2008/04/11(金)カメラの露出誤差

 露出計の誤差以外に、カメラのシャッターと絞りの誤差にも問題があります。

 最近のカメラのシャッターは、ほとんど電子シャッターなので、実速との誤差は少ないと思います。機械式シャッターの時代は、経年変化が激しく、使い込むと(使わないならないで)かなりのバラつきが出ました。
 1/2秒よりも1/4秒のほうが遅い・・なんてこともありましたね。

 ずいぶん昔の話ですが、先輩がミノルタ修理室のひとと仲良しで、行ったついでに自分のNikon Fを診てもらったところ・・・「さすがニコンですね、高速側がすべて半分です!」といわれたそうです。
 シャッター速度はバラつくのが普通ですが、高速側だけきちんと1速ダウンで揃っていたので、「さすがニコン」となったわけです。

 電子シャッターが主流になって、誤差の要因はレンズの「絞り」に絞られました(ヘタなシャレ)。
 キヤノンにAE-1というカメラがありました。シャッター速度優先・絞りオートのカメラです。キヤノンがトップシェアを取ったカメラで、「シャッター優先か、絞り優先か・・」なんて論争がカメラ雑誌で繰り広げられていました。

 キヤノンAE-1は、シャッター速度がマニュアルで、それに応じて絞りが自動的に絞られるようになっています。ところが、シャッターは機械式ではなく電子シャッターを採用していました。
 絞りの反復精度が悪いので、シャッター速度までがバラついたのでは、露出がバラバラになってしまうからだと思います。
 のちにシャッターと絞りの両方が自動制御されるプログラムオートに発展していきます。

2008/04/10(木)露出計の誤差

 露出計(メーター)の基準は、反射率18%のニュートラルグレーです。理屈のうえでは、どのメーターを使っても同じ数値になるはずです。でも、機械ですから若干の誤差があります。

 聞いた話ですが、メーターの誤差は、JIS規格で1/3EV(1絞りの1/3)まで認められているそうです。オーバー側とアンダー側で各1/3EVズレていたら・・・2/3EV違うとちょっと問題ですね。
 1台だけで使っているなら、多少ズレていても構わないと思いますが、2台以上を使うときには困ります。ほとんどのメーターには修正する機能がついているので、同じ数値になるよう合わせておくとよいでしょう。(何台も持っているひとはいないかな?)

 露出計の受光部に使われているセルによっても微妙な差が出ます。
 いまはほとんど使っていないSEKONICのスタジオDXは、セレン式です。電池を使わないタイプなので、ある意味では便利ですが、暗い場所では誤差が生じます。経年変化で感度が鈍くなるし・・・
 日なたに出しっ放しは禁物です。

 シリコンフォトダイオードは、赤感度が高いので、電球照明のときに誤差が出ます。スライダックで電圧を落としていくと、だんだん赤い色になって暗くなりますが、メーターで測るとそれほど暗い表示にならない傾向があります。
 それを修正するために、シリコンブルーセルは、ブルーのフィルターで赤い光をカットするようにしています。

 明るさを測る・・・単純なようで複雑ですね。

 知り合いのプロの話です。野外ロケに行ったとき、たまにメーターを持っていくのを忘れることがあります。「はて、困ったな」・・そんなときは、フィルムのパッケージを開いて、メーカー提供の露出表を参考にします。
 大抵はバッチリ「適」だそうです。プロは「切り現」といって、テスト現像するしね。

 紙に露出パターンを書いただけの「セノガイド」なんてのもありました。いまはもう売っていないと思いますが、似たような「露出計算尺」の作り方が載っているWEBサイトがあります。

露出計算尺はコチラから http://homepage2.nifty.com/vasolza/rosyutukeisanjyaku.htm

 メーターの「出た目」に振り回されるくらいなら、この計算尺のほうが正確かもしれませんね。

2008/04/09(水)カメラ内蔵の露出計

 カメラのなかにも露出計が組み込まれています。反射光式の露出計です。
 被写体の反射率によって、露出が変わるので、必ず適正露出になるとは限りません。そのために、露出補正機能がついています。

 単体のメーターでは、「出た目」から半絞り程度開けた露出が基準になる・・という話を前回しました。カメラ内蔵の露出計もそうしなければならないのでしょうか?
 普段は、その必要はありません。内蔵露出計は、メーカー側である程度の調整がされているからです。

 フィルムカメラの時代には、コンパクトカメラはややオーバーぎみの露出になるよう調整されていたようです。ネガフィルムはオーバー側のラチチュード(許容量)が広いからでしょう。
 デジタルカメラになってからは、白トビしないよう逆の傾向に変わったようです。初期のデジカメは、どこか遮暗い感じの画像が多かったですね。プリントするときには、ほとんどのコマが補正してやる必要がありました。

 最近のコンパクトデジカメは、人の顔を検知する機能が採用されて、露出の精度がよくなりました。
 フィルムからプリントするときは、プリンターのオペレーターは人の顔を基準に補正をかけていました。周りの景色がどうであれ、人物がよく見えるようにデンシティー(濃度)を調整していたわけです。
 これを撮影時にするのが、顔検出機能です。

 デジカメの顔検出機能は、メーカーや機種によって違いがあります。一番わかりやすいのは、何人まで検知するか…ということですが、最大8人と10人で写りに差があるわけではありません。
 検知した顔の情報をどこまで補正するかのほうが、結果に差が出ます。露出以外にホワイトバランスまで補正するようになりました。「美肌」をウリにしている機種もありますね。

 多民族の集合写真だとどういう結果になるのかは、よくわかりませんが、笑顔を検知するとシャッターが落ちる…なんてのは、必要なんですかね。お愛想笑いではダメとかいうし・・・

 顔検出機能は、一眼レフでも普及機にはあってもいい機能だと思います。ただし、コンパクト型と違って、シャッターが開くまでは撮像板から画像情報が得られないので、同じ方式は使えません。
 かなりのコスト高になりそうですね。
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