもよいのですが、色補正にうるさい「通」によれば、MとYの2色を基準にして、M/GとY/Bだけで補正するのが基本とか・・・

 M+Y(=R)を足すのとCを引くのは、理屈のうえでは同じはずですが、微妙な違いが出ます。デジタルプリントの世界でも、MとYの2色で補正する・・という原則は変わらないみたいですね。

 とはいっても、これは色を扱うことを職業にしているひとの話です。三原色の原理が身に染みついていないひとにとっては、かなり難解です。
 Y+MはRで、Rの補色はCだ・・という原理に基づいて、イエローとマゼンタを足してレッドにする代わりに、シアンを引いても結果は同じ・・ということに、とりあえずしておきましょう。
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